にきびとは、医学的には「尋常性ざ瘡」と呼ばれ、皮膚の毛穴に炎症を起こす病気のひとつです。
皮脂の分泌が盛んになる思春期以降、9割以上の人はにきびを経験しているといわれており、13~18歳ぐらいまでにできるにきびを「思春期にきび」、それ以降にできるにきびを「大人にきび」と呼んで区別することもあります。ちなみに、大人にきびは吹き出物とも呼ばれます。
にきびはありふれた皮膚トラブルであるため、適切なセルフケアを怠る人も多く、さらに病院を受診して治療を受ける人が少ないのが現状です。しかし、炎症がひどくなると、痛みを伴ったり赤く目立ったりするなど、さまざまな症状を引き起こすようになります。
また、炎症が皮膚の奥にまで広がるとクレーターのような跡ができてしまうことも少なくありません。
にきびができる原因は、皮脂の分泌が多いことと毛穴が詰まることです。
思春期になると男性も女性も二次性徴を迎え、性ホルモンが多く分泌されるようになります。性ホルモンは、皮膚を乾燥から守るはたらきを担っている皮脂の分泌を促します。
とくに思春期はホルモンバランスが不安定なため、過剰な皮脂が分泌されてしまうことがよくあります。その結果、毛穴の出口の角質が増加し、角質で出口がふたをされた状態になり、皮脂が毛穴にたまってしまいます。
毛穴の中にはさまざまな細菌が潜んでいます。これらを「常在菌」と呼び、普段は悪さをすることはありません。しかし、なかには数が多くなると悪さをするようになる細菌もあり、その1つがにきびの原因となる「アクネ菌」です。
アクネ菌は詰まった毛穴の中で皮脂を餌にしながら増殖していきます。そして、毛穴の中で炎症を起こし、にきびを作り出すのです。
通常、にきびは皮脂の分泌が多い顔や胸、背中などにできるものです。基本的な原因は皮脂の過剰な分泌と毛穴の詰まりですが、にきびの発症を助長する原因はできる部位によって異なります。
顔は皮脂の分泌が豊富なため、もっともにきびができやすい部位です。
とくに、おでこや鼻筋のいわゆる「Tゾーン」と呼ばれる部位は皮脂の分泌が多いため、にきびができやすくなります。
また、思春期を迎えてからの女性は化粧をする機会も多いため、洗顔では落としきれなかった化粧の残りが角質と共に毛穴詰まりを引き起こす原因になることも少なくありません。
さらに、顔は常に空気にさらされている場所です。皮脂が空気に長時間さらされると酸化して固くなったり、細かいほこりなどが付着したりして毛穴の詰まりを助長することもあります。
このため、顔のにきびはTゾーンだけでなく、比較的皮脂の分泌が少ない頬や顎のラインにできることもあるのです。
胸や背中も皮脂の分泌が多いため、ニキビができやすい場所です。
胸や背中は衣類などで蒸れやすく、また十分に洗浄がしにくいため、もともと細菌が繁殖しやすい部位でもあります。そのため、この部位のにきびは一度できると悪化しやすいことが特徴です。
白にきびや黒にきびなど、初期のにきびは上手に潰せば跡にならないことが多いものの、周辺にまで炎症が広がった赤にきびを潰すと跡になります。触らずそっとしておくことが一番だと分かっていても、洗顔や化粧の際などに、にきびが潰れてしまったというのはよくあるケースです。
なるべく跡を残さないようにする方法として、にきびを潰してしまったら、それ以上触ることはやめましょう。細菌が入り込み、にきびの悪化につながる場合があります。
血や膿が出ている場合は、ティッシュで優しく拭き取るだけにします。触りすぎると細菌が入り込んで炎症を引き起こす可能性があるだけでなく、組織を刺激することで治りが遅くなる可能性があるためです。この状態は、可能ならば病院での治療が望ましい状態です。
また、潰れたにきびが痛む、赤く腫れている、膿が出るといった場合には、抗生物質などを用いた治療も必要な場合があるため、必ず病院での相談を検討しましょう。
病院でにきびの治療を受ける場合、主に以下のような方法があります。具体的にどの方法を用いて治療するかは、にきびの様子や状態によって異なります。
にきび治療における塗り薬は、炎症を抑える成分や抗菌作用のある成分含まれたものが主に用いられてきましたが、角質増加に対する効果がないため、これらが単独では使用されることは減ってきました。角質を柔らかくして毛穴詰まりを抑えるアダパレン外用薬と併用されることが多いといわれています。
また、以前はよく使われていた硫黄製剤外用は、効果が低いなどの理由から近年ではあまり使用されなくなってきているようです。
