【院長インタビュー】

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地域の信頼に応え、患者さんもスタッフも引き付けるマグネットホスピタル ...
磐田市立総合病院は、静岡県の磐田市に位置する医療機関です。1941年に国民健康保険組合立磐田病院として開設した後、1998年に磐田原台地の高台に移転し、500床に増床した磐田市立総合病院として生...
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地域の信頼に応え、患者さんもスタッフも引き付けるマグネットホスピタル 磐田市立総合病院の取り組み

公開日 2018 年 12 月 18 日 | 更新日 2018 年 12 月 19 日

地域の信頼に応え、患者さんもスタッフも引き付けるマグネットホスピタル 磐田市立総合病院の取り組み
鈴木 昌八 先生

磐田市病院事業管理者兼磐田市立総合病院病院長

鈴木 昌八 先生

目次

磐田市立総合病院は、静岡県の磐田市に位置する医療機関です。1941年に国民健康保険組合立磐田病院として開設した後、1998年に磐田原台地の高台に移転し、500床に増床した磐田市立総合病院として生まれ変わりました。地域の皆さんが安心して暮らせるよう医療のセーフティネットを担うべく、スタッフの増員を図り、多様な医療機器を導入するなど、地域の患者さんのニーズに応えられるように努めています。

今回は、病院事業管理者兼病院長の鈴木昌八先生に、病院の取り組みや今後の目標についてお話をお伺いしました。

磐田市立総合病院の実践する医療

 

病院外観(磐田市立総合病院ご提供)

当院は救命救急センター、地域周産期母子医療センター、地域がん診療連携拠点病院、そして地域医療支援病院に指定されています。当院の基本理念「医療の原点は思いやり」を念頭に置き、地域の中核病院としてこれらの診療体制の充実を図り、地域の皆さんから信頼され選ばれ続ける医療機関を目指して日々努力しているところです。

 

地域周産期母子医療センターの様子(磐田市立総合病院ご提供)

消化器疾患、特に肝胆膵領域の診療実績が豊富

当院は厚生労働省が指定する中東遠医療圏唯一の地域がん診療連携拠点病院になっています。肺がん、大腸がん、胃がん、肝臓がん、乳がんの5大がんをはじめ、さまざまながんに対して、手術あるいは内視鏡的切除、化学療法、そして放射線治療の中から患者さんの状態とがんの進行度に見合った適切な治療法を提供しています。

特に治療の難しい肝胆膵領域がんの手術に関して、日本肝胆膵外科学会の定める高難度肝胆膵外科手術を多く手掛けている高度技能修練施設Aに認定されています。体に優しいがん治療である放射線治療については、ノバリスなどの治療機器を取り入れながら、多職種によるチームで専門的な治療にあたっています。

また、いまだに進行例で発見されることが多い膵がんに対しては、地域の医師会の協力の下にがん発症の危険因子を持っている患者さんを拾い上げ、早期発見つなげるプロジェクトが進行しています。

臨床の現場を支援する放射線診断や病理診断部門も充実しており、日本医療機能評価機構から病院機能評価における認定を受けています。2018年9月時点で、5名(そのうち1名は非常勤医師)の日本医学放射線学会認定の放射線科専門医と、3名の日本病理学会認定の病理専門医が在籍しており、迅速で詳細な診断レポートが当院のがん診療を支えています。

ノバリス…放射線治療装置の一種。1ミリメートル以下の精度で照射位置を補正することができる。

 

ノバリス(磐田市立総合病院ご提供)

医療通訳拠点病院・JMIP(外国人患者受入れ医療機関認証制度)認証機関

磐田市のある静岡県西部地域にはブラジル人が働いている企業が多数あります。磐田市の人口に占める外国人の割合は、2018年8月末現在4.4%になっています。このため、当院を受診された外国人患者さんに対応する医療通訳を院内に配備しています。このような実績が認められ、2015年には厚生労働省の支援事業である「医療通訳拠点病院」に選定されています。今後の外国人労働者の増加を見据え、外国籍の患者さんの受け入れ環境を充実させるため、2018年2月に日本医療教育財団が認証するJMIP(外国人患者受入れ医療機関認証制度)を受審。同年3月にJMIP認証機関となり、多数の外国人患者さんが受診されています。

現在の課題と取り組み

当院のある中東遠医療圏の抱える課題は、医師数が少ない静岡県の中でも人口10万人当たりの医師数が146.3人(2016年12月時点)と最少の医療圏であるということです。当院には初期研修医含めて146名の医師が在籍していますが(2018年8月時点)、診療科によって偏りがあります。お隣には政令都市浜松市があり、生活圏でもあるため、疾患領域によっては浜松市の医療機関にお世話になっている住民も多く、流出患者割合の高い医療圏になっています。

当院では医師派遣先の大学医局への協力要請に加え、教育研修に携わる医師や事務職たちと県内外での初期研修医のリクルート活動も積極的に行っています。その甲斐あって2018年度も初期研修医のマッチングはフルマッチになりました。また、地域完結型医療を推進するうえで、地域医療についての住民への啓発活動にも取り組んでいます。

