S414x320 f734f8cf 0d8a 4d3b a30c 66364cef10cc

メディカルノートニュース

公開日 : 2017 年 05 月 19 日
更新日 : 2017 年 05 月 22 日

福島県の医療が持つ課題と菊地臣一先生が見据える将来像

公立大学法人福島県立医科大学 常任顧問 兼ふくしま国際医療科学センター常勤参与
菊地 臣一先生

地震大国といわれて久しい日本では、いつ地震が発生しても不思議はありません。そして日本の地震研究は世界でも有数の実績を誇ります。そのため世界各国の研究者は、大規模な地震は将来必ず発生するという前提のもと地震や災害対策について日本に学びに来ています。

2011年3月11日に発生した東日本大震災を経験した菊地臣一先生は、このときの経験から医療・行政ともに災害を意識した対策を講じる必要があると考えていらっしゃいます。

本記事では菊地先生が考える対応策について伺いました。

震災時の対応を見直すときが来た

災害対策

複合災害の対策を講じる必要

日本では地震や津波、火災などの災害が単体で発生した場合の政府や関係各所でガイドライン作成をはじめとする対策は講じられています。しかし地震と津波、地震と火事のように複数の災害を想定した対策は考えられていませんでした。

災害による被害を最小限に食い止めるため、今後は単独災害だけでなく複合災害発生時にはどのような対応をとったらよいのかについて考える必要があるといえるでしょう。

都市型災害専用の対策を講じる必要もある

戦後発生した震災の多くは地方で発生しました。人口の局地的な集中が生じている日本では今後、都市を想定した対策を取る必要があると考えています。現に南海トラフ地震や東海大地震などでは、都市部への甚大な被害が想定されています。

東日本大震災と同規模の災害が都市圏で発生した場合、これまでと比べ物にならない規模の被害が発生するでしょう。

また、東京や大阪などの大都市圏では、大学病院や大病院など複数の医療機関がひしめき合っている点にも目を向ける必要があります。先の震災の場合、福島県内では福島県立医科大学が唯一の大学病院として中心となり各種対策を講じましたが、人口の集中している都市部で同規模の災害が発生した場合、1か所の自治体の対応を1つの大学だけで対応するのは現実的な解決策ではありません。

そのため平時から、各医療機関が連携してどの機関がどの地域を受け持つかなど、医療機関や行政がそれぞれの災害時の役割について話し合う必要があると考えています。

災害時の物資調達に関して

ジャストインシステムの弊害

コスト削減の視点から、薬剤をはじめとする物資は必要となったときに必要な量だけ作製(発注)するジャストインシステムが主流となって久しいです。しかし、余分な在庫を置かないこのシステムが持つ緊急時に必要な物資が不足するという弱点が、今回の震災により露呈しました。

このことを受け、災害時を想定した医薬品の備蓄が求められるようになりましたが、どの医薬品をどれくらい備蓄するか、保管場所や機関、費用は誰が負担するのかなど問題は山積みです。

先ほど都市型災害を想定する必要があるとお伝えしましたが、特に人口密集地かつ土地の少ない都市にある医療機関では、この問題を皆さんが想像する以上に深刻な問題として捉えています。

S150x150 42836f3c 0e7f 4c5d 85f7 7a8a2d94d604

公立大学法人福島県立医科大学 常任顧問 兼ふくしま国際医療科学センター常勤参与

菊地 臣一先生

1971年福島県立医科大学卒業。1977年トロント大学ウェールズリイ病院にクリニカルリサーチフェローとして留学。その後、日赤医療センターに副部長として勤務し、福島県立田島病院院長を経て、福島県立医科大学整形外科教授に就任。3期9年にわたり福島県立医科大学理事長兼学長を務めた後、常勤顧問に就任。専門は脊椎・脊髄外科で、腰痛をライフワークとしている。