きんきょうちょくせいじすとろふぃー

筋強直性ジストロフィー

最終更新日:
2017年04月25日
Icon close
2017/04/25
掲載しました。
この病気の情報を受け取るこの病気は登録中です

処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

医師の方へ

概要

筋強直性ジストロフィーとは、筋力低下の症状や、心臓・中枢神経も含めたさまざまな臓器に合併症をきたす遺伝性疾患のひとつです。症状としては筋力の低下に加え、一度筋肉が収縮するとすぐには元に戻らない「ミオトニア」と呼ばれる症状が挙げられます。また、不整脈心不全認知機能低下糖尿病白内障など全身に幅広く症状を認めるようになります。

多くの場合はDMPKと呼ばれる遺伝子に異常が生じることで発症することが知られています。親よりも、子の症状が重くなりやすい傾向があります。日本においては難病指定を受けている疾患であり、10万人あたり5~6人ほどがこの病気を持っていると推定されています。全身への治療アプローチや遺伝カウンセリングも要するため、包括的な医療体制が求められます。

原因

筋強直性ジストロフィーは、1型と2型の2つのタイプに分類されますが、日本においてみられるのは、ほとんどが筋強直性ジストロフィー1型です。筋強直性ジストロフィー1型は、DMPKと呼ばれる遺伝子に異常が生じることから発症することが知られています。

DNAは塩基と呼ばれる物質で構成されており、さらに塩基にはアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)があります。筋強直性ジストロフィーの発症に関連するDMPK遺伝子の一部領域には、「CTG」と塩基がつながっている部分があり、「CTG」の並び方が反復している部分があります。正常であれば「CTG」の反復回数は37回以下ですが、筋強直性ジストロフィーにおけるDMPK遺伝子異常では、この「CTG」の繰り返しが50回以上生じます。

筋強直性ジストロフィー1型は、「常染色体優性遺伝」と呼ばれる遺伝形式をとります。ヒトの細胞には、DMPK遺伝子が2本存在しており、それぞれ1本ずつ両親から引き継いでいます。常染色体優性遺伝とは、2本のうち1本でもDMPK遺伝子に異常があると病気が発症する遺伝形式を指します。この遺伝形式では、遺伝子異常を有する親からお子さんが産まれる際、50%の確率でお子さんも病気を発症することになります。

症状

筋強直性ジストロフィーの症状は、筋肉に関連したものと、全身各種臓器に関連したものに分けることができます。筋肉に関連したものでは、「ミオトニア」と呼ばれる症状が特徴的です。ミオトニアとは、一度筋肉が収縮すると、筋肉がスムーズに弛緩できない状態を指します。日常生活でいうと、つり革を握った際に手が離せなくなる、缶を開けようとした際に上手に開けることができない、などの症状が出現します。また、筋肉が萎縮して筋力の低下がみられるようになります。呼吸を司る筋肉にも影響が生じ、呼吸不全に至ることもあります。

全身症状としては、中枢神経系や心臓をはじめとしてさまざまな症状が出現します。中枢神経系症状としては認知機能低下や日中の眠気が挙げられます。また、心臓の症状として不整脈心不全などを発症することもあり、治療介入を要する病態です。

心臓以外にも、糖尿病、高脂血症、性腺機能低下(インポテンツ、精巣萎縮、無月経など)、白内障、骨肥大、胆石、難聴など、各種臓器にさまざまな症状を生じる可能性があります。また悪性腫瘍を発症することもあります。

以上のような症状は、すべての患者さんにみられるわけではなく、乳児期の頃から筋力低下がある場合もあれば、青年期以降になるまで症状が明らかにならないこともあります。

検査・診断

筋強直性ジストロフィーの診断は、筋電図検査や遺伝子検査などをもとに行われます。筋電図検査では、「ミオトニア」を示唆する電気活動の確認を行います。遺伝子検査は血液を用いて、DMPK遺伝子におけるCTG領域の反復回数をサザンブロットと呼ばれる方法にて確認します。

筋強直性ジストロフィーでは、全身各種臓器に症状がわたるため、対象臓器に応じた検査も追加されます。たとえば不整脈の疑いがあれば心電図を行い、糖尿病の疑いがあれば血液検査でHbA1cと呼ばれる項目を確認することもあります。また、呼吸障害は重篤な死因となりうるため、定期的な呼吸機能検査は重要になります。

治療

筋強直性ジストロフィーには根本的な治療方法がないため、症状に対応したアプローチが必要になります。たとえば心不全不整脈に対しては、内服薬にて心不全治療を行ったり、ペースメーカーを挿入したり、植込み型除細動器での治療が必要とされることもあります。また、糖尿病に対しての治療介入も必要です。呼吸障害に関連して、無呼吸や誤嚥が生じることもあり、人工呼吸の補助が必要になることもあります。さらに肺炎を発症する場合には抗生物質の使用も検討されます。

筋力低下は進行性であり、リハビリテーションによる筋力維持や関節拘縮の予防、装具の使用なども検討されます。また、悪性腫瘍が発症するリスクが高いことも知られており、早期発見・早期治療介入が求められます。

医師の方へ

医師向けの専門的な情報をMedical Note Expertでより詳しく調べることができます。

この病気を検索する

「筋強直性ジストロフィー」を登録すると、新着の情報をお知らせします

処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください