ALS(筋萎縮性側索硬化症)は体を動かす際に用いられる「運動ニューロン」という神経が阻害され、それにともなって体中の筋肉が徐々に衰えていってしまう疾患です。この疾患は症状や進行が患者さんによって大きく異なるため、気になることがあれば早期に神経内科への受診することが大切です。
今回はALSの基本的な情報や今日の研究、受診される際の注意点などについて東北大学医学部 神経内科教授、青木正志先生にお話を伺いました。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは、体を動かす運動ニューロンという神経が障害を受け、運動や呼吸に必要な筋肉が徐々に衰えていってしまう疾患です。
ニューロンとは、神経のことを指します。神経は私たちの体全域に張り巡らされ、さまざまなはたらきをしています。
ニューロンには運動ニューロン、感覚ニューロン、介在ニューロンなどさまざまな種類があり、なかでも運動ニューロンは私たちが体を動かそうとするときに使われる神経です。たとえば、バットを振ろうとするとき、腕の筋肉が運動をします。運動ニューロンはこのときに腕の筋肉に信号を届ける役割を持っています。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)は2017年現在、日本に約1万人の患者さんがいらっしゃいます。罹患する患者さんの年齢層は中年以降が多く、最も患者さんが多いといわれているのは60〜70歳台です。また、男女比はやや男性のほうが罹患しやすいといわれています。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)と筋ジストロフィーは全く異なる疾患です。ALSは筋肉を動かす神経が障害を受けることによって、筋肉が痩せてしまいます。一方で筋ジストロフィーは筋肉そのものの疾患で、筋肉が変性を起こすことで筋力が低下してしまいます。また罹患する年齢も大きく異なり、ALSは中年以降の患者さんが罹患することが多い一方で、筋ジストロフィーは子どもの頃から罹患し、筋肉が痩せてしまうことがあります。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)は原因がまだ明らかになっていません。しかし、患者さんのうち10%は遺伝による家族性ALSを罹患しています。残りの90%は孤発性ALSといって、遺伝の関与がなく発症します。
また、家族性ALSも孤発性ALSも症状や進行に違いはほとんどありません。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)の症状は患者さんによっても千差万別です。初期症状として現れる症状も人によって異なります。たとえば、筋肉が痩せていってしまうので四肢の動きが悪くなったり、話すことや、食べ物を食べ、飲み込むといった発話・嚥下がしにくくなったりすることもあります。
疾患が進行し全身の筋肉が痩せきってしまうと、歩行、会話が難しくなり、呼吸も十分に行えなくなってきてしまいます。
上記のような症状がある一方で、進行しても目や耳はほとんど影響なく機能していることが1つの特徴です。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)は未だ治療方法が確立されていません。しかし、2つの薬を使用して症状の進行を遅らせる治療が行われています。現在使用されている薬は下記の2種類です。
<ALSの進行を遅らせる薬>
リルゾールは1999年よりALSの治療に用いられている薬です。この薬はグルタミン酸の量を抑えることで、ALSの進行を遅らせることができます。
グルタミン酸とは運動ニューロンが体に信号を伝える際に用いられる物質です。このように神経が情報を伝える際、使われる物質を「神経伝達物質」といいます。ALSに罹患すると、グルタミン酸が過剰になってしまうことが明らかになっています。
エダラボンは2015年にALSの治療薬として認可された、ALS治療の観点からみると比較的新しい薬です。もともとは脳梗塞で急性期の状態の患者さんを治療する際に用いられてきた薬です。
エダラボンは、フリーラジカルを抑える薬です。フリーラジカルはさまざまな疾患や老化の原因になっているともいわれています。ALSは罹患するとフリーラジカルが多く発生し、それが症状を進行させているのではないかと考えられています。
エダラボンの投与は、2週間おきに点滴で行う必要があります。そのため患者さんは2週間おきの通院が必要となります*。
*2023年4月より内服可能な製剤が発売され、自宅での投与が可能になりました。
現在は上記2つの治療薬でALSの進行を遅らせています。必ず2つの薬を使用するというのではなく、薬の効果、副作用なども視野に入れ検討し、その患者さんの容態、生活、希望に応じて治療方法を選択します。
上記でも申し上げましたように、ALSの症状やその進行は患者さんによって全く異なります。患者さんそれぞれの症状に対し、その症状を和らげる対症療法を行います。
たとえば、ALSでは筋肉や関節を動かせなくなってしまうことにより、それらが拘縮(こうしゅく)し、固くなってしまうことで痛みやしびれが生じることがあります。このような状態を防ぐため、リハビリを行います。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)は現在2つの治療薬で治療されていますが、それらを用いても進行を遅らせることができるだけで、病気の進行が完全に止まるわけではありません。そのため、より効果的な治療を開発するために世界中の医師が熱心に研究を続けています。
日本ではALSの研究がとりわけ盛んに行われており、東北大学では大阪大学とともに肝細胞増殖因子(HGF)を用いた治療の治験を行っています。この治験では、治療対象に当てはまる患者さんを全国から募集し、対象に合致した場合には実際に治療を受けてもらっています。
治験はその時期やタイミングに応じて、さまざまな医療機関で行われていることがあります。主治医の先生と相談し、最新の情報をきちんと確かめたうえで検討されるのもよいと思います。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)は初期症状に気が付きづらく、発見が遅れることがしばしばあります。しかし、より早く治療を始めたほうが治療効果も発揮されやすいことが明らかになっていますので、他の疾患同様、できるかぎり早期診断できることが望ましいといえます。
ALSは神経内科を受診しない限り、診断がつかない疾患です。しかし、筋肉が衰えていってしまう疾患なので、最初に神経内科の受診を連想しない患者さんも多く、発見が遅れてしまうケースもあります。うまく手が動かなくなってきたので整形外科を受診したり、うまく話せなくなったといって耳鼻科へ受診したりと、そのとき現れた症状に応じて受診する診療科がバラけてしまうことがあります。
もちろんその診療科の先生が、ALSを疑い、専門である神経内科医に紹介してくださる場合もあります。一方で、症状の明確な原因がわからず「様子をみる」というかたちで診療が終了してしまうケースもあります。そのようなとき、気になること、不安なことがあれば、ぜひ神経内科を受診していただきたいと思います。
また、ALSはほとんどの患者さんが中年期に罹患するため、筋肉の衰えなどの症状が見受けられても「歳のせいかな?」と考え、病院を受診しない患者さんもいらっしゃいます。このような患者さんにも、「おかしいな」と感じた段階で、ぜひ一度神経内科を受診していただきたいと考えています。
東北大学 大学院医学系研究科 神経内科学分野 教授、東北大学病院臨床研究推進センター センター長
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ギランバレー、ALSについて
3月末から4月頭まで風邪。 4/15〜外傷がないのに肌がヒリヒリする。腕、背中顔など色々な場所、同時に皮膚の冷感、スースーするような感覚 4/30〜手指に力が入りにくい、動かしにくい感覚 5/5〜肩こり、筋肉痛 5/7〜筋肉のピクつき、腕の疲れ、体の疲れ、足の脱力感、つっぱる感じ があります。 明日脳神経外科でMRIとCTを取ることになっていますが、ネットで検索してALSを見つけてからノイローゼ気味で全くやる気も起きず、吐き気や喉の渇き、頭痛、食欲もなくなって、毎日泣いております。 明日検査してもすぐわかるわけではないですし、時間はかかると思いますがとにかく不安が解消されず、どう過ごしていいかわかりません。 上記のの症状があればかなり可能性は高くなるのでしょうか?
