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公開日 : 2016 年 08 月 02 日
更新日 : 2017 年 05 月 08 日

ダビンチによる前立腺がんロボット手術① 前立腺がんとは?原因・検査・診断・ステージと「PSA検診」の最新トピックス

横須賀市立うわまち病院 泌尿器科部長
黄 英茂先生

目次

前立腺がんとは?

前立腺は男性だけに存在する、生殖にかかわる臓器のひとつです。前立腺で作られる前立腺液は精液の一部として精子に栄養を与え、精子を保護する役割を持っています。

前立腺は膀胱の出口近く、恥骨の裏側に位置しています。大きさは栗の実程度であり、中には尿道が通っています。この前立腺の細胞ががん化して異常増殖するのが前立腺がんです。

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前立腺がんの疫学

部位別がんの人口
部位別がんの人口(国立研究開発法人 国立がん研究センターより引用)

前立腺がんの患者さんは年々増加しています。最新の統計では、がんにかかる患者さんの数(罹患数)を部位別に集計した結果、男性では2015年に前立腺がんが胃がんを上回り第1位となりました。

前立腺がんは高齢者に多く発症するため、人口における高齢者の占める割合が高くなるほど患者さんも増加します。また、血液中の前立腺特異抗原(PSA)の値を調べるPSA検診が普及したことも要因のひとつであると考えられます。

全世界での前立腺がん罹患数は、2008年のデータによれば年間約90万人と報告されています。男性におけるすべてのがんの中で2番目に多く、13.7%を占めています。年間死亡数は約26万人で6番目に多く、6%を占めています。

世界人口を基準とした年齢調整罹患率は28.5であり、全世界では2番目に多いがんです。ただし、地域によるばらつきが大きく、先進国では62.0とがんの中で最多であるのに対し、発展途上国では12.0で5番目となっており、5倍以上の差があります。

年齢調整死亡率は7.5であり、全世界で6番目に高いがんとなっています。先進国では10.6で3番目の高さですが、発展途上国では5.6で6番目となっています。米国では1990~1992年をピークに死亡率の減少が続いており、2007年には39%低下しています。

前立腺がんの罹患率の国際比較においては、がん症例登録の精度やスクリーニング(ふるい分け)の普及の度合いが異なるため正確に比較することはできません。2002年のデータではアメリカが119.9であり、ヨーロッパが61.6であるのに対して日本は12.6と報告されていますが、最新の研究では日本とヨーロッパの罹患率の差は2倍程度しかないと予測されています。

前立腺がんの原因・リスクファクターとは?こんな人は要注意

前立腺がんのリスクファクター

前立腺がんの原因として決定的なリスクファクター(危険因子)は特定されていませんが、遺伝的要因が重要であることがわかっています。父親や兄弟など、いわゆる第一度近親者の中に前立腺がんになったことがある人がいるとがん発症のリスクが高く、またその人ががんと診断された年齢が若いほど発症リスクは高いとされています。

たとえば第一度近親者に1人の前立腺がん患者がいた場合,前立腺がんの罹患率は2倍になり、2人以上いた場合は前立腺がんの罹患危険率が5~11倍に増加します。

また、父親が60歳以上で前立腺がんの診断を受けている場合は1.5倍、兄弟が60歳以上で前立腺がんと診断された場合は2倍、父親が60歳未満で前立腺がんと診断された場合は2.5倍、兄弟が60歳未満で前立腺がんと診断された場合には3倍リスクが増加します。

さらに祖父・叔父・甥・異父母の兄弟などの第二度近親者を含む親族の中に前立腺がんにかかったことのある人が2人いる場合は4倍、3人以上の場合は5倍リスクが増加します。

このほか、最近では細胞増殖に関係しているタンパク質の一種であるIGF-1によって前立腺がんのリスクが高くなる可能性が指摘されています。

また、明確なエビデンス(科学的根拠)はないものの、環境要因としては食生活の欧米化にともなう動物性脂肪の摂取量増加が、前立腺がんの発症リスクにかかわっているとの指摘があります。食品・栄養素では砂糖・乳製品・肉類・油脂類が前立腺がんの罹患率を高くする一方、豆類・穀物・コーヒー・魚・野菜の摂取は前立腺がんの罹患率を下げるものと考えられています。

日本では前立腺がんが男性がんの1位になったとはいえ、それでもアジアの国々は欧米と比較して前立腺がんの発症率が低いといえます。酸化ストレスやそれによって引き起こされる炎症は、前立腺がんを含む多くのがんの発症に深くかかわっていると考えられており、アジアの伝統的な食生活で多く摂取されてきた豆類などのポリフェノール類が前立腺がんの予防につながるのではないかと注目されています。

特に大豆イソフラボン・イクオール・茶カテキン・リコピン・セレニウム・ビタミンE などの機能性食品に前立腺がんの予防効果があるかどうかが研究されていますが、有効性を証明するにはさらなる研究が期待されるところです。

前立腺肥大症と前立腺がんはいずれも年齢とともに患者さんが増え、男性ホルモンであるアンドロゲンが関係しているなど、いくつかの共通点があります。しかし、それぞれの病気の発症に関して相互にどのような影響があるのかはわかっていません。

尿が出にくい・切れが悪い、あるいは頻尿や尿失禁などの前立腺肥大症の症状は、前立腺がんにも共通するものであるため、このような症状がある場合には鑑別診断が必要です。

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