インタビュー

口唇裂・口蓋裂の治療について―時間はかかることもあるが、治る病気である

口唇裂・口蓋裂の治療について―時間はかかることもあるが、治る病気である
稲川 喜一 先生

川崎医科大学 医学部 臨床医学 元形成外科学教授

稲川 喜一 先生

この記事の最終更新は2016年02月04日です。

口唇裂口蓋裂は「先天性外表異常」といわれているもので、生まれつき唇などが割れたままになっている状態をさします。約500人に1人程度起こるといわれており、よく起こることではあるのですが基本的には原因は分かっていません。この口唇裂・口蓋裂にはとても長い期間の治療が必要ですが、どのような治療を行うのでしょうか。川崎医科大学形成外科学教授稲川喜一先生にお話をうかがいました。

口唇裂口蓋裂の治療には非常に長い期間がかかります。しかし全体としての期間は長いけれども、総じてみると一回の入院期間は短いですし、しっかりと治療をすれば後遺症もほとんど残らずに治る病気です。お子さんが生まれた後、自分自身に問題があったのではないかなどとお母さんが自分を責めてしまうことがあると思います。しかしそのような必要はありません。心配せず、ナーバスになりすぎずにきちんと治療を完了させていくことを考えましょう。また、治療の費用についても国からほとんど補助金が出るため、心配はいりません。

口唇裂の例
口唇裂(治療後)の例

口唇裂口蓋裂にはさまざまな種類があり、大きく個人差があります。口唇裂だけがある方も、逆に口蓋裂だけの方もいます。そのパターンによって治療は大きく異なり、なおかつ「形成外科で最初に手術をすればそれで終わり」という病気ではありません。

口唇裂・口蓋裂は単一の診療科だけでは治すことができません。例えば、形成外科では手術をします。しかしその後に言葉をきちんと話せるように訓練をしなければならないことがあります。その時にはリハビリテーション科での言語訓練が必要となります。

歯並びに関して影響が出ることもあり、学童期以降には矯正歯科的な治療をしてもらう必要があります。また、顎裂がある時には矯正歯科で永久歯の育ち具合をレントゲンで確認して、永久歯(犬歯)が生えてくる直前に形成外科で骨の移植を行います。矯正歯科では骨の移植前に乳歯の移動を行うこともありますし、永久歯を移植骨の中に誘導して歯並びを整えます。

滲出性中耳炎のチェックも不可欠で、耳鼻咽喉科の先生との連携も欠かせません。また、次の子どもを作ったときに遺伝の影響により同様のことが起こる可能性があるのか、遺伝カウンセラーと連携をすることもあります。

もちろん一般的な部分では産科・小児科とも連携する必要があります。今では精度の良い「3Dエコー」という超音波検査機器があるため、かなり早い時期からお子さんに口唇裂・口蓋裂があるかないかという情報提供をできるようになりました。口唇裂・口蓋裂があったとしてもきちんと治療ができるということをお話した上で、安心して出産を迎えてもらうことができます。

さらに具体的な診断から治療までの流れについては、「口唇裂・口蓋裂の診断から治療までの流れ―口唇裂・口蓋裂をもつこどものために(1)」で詳しく説明します。

 

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東京科学大学 病院 歯系診療部門 口腔外科系診療領域 口腔外科 助教

はらぞの ようすけ

内科、血液内科、膠原病・リウマチ内科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、美容外科、皮膚科、泌尿器科、肛門科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科

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東京都立小児総合医療センター 形成外科 部長

たまだ いっけい
玉田先生の医療記事

5

アレルギー科、血液内科、心療内科、神経内科、脳神経外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、矯正歯科、小児歯科、麻酔科、呼吸器内科、循環器内科、感染症内科、消化器内科、内分泌内科、代謝内科、児童精神科、総合診療科、病理診断科、血液腫瘍内科、血液腫瘍外科、透析内科、臨床検査科、救急科、新生児内科、内分泌・代謝科、児童・思春期精神科、呼吸器外科、臓器移植外科

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