院長インタビュー

すべての病院機能を集約した新病棟で、最新医療を提供する立川病院

すべての病院機能を集約した新病棟で、最新医療を提供する立川病院
三田村 秀雄 先生

国家公務員共済組合連合会立川病院 顧問

三田村 秀雄 先生

この記事の最終更新は2017年08月17日です。

国家公務員共済組合連合会 立川病院は、2017年に東京都立川市錦町の旧棟隣の敷地へ新築移転し、外来、入院、検査、手術などの病院の全機能を集約しました。これまでも地域の急性期総合病院として高度な医療を提供してきた同院が、新病棟においてどのような医療を実践していくのか、同院の病院長である、三田村秀雄先生にお話を伺いました。

当院は、400万人の人口を有する東京多摩地区においてその中心都市として発展し続けている東京都立川市にあります。地域の中核的役割を担う病院であり、2次救急医療機関の指定を受けています。2015年度の外来患者数は1日あたり820人、手術件数は年間4,000件を超えます。精神身体合併症入院病床を含む450床の病床を有し、2次救急病院として緊急性の高い患者さんへの医療の提供とともに、誰もが受診できる地域のための病院として、専門知識と技能を持った医療スタッフをそろえた総合病院です。

当院は、1943年に東京第二陸軍共済病院として創設されました。軍人だけではなく、そのご家族や地域の住民の治療も行う共済病院でした。戦後も長く地域を支える市民病院として親しまれてきました。1964年に本館を全面改築して以来、時代のニーズに合わせて病棟の改築・増築を行ってきました。しかし、時代の流れとともに病棟が3つに離れていることが不便でかつ診療機能上の問題も無視できなくなりました。

そこで、最新の設備と機能を備えた新病棟を2017年にオープンさせました。

立川病院 エントランス

新病棟の新築以前は、機能ごとに病棟が分かれていましたが、外来・入院・検査・手術など病院のすべての機能をひとつの建物に集約しました。それにより、新築以前よりも安全かつスピーディに当院の医療が提供できるようになりました。救急車で搬送された患者さんは広くなったERで初期の対応をした後、必要あればすぐ隣の心臓カテーテル室で冠動脈の緊急治療を受けることができるようになりました。消化器、呼吸器、脳神経などの領域については同じフロアに内科と外科を配置し、同時にまたは連続して診療を行えるようになりました。

また、当院は地域周産期母子医療センターに指定されており、周産期にかかわる高度な医療を担っています。分娩後、新生児が未熟児だった場合、同じフロアのNICUに入院し、さらにそのまま小児科一般病棟で治療を受けるという流れがスムーズにできるようになりました。

当院は、東京都災害拠点連携病院に認定されております。そのため、地域の医療を守る基幹病院として、万一の地震災害のときには、入院中の患者さんの安全確保はもちろん、地域の被災者への対応ができなければなりません。そのため、新病棟は免震構造を採用し、震災に強い病院へと変わりました。

災害時には、駐車場にトリアージルームを設け、多数の負傷者のなかから、より重症な方に対して集中治療を提供できるような体制を構築します。さらに、駐車場内に緊急ヘリポートも確保しています。道路が封鎖された場合でも、患者さんの移送や物資の輸送を可能にするためです。

新しい病棟では、コンピューターシステムを最大限活用し、最新鋭の機器を用いた高度医療の提供や、患者さんの利便性の向上を実現しました。

たとえば、CTと呼ばれるX線を使って体の断面を撮影する検査と、アンギオ(血管造影)や放射線治療を組み合わせたハイブリッドシステムを導入し、高度な検査や治療を可能にしました。アンギオ撮影時(血管造影時)に、CTの機械が患者さんに向かって移動しCTの撮影を行うことで、肝臓がんの動脈塞栓術や生検が安全で確実に行えるようになりました。また、放射線治療時(リニアック使用時)に、CTの撮影を行うことで、放射線治療をより精密に実行できるようになりました。呼吸などにより患者さんが動いてしまっても、広い範囲に照射せずに、狭い範囲に集中して照射することが可能です。

