インタビュー

緩和ケア  重病の時のサポート

緩和ケア  重病の時のサポート
徳田 安春 先生

群星沖縄臨床研修センター センター長 、東京科学大学 臨床教授、獨協大学 特任教授、琉球大学 ...

徳田 安春 先生

Choosing Wisely

この記事の最終更新は2015年10月31日です。

緩和ケアという概念は、医療の分野の中では新しいものです。緩和ケアでは、訓練を受けたチームが、あなたとその愛する家族が重い病と共に生きていくための手助けをしてくれます。

緩和ケアでは、身体面や感情面、スピリチュアルな面におけるサポートを受けることができます。痛みだけでなく、疲労感、不安、息苦しさ、吐き気、抑うつといった症状も和らげてくれます。治療方針を決定する上での助けにもなるものです。

うっ血性心不全、腎臓病、多発性硬化症がんなどの重病においては、どのような段階であっても緩和ケアを受けることが可能です。しかし、多くの重病患者たちは、緩和ケアを受け損ねています。この原因として、医師たちが一向に緩和ケアに踏み切ろうとしないことや、単に緩和ケアという選択肢を提示しないことが挙げられます。

緩和ケアは重病を患った時、非常に大きな助けになるものです。それはなぜなのでしょうか。

進行がんの患者を対象とした研究によると、早期に緩和ケアを受けたグループの方が、そうでないグループに比べて、痛みやその他の症状を抑えられたとの報告がなされています。緩和ケアを受けた人たちは、QOLが高まり、抑うつ気分に陥ることも少なく、在院日数も短期間でした。

また、がんの標準治療のみを受けたグループと比べ、標準治療に加えて早期から緩和ケアも一緒に受けたグループの人たちの方が余命も長かったとの報告がなされています。

うっ血性心不全多発性硬化症など、他の重病に関しても同様の成果が出ると、数々の研究で示されています。

緩和ケアチームは、患者とその家族とともに以下のことを行います。

  • 様々な治療の利点や欠点について考えます。
  • 人工呼吸器や経管栄養(経口摂取が不可能あるいは不十分な患者に対し、胃管や胃瘻など体外から消化管内に通したチューブを用いて流動食を投与する処置。)といった、侵襲性の高い生命維持の治療について、主治医と相談してくれます。
  • 患者の想いを明確にし、家族と介護者にわかりやすく伝えてくれます。

主治医が緩和ケアについて話すのを待つのではなく、ご自身やご家族から要望することが可能です。重病を患ってからすぐに始めることで、緩和ケアは最も効果を発揮します。また、介護や治療の方針を決める時にも影響をもたらしてくれるでしょう。

緩和ケアを受けるとしても、薬物治療や手術といった、その他の治療をあきらめる必要はありません。緩和ケアは、患者の余命に関わらず有用なものです。

コーディネートドクターは、かかりつけ医か、治療全体に目を配り、緩和ケアチームやその他の専門家と協働してくれる専門医が適しているでしょう。

  • その検査は私の治療を変えるのでしょうか?もしそうでないなら、なぜ検査するのでしょうか?
  • その治療は私の余命を延ばすのでしょうか?もしそうなら、どれくらい長く生きることができるのでしょうか?
  • 治療の副作用にはどういったものがあるのでしょうか?病気による影響よりも重いものではないのでしょうか?
  • 治療を受けなければ、どうなるのでしょうか?

コーディネートドクターもカルテを見られる状態なのかを確認しましょう。また、服用している処方薬と市販薬のリストを用意しましょう。

病院、自宅、リハビリセンターや介護施設の間を移動する時には、様々な問題が起こり得ます。

  • 宿泊記録を医師が確認できるよう、フォームに記入してください。
  • 移動する際は「処方確認」がなされているか尋ねてください。
  • 退院の際は、今後の看護または介護計画があることを確認してください。

もしご自身のことについて話せなくなった時、事前指示書を用いることで、自身が何を望むのかを伝えることができます。(どのようなフォームのものが用意されているか、使用は可能かを、主治医に相談してみっましょう。)

※本記事は、徳田安春先生ご監修のもと、米ABIMによる “Choosing Wisely” 記事を翻訳し、一部を日本の読者向けに改稿したものです。

翻訳:Choosing Wisely翻訳チーム 学生メンバー・大阪医科大学 荘子万能

監修:小林裕貴、徳田安春先生

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  • 群星沖縄臨床研修センター センター長 、東京科学大学 臨床教授、獨協大学 特任教授、琉球大学 客員教授、筑波大学 客員教授、聖マリアンナ医大 客員教授、総合診療医学教育研究所 代表取締役、Choosing Wisely Japan 副代表、Journal of Hospital General Medicine 編集長

    徳田 安春 先生

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