
「口唇裂・口蓋裂の治療について―時間はかかることもあるが、治る病気である」では口唇裂・口蓋裂の治療においてチーム医療がいかに大切かということをお話ししました。川崎医科大学では確立した口唇裂・口蓋裂のチーム医療の結果、後遺症がほとんどない治療を実現することができるようになりました。では川崎医科大学ではどのようなチーム医療を行っているのでしょうか。川崎医科大学形成外科学教授稲川喜一先生にお話をお聞きしました。
口唇裂・口蓋裂の治療にはさまざまな科が関わる必要があり、さらに治療が長期間に及ぶことについては「口唇裂・口蓋裂の治療について―時間はかかることもあるが、治る病気である」でお話ししました。川崎医科大学ではこれらのスタッフが基本的に全て病院内に揃っています。さらに患者さんが自ら動くのではなく、医師が集まるという仕組みをとっています。
普通の病院ですと、形成外科・リハビリ科・矯正歯科・耳鼻咽喉科など、複数の科を自らまわらなければなりません。しかし当院ではドクターが患者さんのもとに来ます。そうすることで専門家同士が意見を交換することが可能になり、さらには医師一人ひとりの技量も上がります。「患者さんが動くのではなく、医師が集まる」ことにより患者さんの負担を減らしながら診療の精度を高め、チームとしてもまとまりが良くなるのです。
このように、すべての科が連携してこそ良い治療ができるようになります。今ではほとんどの方のケースで、見た目としてもきれいに治るようになりましたし、発声における後遺症もほとんどなくなりました。そのため「口唇裂・口蓋裂があっても基本的には心配はいりません」と言えるようになったのです。
川崎医科大学で口唇裂・口蓋裂の患者さんに非常に良い治療をすることができるようになってきた結果、鳥取や島根などの山陰地方や四国からも紹介が来るようになりました。今や当院は中・四国地方の口唇裂・口蓋裂治療の中心的な施設になりつつあります。患者さんが集まれば集まるほど、システムや治療も洗練されます。これにより確立されたシステムの一つ一つの部分の精度を、さらに高めていきたいと考えています。
どのような場合に後遺症の心配があるのか、そしてどの程度の割合で後遺症の心配があるのかについてお話しします。
大きく分けると、1:口唇裂のみで、口蓋裂がない場合(口唇裂・口蓋裂全体の約30%)2:口蓋裂がある場合(口唇裂・口蓋裂全体の約70%)となります。
口蓋裂がない場合、ほとんど後遺症なく治療できると考えてよいです。手術方法の進歩により、口唇の手術瘢痕はほとんど分からないほどになっています。鼻や人中(唇にある二つの山)の形も手術で再現できます。
口蓋裂が存在する場合、ごくわずか(数%程度)に後遺症が残ることがあります。特に発声に必要な口蓋の筋肉の形成が生まれつきよくない場合です。しかし後遺症が残ったとしても「何を話しているのかわからない」という状況になることはまずありません。言語療法によるリハビリを積極的に行うので安心してください。今はリハビリも進歩しており「聞き返されることが若干多い」程度ですみます。最悪の場合でもその程度だと考えれば問題ありませんから、過度に心配することはありません。
川崎医科大学 医学部 臨床医学 元形成外科学教授
周辺で口唇口蓋裂の実績がある医師
東京科学大学 病院 歯系診療部門 口腔外科系診療領域 口腔外科 助教
内科、血液内科、膠原病・リウマチ内科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、美容外科、皮膚科、泌尿器科、肛門科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科
東京都文京区湯島1丁目5-45
JR中央・総武線「御茶ノ水」東京メトロ丸ノ内線も利用可能 徒歩3分、東京メトロ千代田線「新御茶ノ水」 徒歩5分
東京都立小児総合医療センター 形成外科 部長
アレルギー科、血液内科、心療内科、神経内科、脳神経外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、矯正歯科、小児歯科、麻酔科、呼吸器内科、循環器内科、感染症内科、消化器内科、内分泌内科、代謝内科、児童精神科、総合診療科、病理診断科、血液腫瘍内科、血液腫瘍外科、透析内科、臨床検査科、救急科、新生児内科、内分泌・代謝科、児童・思春期精神科、呼吸器外科、臓器移植外科
東京都府中市武蔵台2丁目8-29
JR武蔵野線「西国分寺」南口 バス:総合医療センター(府中メディカルプラザ)行き、西府駅行き 総合医療センター(府中メディカルプラザ)下車 徒歩15分、JR中央線(快速)「国立」府中駅行き 総合医療センター(府中メディカルプラザ)下車 バス10分、京王線「府中」国立駅行き、総合医療センター(府中メディカルプラザ)行き 総合医療センター(府中メディカルプラザ)下車 バス20分、JR南武線「西府」西国分寺行き 総合医療センター(府中メディカルプラザ)下車 バス20分
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