インタビュー

Global Sepsis Alliance、世界敗血症デー

Global Sepsis Alliance、世界敗血症デー
近藤 豊 先生

順天堂大学大学院 医学研究科 救急災害医学講座 准教授

近藤 豊 先生

目次
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この記事の最終更新は2015年09月28日です。

みなさんはGlobal Sepsis Alliance(世界敗血症同盟、以下GSA)とは何なのかご存知でしょうか。この項ではGlobal Sepsis Alliance、世界敗血症デーについて、ハーバード大学医学部外科学講座研究員の近藤豊先生にお話頂きました。

Global Sepsis Alliance
Global Sepsis Alliance

GSAは心臓の拍動が3回打つ度に敗血症で亡くなる人がいる(数秒に1人というペースで死者が出ている)という危機的状況を打開するため設立されました。すでにGSAの趣旨に賛同して70カ国以上の世界中の国々が参加しています。GSAは非営利団体であり、主に敗血症に関する公衆衛生や一般市民への周知、敗血症に関わる研究者や医療従事者の協力体制の推進等を目的としています。

GSAは敗血症の認知度を上げるため毎年9月13日を世界敗血症デーと定めており、世界各地で敗血症に関するイベントが開催されています。日本では2012年より日本集中治療医学会を中心にGSAの世界的な活動が行われています。これらの活動により、医療従事者や一般市民へ対する敗血症の概念の浸透や予防・早期発見が期待されています。

世界敗血症デーでは「ストップ敗血症、命を救え」を合言葉に、敗血症を周知させるべく、世界各地でさまざまな敗血症関連イベントを展開しています。具体的な活動内容としては市民公開講座、ライブイベント、パネル展示などです。

Global Sepsis Allianceの写真1
Global Sepsis Allianceの写真1
Global Sepsis Allianceの写真2
Global Sepsis Allianceの写真2

東海大学救命救急医学、井上茂亮氏より提供

日本では2012年9月13日に初めて開催され、今年は2015年9月13日に東京の有楽町広場で行われる予定となっております。敗血症のことを色々と知る良い機会だと思いますので、皆様も是非参加されてみてはいかがでしょうか。

敗血症の罹患率の抑制や死亡率の低下を達成するために、GSAは2020年までに具体的な5つの行動目標を設定しています。

  1. 敗血症を予防して罹患率を減らす。

手洗いや清潔操作、公衆衛生等を改善することにより、2020年までに敗血症を20%減らす。

  1. 敗血症を早期に認知する体制作りと救急治療の標準化により,全世界で小児(新生児を含む)と成人の敗血症生存者を増加させる。

2020年までに敗血症患者の生存率を10%改善させる。

  1. 一般市民および医療従事者への敗血症への注意喚起を徹底する。
  2. 適切なリハビリテーションサービスとの連動を充実させる。

2020年までに全てのGSA加盟国は、敗血症患者の退院後も継続したケアの供給を行うよう標準化し、ケアに必要な医療資源を確保する。

  1. 敗血症の世界規模での対策をしながら、敗血症コントロールや管理への介入を改善させる。

敗血症症例登録の国際化を推進する。

このように、具体的に2020年までの目標を示すことで、GSA敗血症の予後(治療後の経過)を改善させようとしています。GSAの今後の活動と成果が期待されています。

※記事内の一部画像は下記サイトから著作権フリーのものを引用しています。
World Sepsis Day, http://www.world-sepsis-day.org , (accessed, 2015)

記事1:敗血症ってどんな病気?
記事2:敗血症の検査と診断ーガイドラインにおける敗血症の概念とは?
記事3:敗血症の治療
記事4:敗血症性ショックとは?
記事5:Global Sepsis Alliance、世界敗血症デー