そのほかにも、ICカードを利用した防犯システムを導入しセキュリティを確保しました。また、新病棟のすべての病室でWi-Fiの使用を可能にしたり、外来の待ち時間を患者さんの携帯電話で確認できるサービスを導入したりしました。以前、当院の患者さんから、いつ呼ばれるかわからない状況で、小さい子どもを長時間待たせることがとてもつらい、というご意見がありました。待ち時間を自分の携帯電話で確認できることによって、たとえば駐車場に停めた車のなかで待ったり、家が近くなら自宅で待機していて自分の順番が近くなったら病院にいらっしゃったりすることも可能になりました。

立川病院

新しい病棟は、立川市の再開発事業とも関連して緑地を非常に多く取り入れた設計にしました。隣接するたましんRISURUホールや公園とフェンスを挟まずつながっており、通院される患者さんや病棟に入院中の患者さんやご家族に、安らぎや癒しをご提供できたらと思います。

2018年には立川駅〜国立駅間の路線バスが停車するようになります。さらにレストランやコンビニエンスストアもオープンし、患者さんにとってますます便利になります。

立川病院

お若い患者さんの治療は、特定の疾患に対する集中的な治療を行うことが多いですが、ご高齢の患者さんの場合、複数の疾患を抱えているという状況が多くなっています。そのため、当院は、総合病院であるメリットをいかし、各分野の専門医が協力し、診療科や職種を越えた多職種連携によるチーム医療を実施しています。

症例について意見を出し合うカンファレンスを診療科ごとに実施する以外にも、全内科の医師や職員が集まるカンファレンスや、多摩地区のほかの病院の医師との合同カンファレンスを積極的に行っています。そこでは、非常に高いレベルでのディスカッションが多く行われます。

当院では、高い専門性と倫理観に基づき、地域医療に貢献できる、患者さん中心の安全・安心な医療を実践できる人材の育成を目指しています。内科系・外科系の各臨床分野だけではなく、救急科・放射線診断科や放射線治療科・病理診断科などを含めたすべての診療科に指導医を配置しています。当院は慶應義塾大学医学部と緊密な連携をとっており、博士号取得を目指す職員のために臨床と研究の両立ができる体制を作るなど、職員のキャリアアップを支援する仕組みがあります。

また、当院は、全国に33か所の病院を有する国家公務員共済組合連合会病院のひとつです。国家公務員共済組合連合会には、単独の病院では維持が難しいシミュレーションラボセンターや充実した図書室を有し、医療データベースを自由に利用できる環境を整えています。後期研修医の希望に応じた国内留学制度やスタッフの海外留学を支援する制度もあります。

当院の理念である「質の高い、思いやりのある医療の実践」を実現するために、当院では次の3点を大切にしています。

  •  患者さん中心の医療(Patient centered care)
  •  皆の恊働で実践する医療(Partnership)
  •  高い専門性と倫理観に基づく医療(Professionalism)

私が日頃職員全体に伝えていることは、「病院は決して一人の医者がたくさんの患者さんを診るための場所ではない。一人の患者さんをたくさんのプロのスタッフが恊働して見守る場所である」ということです。当院の職員は、専門知識や専門技能を高めることはもちろんですが、患者さんに対する責任感を常に意識できる人であって欲しいと考えます。それは、患者さんがつらい場面においては、疾患の治療を優先するのではなく、患者さんのつらさを取り除くことを最優先にしてケアにあたるべき、と判断できるような方です。

病気を治すことだけではなく、「患者さんにとって幸せな時間を作る」のが当院の使命です。ときには、治せない病気だったらどうするのかを考える必要が出てくるかもしれません。患者さんにとって幸せな時間を作るために、我々にできることは何かを一生懸命考えることが重要と考えています。

三田村先生

新しい病棟のオープンに先駆け、当院のシンボルマークを作成しました。左右対称な立川病院の「立」と「川」の字をいかして、「立」と「川」を縦につなげ、さらに病院の形をイメージできるマークにしました。新病棟にあふれる緑をシンボルマークの色に採用し、新しくなった立川病院を象徴するわかりやすいいマークになったと思っています。

少子高齢化社会において、地域で患者さんを支え、患者さんに切れ目のない質の高い安全・安心な医療サービスを提供することが、地域医療支援病院である当院の役割です。そのために、地域の開業医の先生方や医療機関とより強固な連携を結び、地域全体で患者さんの健康を守ることができるよう努力します。

患者さんがこの先もずっと安心して暮らせるように、患者さんの幸せな時間をお手伝いできるように、職員一同思いやりのある医療の実践を心がけてまいります。

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