脱力感、痺れ。ALSかギランバレーへの不安
1月13日、左腕の違和感(筋肉痛のような)その後、左半身に痺れ発生。炭酸風呂に入っているようなシュワシュワした痺れと冷感。そして、脱力感。17日、個人病院の神経内科受診、脳CTでは異常なし。翌日、紹介状を持って大きな総合病院へ。脳MRIを撮り異常なし。1週間後に頚椎MRIを撮るも痺れにあたる異常なし。その間に左半身だった痺れが顔全体(顔面も含め)、右側にも広がりました。救急外来へ電話をするも脳MRIなども異常ないし、呂律がしっかりしているので緊急性はなさそう。平日、専門科で受診した方が良いと言われ1週間我慢。頚椎MRIも異常ないので、原因がはっきりせず。 ここで気になる病名です 1→ギランバレー症候群 12月21日にインフルエンザワクチン接種 顔面の痺れも含めた全身の痺れ、脱力感 力の入りにくさ 2→ALS 私自身、一番これを疑ってしまっています。 痺れ、脱力感、力の入りにくさ、手首の動かしにくさ、筋肉のピクつきなどが当てはまります。 来週、神経伝達速度検査をします。どうやったら、この不安が消えますか? この2週間、これらの病気のことを調べすぎて吐き気がおこるくらい精神的に追い込まれています。毎日、涙、涙しながら見なければいいのにALSばかり調べています。 あと、舌を見るとわかるとありますが舌を出すと小刻みに震えています。これは健常者でもあることなんでしょうか?
左腕細くなり手が上がりません
一年ほど前から左手が上がらなくなり、自分は、昔の左足の骨折が原因で筋肉が引っ張られて上がらんようになったとおもってたんですが、妻が半年ほど前だと思うんですが、お父さん左腕が細くなって来てるでと言われ自分も左腕が、正面側に上がらないので肩が横から見てたら左の肩だけ、重いものを持つと体が傾いておかしな姿勢になってると言われて、近くの整形外科に行きました。そこで三角筋とかその辺が筋肉落ちてるし、首のレントゲン撮影してもらったら頚椎が神経を圧迫してるしMRI取りに行って来なさいと言われて診察受けました。MRIの写真でも神経を圧迫してるから症状と合致はするがここからは僕では見きれないから大学病院の、脊柱外来紹介するからと言うことで大学病院の順番を待っていますが、腕が細くなってるのが、自分も気になります。神経のややこしい、病気もよく似た症状みたいなので何か、他にアドバイスがあればと思います。痺れは、たまにエアコンに入ってると手足に感じるんですが、それより筋肉のピクピクするのが気になります神経の病気を見てるとALSと言うのが初期症状でぴくつくと書いてあるのが多いのでどうなもんかなぁ怖いなぁと思っているのですが、あと現状では握力は落ちてはいません手先も普通に動きます左腰左足の外側の筋肉は歩くと重痛い感じで常に少しかばっているような状態で筋肉も引っ張られている感じです炎天下の中仕事してるせいもあると思うんですが、体重も春の健康診断より6キロほど前落ちています暑さの何かアドバイスがあれば教えて下さい
左半身不随意運動
5年ほど前から左手に違和感を感じ始め、少しずつ思い通りに動かなくなっております。 プルプルと震えて動かそうとしても動かないといった症状です。具体的には「パソコンの キーボードを押した後に指があがらない」「頭が洗えない」等です。2年前に某総合病院の 神経内科で脳のMRIとCTの検査をしていただきましたが異常なく、「手が動かなくなるのは 体質。その程度で病院に来るな。物が呑み込めなくなったらまたおいで」と言われました。 ただ、ここ1年くらい左足も思うように動かずバランス感覚がいちじるしく低下しており、また 右手も違和感を感じ始め、日常生活が一人で行えなくなってきたため、相談させていただき ました。薬でも治療でも少しでも改善できればと思っております。 下記にてその他の違和感のある症状をあげておきます。原因が違うもの等も含まれて いるのかもしれませんが、思いつくことあればアドバイスいただけたら幸いです。 ・頻尿になった(いきたくなると我慢できなくなった) ・声がかすれたように出ない時がある ・力が抜けない(常に手足に力が入っている) ・手足、わき腹等がつりやすくなった ・精神的にも異常(違和感)を感じている せめて、何科に相談すればいいかわかればいいのですがわからずのままです。 糸口でもよいので助けていただけないでしょうか。
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