さらに、過酸化ベンゾイルという成分の入った薬が2015年に登場しました。殺菌力と皮脂の過剰分泌を抑える効果があり、海外では古くから使用されてきた成分です。それと共に角質を取り除く効果も持っているため、日本でも好んで使用される薬になりました(2019年11月時点)。
飲み薬では主に抗菌薬として、アクネ菌を抑える効果が期待できるテトラサイクリン系薬剤が使用されます。そのほか、皮脂の分泌を抑えるビタミンB2やB6、ビタミンCが含まれたビタミン剤、炎症を抑える薬などが処方されることもあります。
また、にきびができやすい体質の改善を目的として漢方薬が用いられることもあります。漢方は種類が多いため自分に合うものを選ぶ必要があります。
面皰圧出という処置を行うこともあります。面皰圧出は、面皰圧出器という道具を用いて行います。毛穴内に詰まった皮脂を押し出すため、重症化を防ぐことが期待できます。
ただし、滅菌された医療機器を用いて一定の経験を積んだ医師が行わなければ、にきび内に細菌が入り込んで重症化することもあります。また、正しい方法で行わないと跡が残ってしまう可能性もあるため、自身で行うことのないようにしましょう。
近年登場したにきび治療機器として、高周波治療器があります。これは、炎症を起こしているにきびに極めて細い針を刺して高周波を流し、アクネ菌を殺菌すると共に皮脂腺を破壊して皮脂の分泌を減らします。
一部の医療機関で行われるようになりましたが、2019年11月時点では保険適応外であることに注意が必要です。
にきびは毛穴に生じる炎症ですが、悪化すると炎症が毛穴周辺の組織にまで広がっていきます。炎症によるダメージを受けた組織はでこぼこになることも多く、にきびが治ってもクレーターのような跡ができてしまうことも少なくありません。
とくに、顔にできたにきびの跡は美容上の観点からも精神的に大きなダメージとなることもあります。にきび跡を改善するために行われる治療は、主に以下のようなものがあります。
盛り上がったにきび跡になっている場所にステロイドを直接注射する治療法です。ステロイド注射は、にきび跡だけでなく、ケロイドや皮膚の傷跡に対する治療法として広く用いられています。
ピーリングは、古い角質除去と肌の新陳代謝を促進させるといわれています。
使用する薬剤や方法にはさまざまな種類があります。また、人によっては合わない場合もあるため、医師と事前によく相談することが大切です。
エステサロンのような場所でも行っていることがありますが、ピーリングが適切かどうかの判断は、皮膚科医が診察によって行うことが大切です。皮膚科や美容を専門とするクリニックでピーリングを行っている施設を探すのがよいでしょう。ただし、いずれの場合も保険適応外であることに注意が必要です。
レーザーや極めて細い針を用いてへこんだにきび跡にごく小さな穴をたくさん開け、その傷が治るときに皮膚の再生能力を発揮させ、へこみを改善する方法があります。
何度か繰り返す必要はありますが、現在のところ有力な治療法ともいわれています。しかし、こちらも2019年11月時点では保険適応外であることに注意が必要です。
いずれにせよ、にきび跡は治しにくいもののため、跡をつくらないように早めのにきび治療を心がけることが大切です。
にきびは原因がさまざまで、適切な治療を行ってもなかなか改善されないことが多いものです。ここでは、なかなか治らないにきびの原因として考えられるものや、自分でできる予防・対処法をお伝えします。
にきびの予防・改善のために大切なことは丁寧な1日2回の洗顔です。
洗顔のポイントとしては、泡をしっかり立てて毛穴の内部に詰まった皮脂を取り除くように優しく洗います。すすいだ後に拭き取る際も強く擦らないことが大切です。
また、化粧品など肌に使うものを見直してみることも大切です。皮脂は皮膚が乾燥すると分泌量が増えるため、保湿が大切です。自分の肌に合った保湿効果のあるものを選びましょう。
年齢を重ねると肌質も変わるため、10代の頃から同じものを使用しているという人は注意しましょう。にきびを繰り返しており自分に合うものが見つからない場合は、にきび専用の化粧水などを試してみることもよいでしょう。
しかし、なかなかにきびが改善しない場合には、長く悩むことにもなり得る跡を残さないためにも早めに病院で治療を受けることを検討しましょう。一部の調査では、病院での治療を早く受けた人のほうが、にきび跡が少ないという結果もあります。
にきび向けの市販薬は多数販売されており、にきびによる炎症を抑える成分が含まれているものが主とされています。ドラッグストアでも簡単に手に入るため、忙しい人は市販薬で済ませることも多いかもしれません。
