ALSは、原因が明らかになっていないため「治す」ことが難しい病気です。発症してからは、食べる、話すなどの日常生活における重要な行為を、できる限り安全に快適に行えるようにサポートすることが重要です。国際医療福祉大学 脳神経内科の加藤宏之先生にお話をうかがいます。
そのため、「進行を遅らせる」ことが現在の治療の大きな目的になります。進行を遅らせるために、神経細胞の変性に関係しているといわれる興奮性アミノ酸※やフリーラジカル※を抑えるような薬を使用します。興奮性アミノ酸の毒性は神経細胞を死なせてしまい、フリーラジカルは過剰に発生すると神経細胞を障害してしまうと考えられています。
※興奮性アミノ酸・・・細胞内に多量に含まれ、生体内のエネルギー代謝において興奮性の刺激を伝達する物質。
※フリーラジカル・・・不対電子を持つ原子もしくは分子。他の分子から電子を奪い取る力が強く不安定。相手の物質を還元(酸化)させる力が強い。老化やがんはフリーラジカルの障害がもとで起こる。
この薬は、ALSの進行を遅らせることにおいて非常に高い効果があることがわかっています。進行を遅らせるということは、結果として患者さんの生存期間を延ばすことにつながります。リルゾールの使用により進行を遅らせることのできる期間は2~3ヶ月程度といわれています。
また、フリーラジカルの働きを抑える薬としてエダラボンという薬が2015年に厚生労働省に認可されました。エダラボンは、もともと脳梗塞の薬として使用されていましたが、ALSの進行を遅らせ、生存期間を延ばすために有効であるとされています。ただし、エダラボンがどのくらいALSの進行を遅らせることができるかという具体的な期間は分かりません。今後研究データを積み重ねていくという段階です。
筋肉は動かさなければ硬くなってしまうため、無理をしない範囲で筋肉を使い続けること、動かし続けることが重要です。加えていうならリハビリは、ALSの患者さんにとって日常の随意運動を安全に少しでも快適に行えるためのサポートシステムでもあります。
自分で歩くことを諦める、美味しいものを食べることを諦めるのは人間にとってとても難しいことです。ですから、歩行が難しい時は杖を使う、歩けない時には車いすを使う、うまく食事ができない時は食事がしやすいスプーンを使う、普通の食事が困難な時はペースト食を摂るなどの方法は、患者さんの楽しみや自尊心を維持することにもつながります。
サポートをうまく利用して、たとえばコミュニケーションボードという文字が書かれた文字盤を使って俳句を詠んだり、本の執筆活動につなげている方もいらしゃいます。また、今はインターネットの時代ですから、パソコンを使える場合は何かを発信することも可能です。これらのサポートを、医師や看護師をはじめとした栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、ケアマネージャー、ボランティアの方などが一丸となってチームで行うことも重要なポイントです。
脳卒中によるマヒのリハビリなどでも使用されていますが、ALSのリハビリでも積極的に利用されています。日常生活において「動かない」体を補助的にでも「動かせる」ようになることは、患者さんの心理に大きく影響します。HALのようなリハビリ器具の発展は患者さんのQOL(生活の質)に非常に役立ちます。
このようなロボットの能力は、今はまだ補助的に体を動かす程度でそれ以上のサポートが可能なレベルには至りません。しかし将来的には、自動的に手足を動かしてくれるロボットや、さらには考えている思考を読み取って自分の代わりに部屋の電気をつけたり他者とコミュニケーションをとってくれるようなブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)が開発されることがあるかもしれません。そのようなBMIが開発されたならこれほど素晴らしいことはなく、本当にそのような時代がやってくるなら、ALSのような病気を抱えていても医療の介入なしに社会で十分に暮らしていくことが可能になるでしょう。
介護老人保健施設恵仁ホーム 施設長
関連の医療相談が14件あります
ギランバレー、ALSについて
3月末から4月頭まで風邪。 4/15〜外傷がないのに肌がヒリヒリする。腕、背中顔など色々な場所、同時に皮膚の冷感、スースーするような感覚 4/30〜手指に力が入りにくい、動かしにくい感覚 5/5〜肩こり、筋肉痛 5/7〜筋肉のピクつき、腕の疲れ、体の疲れ、足の脱力感、つっぱる感じ があります。 明日脳神経外科でMRIとCTを取ることになっていますが、ネットで検索してALSを見つけてからノイローゼ気味で全くやる気も起きず、吐き気や喉の渇き、頭痛、食欲もなくなって、毎日泣いております。 明日検査してもすぐわかるわけではないですし、時間はかかると思いますがとにかく不安が解消されず、どう過ごしていいかわかりません。 上記のの症状があればかなり可能性は高くなるのでしょうか?
