インタビュー

東京ベイ・浦安市川医療センターの看護師として-CCUでは患者さんの苦痛を軽減する工夫を

東京ベイ・浦安市川医療センターの看護師として-CCUでは患者さんの苦痛を軽減する工夫を
小坂 美重子 さん

東京ベイ・浦安市川医療センター 看護部 看護師

小坂 美重子 さん

この記事の最終更新は2017年08月23日です。

CCU(Coronary Care Unit:冠疾患集中治療室)とは、主に心臓血管系の疾患を抱える重篤患者さんを対象とした集中治療室です。重症の患者さんが集まる緊張感のある現場では、患者さんの状態をイメージする力が必要になるといいます。

あまり知られていないICU/CCU(集中治療室)で働く看護師はどのような想いで日々業務にあたっているのでしょうか。

東京ベイ・浦安市川医療センターのCCUで看護師として働く小坂さんは、患者さんが回復した姿を見るときに、大きな感動を味わうとおっしゃいます。今回は、同医療センターの小坂さんに、CCUの看護師としての取り組みや想いをお話いただきました。

私は、一般病棟の脳卒中から看護師としてのキャリアをスタートしました。異動をきっかけにICU/CCUの看護に携るようになりましたが、やればやるほど、ICUのような高度急性期医療の看護はハードな面もあり、若いうちに関わりたいと思うようになりました。

また、看護師としてスキルアップのチャンスでもあると思い、ICU/CCUの領域に携わってきました。しかし、何よりも自分がICU/CCUの領域で一生懸命になれたこと、夢中になって働くことができたので、ここまでやってこられたと思います。

写真提供:東京ベイ・浦安市川医療センター

私はこの病院に入職する前は、地方の病院で心臓分野の看護のリーダーをしていました。結婚を機に東京にきましたが、東京の病院は敷居が高いと感じており最初は迷いました。

ですが、まだこの病院が2年目のときに様々な縁が重なり、お誘いを受け入職しました。印象としては、まだ新しい病院で、未知のものにチャレンジしていく土壌があるように見えました。ここなら自分がそれまで積み上げてきた経験を生かすことができると思い、東京ベイ・浦安市川医療センターの看護師として働くことを選びました。

私は東京ベイ・浦安市川医療センターに入職する前からICU(集中治療室)の看護師として働いていました。他の病院で10年勤務した後に、こちらの病院で働き始め現在4年目になります。

ICUには、独自の教育プログラムがあり、一般的に、だいたい3年ほどかけて必要となる看護技術を習得します。私も最初は脳卒中から教育をスタートし、上司である看護師からOKサインをもらいながらスキルを習得していきました。

加えて、医師からは患者さんの病態的な部分を含めた治療面の要求を学びます。医師が決定した治療により、私たち看護師が行うケアも変わってくるため、医師からアドバイスを受けることは非常に重要です。

CCUの患者さんの急変前に起こる大きな変化は、呼吸回数だと思います。ですから、呼吸の様子が通常と異なる患者さんは特に注意するようにしています。

また、CCUは主に心臓血管系の疾患を持つ患者さんが集まる場所なので、患者さんの心臓が今どのような状態か常に想像する必要があります。

たとえば、心臓には4つの部屋がありますが、そのうちどこの血液が足りていないか想像することが重要です。さらに、どこかに血液が足りない場合、その原因は出血なのか感染なのか、冷静に考える技術が求められると思っています。

心臓

そのようにイメージすることができれば、必要なケアも変わってきます。たとえば、CCUにおいて、動かしてはいけない患者さんは絶対に動かしてはいけません。状態が悪い患者さんを動かすことで血圧に異常を来してしまうなど、重篤な症状を引き起こす場合があるからです。

このようなことを避けるためにも、常に患者さんの状態をイメージすることは必要な能力であると思っています。

また、基本的なことなのですが、私は報告・連絡・相談を非常に大事にしています。というのも、チームでコミュニケーションエラーが起こることがあるからです。

たとえば、「これをやって」と伝えたつもりが、相手には「これをやるね」に聞こえていて、結果どちらが実施したのかわからなくなってしまったりすることがあります。ですから、私は極力何かを頼まれたときは、「〜をするのですね」というように必ず言葉を繰り返すようにしています。

チーム内でお互い何をやるか確実に伝え合うコミュニケーションが重要になると思っています。

私は、医師が考える治療プランに異を唱えることも、看護師の役割だと思っています。医師とは異なる目線を持つ私たちの意見を伝えることで、よりよい治療につながることがあると思うからです。

患者さんの症状を確認しながら行うベッドサイドカンファレンスは頻繁に実施していますし、医師との垣根が低く看護師としての意見を言いやすい環境であると感じます。

私たち集中治療室の治療には、必ずと言っていいほど苦痛が伴います。もちろん、何に苦痛を感じるかは、患者さんにより異なりますが、たとえば、トイレに行けないというだけでも大きな苦痛を感じる患者さんも少なくないでしょう。

私は、急性期治療と緩和は並行して実施すべきだと考えています。ですから、患者さんの苦痛を和らげるため、薬で対応できるようであれば医師にリクエストをすることもあります。また、精神的な安心につなげるために、ご家族の面会回数を増やすよう工夫することもあります。

このように、患者さんに関する情報収集を積極的に行い、できるだけ苦痛のないように尽力することも、私たち看護師の役目であると思っています。

入院中の患者さんに接する看護師

医師とともに患者さんの治療に向かい、その治療がうまくいったときには、大きな感動ややりがいを感じます。

たとえば、患者さんが呼吸器を離脱することができたり、背もたれなしで座ることができるようなった姿を見るときは、非常に感動し、なんとも言えないほどの嬉しさがこみ上げます。

東京ベイ・浦安市川医療センターのスタッフはエネルギーがある者ばかりです。もちろん想いやキャリア、生活スタイルは様々ですが、モチベーションの高い看護師ばかりだと思います。

患者さんの病態や治療法、ご家族のことを本気で考えることができる熱意を持つ者が多い点が特徴だと思います。周囲にそういう者が多いと、その方向に自分も引き寄せられます。

実際に、患者さんの治療方針も、看護師同士でディスカッションする中で生まれることが多いです。活発に話し合う環境に刺激を受けることが、続けてこられた原動力であるのかもしれません。

看護師同士のカンファレンス

また、東京ベイ・浦安市川医療センターは、新しいことへのチャレンジが好きな病院でもあります。スタッフは課題をたくさん出され忙しくなることもありますが、それによって常に新鮮な気持ちで働くことができていると思っています。

私たちICU/CCUの看護師の中にも、キャリアアップのために資格取得など学習を続ける者が数多くいます。部署全体でそれを応援する雰囲気があり、目標を持ち努力することが素晴らしいと称えるような風土があります。

周りの看護師の中には、学校に通うために夜勤専従のスタッフとして働く者もおり、交渉次第で病院側にキャリアアップを支援してもらえる環境がここにはあります。

私は、治療のみを捉えるのではなく、患者さんの長期的なゴールを見据えた看護観を持てる人でありたいと思っています。また、患者さんとそのご家族が納得する治療を提供する環境を整えることができる看護師を目指しています。

お話ししたように、私たちの病院はモチベーションの高い看護師ばかりです。目指す看護師像がありエネルギーのある方と、お互いに影響を与え合いながら働くことができれば嬉しいです。

 

東京ベイ浦安市川センター・看護部HPはこちら