院長インタビュー

呼吸器疾患と神経難病の治療を中心に専門医療を提供する西新潟中央病院

呼吸器疾患と神経難病の治療を中心に専門医療を提供する西新潟中央病院
内山 政二 先生

国立病院機構 西新潟中央病院 病院長

内山 政二 先生

目次
項目をクリックすると該当箇所へジャンプします。

この記事の最終更新は2019年02月01日です。

新潟県新潟市西区真砂に位置する国立病院機構西新潟中央病院は、呼吸器疾患と神経難病に対する専門医療を主軸とする総合病院です。

今回は、西新潟中央病院の院長 内山政二先生に同院の取り組みについてお話を伺いました。

病院外観

国立病院機構西新潟中央病院は、1995年に国立西新潟病院・国立療養所寺泊病院・国立療養所村松病院の3つが統合され、国立療養所西新潟中央病院として誕生しました。統合前はそれぞれ、結核や慢性呼吸器疾患、てんかんの専門治療施設として地域で発展を遂げた病院・診療所でした。2004年には、国立病院の独立行政法人化に伴い、独立行政法人国立病院機構西新潟中央病院へ改称しました。さらに、2013年に新病棟を竣工し、現在にいたります。

2018年1月現在、当院は診療科10科に加え、呼吸器センターや肺がん治療センター、てんかんセンターなどの各種センターや専門外来を設置しています。また当院には11ものセンターがあり、得意とする専門分野に特化した「専門職種によるチーム医療体制」のことをセンターと呼んでいます。常に現状より質のよい医療を提供できるよう、各スタッフが連携し患者さんに向き合っています。また、病床数は400床(てんかん・機能脳神経外科、肺がん、呼吸不全・呼吸器一般、神経難病・整形外科250床、結核30床、重症心身障害児(者)120床)を有し、より専門的な医療の提供に努めています。

数ある専門医療のなかでも呼吸器疾患(肺がん、結核、各呼吸器疾患など)と神経難病(てんかん、パーキンソン病、重度心身障害など)の治療については特に力を入れており、当院の「ツインタワー」といえます。

呼吸器疾患・神経難病の治療を受けるために、国内はもちろん、海外からも患者さんがいらっしゃいます。特にロシアから来院される患者さんが多く、院内には日本語のほかに英語、ロシア語の案内を設置しています。

 

院内受付

当院では、特殊な疾患を多く扱っていることから、診療だけではなく研究にも注力しています。意欲的な医師の活動のおかげもあり、毎年、多岐にわたる研究発表を行っています。「地方都市から世界水準の医療を提供する」という志を掲げ、今後は診療から研究、新薬開発まで取り組んでいきたいと思います。

一般的に、呼吸器疾患と神経難病は乖離している分野と思われがちです。しかし、実際多くの患者さんに向き合っていると、関連する部分が多くあると体感しています。

たとえば、神経難病では四肢が徐々に動かなくなり、次は呼吸ができなくなる場合が多くあります。そのため、神経難病の治療において、呼吸器分野の医療は必要不可欠です。そういった観点からも、呼吸器疾患と神経難病を強みとしている当院では、患者さんに安心して治療に向き合っていただける環境が整っていると考えています。

当院は、国立病院機構への移管後に結核治療から呼吸器治療全般へと専門領域を変化させました。呼吸器センターと肺がん治療センターを開設し、肺がんをはじめアスベスト関連疾患睡眠時無呼吸症候群など、専門的な治療に注力しています。特に、肺がん治療には力を入れており、2014年にはがん診療連携準拠点病院にも指定されました。

 

手術の様子

また、センター機能を持たせることにより、外科と内科で連携が取れた医療を提供しています。限られた人数のなかで、患者さんに寄り添った医療を提供できるように努力しています。

てんかん診療地域連携拠点は全国に8か所あり、そのうちの1つが当院です。てんかんに関する専門的な相談支援、他の医療機関・自治体・患者の家族との連携や調整を図るほか、関係機関の医師等に対し、助言・指導などを行なっています。

診療面では、てんかんの脳外科手術に注力しており、国内外から患者さんがいらっしゃっています。併せて、薬剤治療、リハビリテーション、食事療法も実施し、一貫したてんかん治療を提供しています。

てんかん治療用の脳磁図装置

当院は、新潟県内における結核の防波堤として重要な役割を担っています。結核専門の病室を保有しており、結核の患者さんがおられたときは、待ったなしの受け入れ体制を整えています。

また、救急医療にも尽力しており、新潟市の救急輪番に参加しています。専門医療を軸とする病院ではありますが、総合的な医療もしっかりと充実させ、地域の安全を守る役割を果たしていきたいと思っています。

医師や看護師に限らず、すべての職員は貴重な人材です。どの分野が欠けても病院は機能しません。病院は、地域にとっては「健康を守る宝」ともいえる大切な存在です。そのため、医療従事者の育成、教育に注力しています。特筆すべきは、院内に隣接した専門学校です。実際の医療現場と連携した教育体制を提供し、未来の医療者を輩出しています。

当院では長年、重度の精神・身体障害を持つ患者さんに対応する経験を培ってきました。帰宅困難な重度・重複障害を持つ方や、全介助を必要とする方への対応は、細かい配慮が求められます。骨折の危険性と隣り合わせの患者さんも多く、当院のスタッフには細心の注意を払って接してもらっています。また、日頃の対応について気づくことがあれば、スタッフ同士で声を掛け合うという風土があります。この風土の背景には、当院は他の病院では提供できない医療を提供しているという「誇り」を持ってくれているスタッフが多いからだと感じています。

当院は、専門医療に注力し、世界水準の医療を提供すべく取り組んでいます。来院いただいた患者さんについてはしっかり診療させていただきますが、専門医療にさらに注力するためにも、まずは地域のかかりつけ医の先生とご相談いただいてから、当院にお越しいただきたいと思っております。

今後も当院が地域にとって欠かせない存在でありつづけるために、人材の育成体制の強化を図るとともに、引き続き専門医療や救急医療、健康の安全保障などの機能の向上に努めて参ります。

  • 国立病院機構 西新潟中央病院 病院長

    日本医師会 認定産業医

    内山 政二 先生

    1953年、新潟市生まれ。1978年より整形外科医師としてキャリアをはじめる。1999年に西新潟中央病院に整形外科医長として着任、2006年からは新潟県医師会理事として地域医療にも注力している。