脱力感、痺れ。ALSかギランバレーへの不安
1月13日、左腕の違和感(筋肉痛のような)その後、左半身に痺れ発生。炭酸風呂に入っているようなシュワシュワした痺れと冷感。そして、脱力感。17日、個人病院の神経内科受診、脳CTでは異常なし。翌日、紹介状を持って大きな総合病院へ。脳MRIを撮り異常なし。1週間後に頚椎MRIを撮るも痺れにあたる異常なし。その間に左半身だった痺れが顔全体(顔面も含め)、右側にも広がりました。救急外来へ電話をするも脳MRIなども異常ないし、呂律がしっかりしているので緊急性はなさそう。平日、専門科で受診した方が良いと言われ1週間我慢。頚椎MRIも異常ないので、原因がはっきりせず。 ここで気になる病名です 1→ギランバレー症候群 12月21日にインフルエンザワクチン接種 顔面の痺れも含めた全身の痺れ、脱力感 力の入りにくさ 2→ALS 私自身、一番これを疑ってしまっています。 痺れ、脱力感、力の入りにくさ、手首の動かしにくさ、筋肉のピクつきなどが当てはまります。 来週、神経伝達速度検査をします。どうやったら、この不安が消えますか? この2週間、これらの病気のことを調べすぎて吐き気がおこるくらい精神的に追い込まれています。毎日、涙、涙しながら見なければいいのにALSばかり調べています。 あと、舌を見るとわかるとありますが舌を出すと小刻みに震えています。これは健常者でもあることなんでしょうか?
左腕細くなり手が上がりません
一年ほど前から左手が上がらなくなり、自分は、昔の左足の骨折が原因で筋肉が引っ張られて上がらんようになったとおもってたんですが、妻が半年ほど前だと思うんですが、お父さん左腕が細くなって来てるでと言われ自分も左腕が、正面側に上がらないので肩が横から見てたら左の肩だけ、重いものを持つと体が傾いておかしな姿勢になってると言われて、近くの整形外科に行きました。そこで三角筋とかその辺が筋肉落ちてるし、首のレントゲン撮影してもらったら頚椎が神経を圧迫してるしMRI取りに行って来なさいと言われて診察受けました。MRIの写真でも神経を圧迫してるから症状と合致はするがここからは僕では見きれないから大学病院の、脊柱外来紹介するからと言うことで大学病院の順番を待っていますが、腕が細くなってるのが、自分も気になります。神経のややこしい、病気もよく似た症状みたいなので何か、他にアドバイスがあればと思います。痺れは、たまにエアコンに入ってると手足に感じるんですが、それより筋肉のピクピクするのが気になります神経の病気を見てるとALSと言うのが初期症状でぴくつくと書いてあるのが多いのでどうなもんかなぁ怖いなぁと思っているのですが、あと現状では握力は落ちてはいません手先も普通に動きます左腰左足の外側の筋肉は歩くと重痛い感じで常に少しかばっているような状態で筋肉も引っ張られている感じです炎天下の中仕事してるせいもあると思うんですが、体重も春の健康診断より6キロほど前落ちています暑さの何かアドバイスがあれば教えて下さい
左半身不随意運動
5年ほど前から左手に違和感を感じ始め、少しずつ思い通りに動かなくなっております。 プルプルと震えて動かそうとしても動かないといった症状です。具体的には「パソコンの キーボードを押した後に指があがらない」「頭が洗えない」等です。2年前に某総合病院の 神経内科で脳のMRIとCTの検査をしていただきましたが異常なく、「手が動かなくなるのは 体質。その程度で病院に来るな。物が呑み込めなくなったらまたおいで」と言われました。 ただ、ここ1年くらい左足も思うように動かずバランス感覚がいちじるしく低下しており、また 右手も違和感を感じ始め、日常生活が一人で行えなくなってきたため、相談させていただき ました。薬でも治療でも少しでも改善できればと思っております。 下記にてその他の違和感のある症状をあげておきます。原因が違うもの等も含まれて いるのかもしれませんが、思いつくことあればアドバイスいただけたら幸いです。 ・頻尿になった(いきたくなると我慢できなくなった) ・声がかすれたように出ない時がある ・力が抜けない(常に手足に力が入っている) ・手足、わき腹等がつりやすくなった ・精神的にも異常(違和感)を感じている せめて、何科に相談すればいいかわかればいいのですがわからずのままです。 糸口でもよいので助けていただけないでしょうか。
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。
「筋萎縮性側索硬化症」を登録すると、新着の情報をお知らせします
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。