しかし、2週間程度使用を続けても効果がみられない場合は、ほかの治療法を検討する必要があるため、病院への受診を検討しましょう。
なかなか治らないにきびには、ストレスが関係している場合もあります。
精神的なストレスから身体的なストレスまでさまざまですが、精神的ストレスを自覚している人は自分に合った発散方法を見つけてうまく切り替えができるとよいでしょう。
身体的ストレスとしては、疲労や睡眠不足が挙げられます。休めるときにはゆっくり休むよう心がけましょう。
ホルモンはにきびと深い関わりがあります。ホルモンバランスの改善はにきびの改善に期待できるとされており、睡眠や休息の確保など、生活習慣の見直しで改善していく場合があります。
とくに女性の場合は、月経周期とにきびが連動していると感じることも多いようです。月経の周期が規則正しいかなども注意してみるとよいでしょう。月経周期が不規則な場合には、皮膚科で相談し必要に応じて婦人科を紹介してもらうなどの対応もあります。
乾燥肌の人は、にきびができやすいといわれています。
にきび肌というと脂性肌がイメージされることがあります。しかし、実は皮膚の乾燥が皮脂の過剰分泌を促すため、にきびができやすくなることがあります。
洗顔後は皮膚が乾燥しやすい状態のため、しっかりと保湿する習慣を身に着けることが大切です。
医療法人社団ウェルエイジング・医療法人翠奏会・医療法人リアルエイジ静哉会 総院長、東京女子医科大学 名誉教授、東京薬科大学 客員教授、Dクリニックグループ 代表
日本皮膚科学会 認定皮膚科専門医
東京大学医学部を卒業後、1984年にパリ市パスツール研究所に留学し、皮膚がんに関与するヒト乳頭腫ウイルス34型、36型を発見した。帰国後、東京女子医科大学にて、ウイルス性疾患とともにアトピー性皮膚炎の診療、研究に携わり、アトピー性皮膚炎患者皮膚でのセラミド減少を報告した。39歳で同大学教授に就任し26年間務めたのち、2018年より医療法⼈社団ウェルエイジング・医療法⼈翠奏会・医療法⼈リアルエイジ静哉会の総院長に着任。皮膚科医としての視点から、AGAをはじめとして男性のさまざまな健康美を支えている。Dクリニック東京メンズ所属。
川島 眞 先生の所属医療機関
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鼻の頭のニキビについて
8月に鼻の頭に大きなニキビができました。 私は顔にニキビができやすく皮膚科通いの日々だったのですが、いつものニキビとは違って、硬くなく、むしろぶにゅぶにゅしてて柔らかかったんです。 皮膚科に行ったところ、おそらくニキビだろうということで潰すということになり、潰したことである程度は小さくなったものの、11月になった今でもまだなお私の鼻に君臨しています。 今はビタミン剤と皮膚科でもらった塗薬を使用しています。 8月以来、薬がなくなっていないので皮膚科には行っていませんが、もう一度行ったほうがよいのでしょうか。 というかこれは本当にニキビなのでしょうか。
4ヶ月位続くニキビではないようなできもの
6月頃から肌がヒリヒリし始めて変だなと思い病院にいきました。その時はニキビって言う感じではなくおでこと頬に跡というか浮き出てきそうな感じで痛い方が強くてニキビ用の薬を処方されて落ち着いたのですが数週間後からヒリヒリとつっぱりが増してきて他の病院にいきました。それから何回もそこの病院にいき毎回違う薬をもらったのですが中々治らなく最初行った時はできものが気にならなかったのですが2回目行ったくらいから頬にニキビではないんですが湿疹ができるようになりました。湿疹がある所が痒くなったり痛くなったりして辛いです。ヒリヒリとつっぱりもあり乾燥もします。化粧するのもうまくのりません。もう4ヶ月も続いているのですごく辛いです。外因もわからないので怖いです。これは治るのでしょうか、、
治らないニキビ
約1年ほど前、ニキビの量がだんだん増え始めたので皮膚科に行きました。そこで処方された薬を1ヶ月くらい塗っていたのですが、全く治らず、また皮膚科に行って薬を貰い、塗り続けても治りません。今はもう皮膚科に行くのを辞め、市販の薬を飲んでいます。 しかし、3年間くらいこの状況が続いているので早く治したいです。対処法を教えてください。
顔の吹き出物が繰り返す
鼻 額 眉間 ニキビではなく大きな吹き出物が しょっちゅうできる。 破裂し膿が出ることもある。 繰り返す。
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