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インタビュー

ALS(筋萎縮性側索硬化症)の原因

ALS(筋萎縮性側索硬化症)の原因
加藤 宏之 先生

国際医療福祉大学病院 教授/神経内科部長/同 神経難病センター長

加藤 宏之 先生

ALSは、19世紀にフランスの神経内科医シャルコーによって発見されました。それでもいまだ原因解明には至っていない難病です。国際医療福祉大学神経内科の加藤宏之先生にALSの原因についてお話をうかがいます。

しかし、ALSの5パーセント程度が遺伝性であることが分かっています。この遺伝性のALSを「家族性ALS」といいます。さらに、家族性ALSのなかに多くの遺伝子異常も見つかっています。古くから「原因不明」とされていたALSですが、現在は20以上の遺伝子異常が発見されるまでに至っています。

ALSの原因は、従来ひとつだと考えられていました。しかし、運動神経を障害するTDP43、 FUS、optineurin、C9ORF72、SQSTM1、TUBA4Aなど多数の遺伝子異常が見つかり始めたことにより、ALSを引き起こす原因も多数存在するのではないかと考えられるようになりました。つまり、一見同じように見える症状でも、TDP43という遺伝子が原因で起こるALS、 FUSという遺伝子が原因で起こるALSというように、厳密にはひとつひとつ異なる原因疾患が隠れているのだろうという見解です。

これは私たち医師が神経の働きを説明する際によく使うたとえですが、馬車を想像してみてください。御者は、馬をコントロールするために手綱を引いています。ALSは、その馬車の「馬」が動けなくなる病気です。パーキンソン病は、「手綱」がうまく働かない病気です。ですから、「馬車が動かない」という同じ症状ではありますが、ALSとパーキンソン病は原因(障害されている場所)がまったく異なる別の病気なのです。

医学は、遺伝子異常の発見によって何が起きているかを明らかにし、その遺伝子異常がしている悪さを明らかにすることで足りないものを補ったり過剰なものをコントロールしたりして根治につなげるという歴史を繰り返しています。遺伝子異常の発見は、動物実験モデルをつくることを可能にし、そのモデルから薬をつくることを可能にします。つまり、遺伝子異常の発見が次の治療につながることは間違いないのです。

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