市民講座などの院外活動

当院では年2回、最新の医療情報を発信する場として、院外で市民公開講座を開催しています。これとは別に、今まで以上に予防医学が重視される時代になり、病院職員が学校や企業などに出向いて講演する出前健康講座も開講しています。しかし、一方的に講演しているだけでは、参加した皆さんの生の声が返ってこないことを課題と感じるようになりました。また、国の医療政策の変革が進む中で、医療の中心にいる住民に情報が周知されていないことにも疑問を持つようになりました。そのため、国の進める地域医療構想や病院完結型医療に関する話題に加え、医師不足や医師の働き方改革、そして応召義務など地域医療への影響が大きいと考えられる内容を盛り込みながら、地区ごとの交流センターでセミナーを開催しています。地域住民と直に意見交換できる有意義な場となっています。

 

市民公開講座の様子(磐田市立総合病院ご提供)

スタッフも引き付けるマグネットホスピタル

当院は患者さんや地域の皆さんから信頼され、愛され続ける病院を目指すと共に、当院で働くスタッフも引き付けるマグネットホスピタルでありたいと願っています。

医療の知識だけでなくリベラルアーツ(一般教養)も身につける

当院のスタッフには医療の知識だけでなく、リベラルアーツ(一般教養)にも目を向けてもらうために「輝楽塾」という講座を静岡産業大学の支援を受け2017年度から開講しています。2018年6月には秋からのフェルメール展に関連して、フランドル絵画の第一人者の先生にフェルメール作品の鑑賞の仕方についてお話をしていただきました。職員の関心も高く、ご家族・知人を含めた多数の参加がありました。忙しい医療現場で働く職員の人間力の幅を広げる貴重な時間であり、有志の会として継続して開講していきたいと考えています。

 

輝楽塾の様子(磐田市立総合病院ご提供)

所属部署以外の仕事にもチャンレンジ

当院では、自分の所属部署以外の仕事にも取り組むことが可能です。たとえば、リハビリの技師であっても経営に興味を持っている場合は、午前中の業務を終えた後に経営企画課の仕事にもチャレンジしてもらいます。当院のFacebookも、病院の広報に興味のある診療放射線技師や臨床検査技師の積極的な取り組みによって生まれ、日々更新されています。病院だからこそ経験できる多彩で幅広い仕事にチャレンジすると共に、タスクシフティングやワークシェアリングにも取り組み始めています。

病院文化の醸成

5S活動を通じて病院運営に参画

5Sとは「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の5つの頭文字をとったもので、民間企業で積極的に取り入れられている手法です。必要以上に物を置かない、誰でもすぐ分かる場所に物を置く、さらに清潔に保つということを常に心がけることで、作業効率を上げ、不良在庫も抑えられるため、最終的に企業の経済効率を高めるという効果があります。

当院では、職員の病院への愛着を高め、病院運営への参画意識を高める取り組みのひとつとして、2007年4月から5S活動に取り組んでいます。年1回、各部署から5S活動の成果を披露しています。優秀な取り組みを行った部署は表彰しています。最近では、5Sの磐田として全国的に知られるようになり、国内外の医療機関から多くの講演依頼や視察の申し込みをいただいています。

導入当初は医療安全と関連して、収納方法の改善や部署での手順の見直し・改善に重点が置かれていましたが、現場でのコスト意識にも目が向けられています。組織を活性化するプログラムとして有益であり、当院の文化として5S活動は進化しています。

職員の働きがい・やりがいアップに向けた表彰制度

当院は国民健康保険組合立磐田病院として開設されて以来、70年が経過していますが、職員表彰制度がありませんでした。そこで、「医療の原点はおもいやり」という基本理念を現場で実践している職員たちの行動の中からこれこそはと思える素晴らしい取り組みの事例を推薦し、全ての職員でその行動を讃え合おうということで2017年度から設けました。「おもてなし大賞」に輝いたチームや「ベストスタッフ賞」を受賞した職員を、授賞式後に開催された職員懇親会の席で盛大にお祝いいたしました。今後も職員の資質向上と働きがい・やりがいのある活力ある病院づくりに取り組んでいきます。

鈴木院長からのメッセージ

 

 

医師は感性(センス)を磨くことが重要

医師は人が好きでないとやっていけない仕事です。高度な医療技術を身につけるのはもちろんのこと、常に患者さんのことを思いやり、コミュニケーション能力を培っていくことが大切です。術後管理が大変であった時代に肝胆膵外科医の道を歩んだためかもしれませんが、診療の現場では感性(センス)を磨くことがとても重要です。患者さんの状態の変化を敏感に察知するセンスを磨いていくことで臨床能力が育まれ、医師としての人生も充実したものになっていくものと考えます。

目標は信頼され愛され続ける病院

少子高齢社会となり、人口減少が進む中、よい街づくりの核はしっかりとした病院があることです。私たちは地域のニーズに応えるべく、優秀なスタッフと精度の高い医療機器をそろえ、常にチーム医療のレベルアップに心がけています。そして、患者さんもスタッフも引き付けるマグネットホスピタルとして、地域から信頼され愛され続けることを目標に職員一同がんばっています。

1981年から外科医としてのキャリアを始める。主に静岡県内の病院で修練を積んだ後、浜松医科大学第二外科で肝胆膵外科医の道に進む。
2008年に磐田市立総合病院に副病院長として赴任、2012年から病院長に就任。『我以外皆我師哉』を座右の銘とし、日々の診療や病院運営・経営に当たっている。