院長インタビュー

受診してよかったと思ってもらえる病院に−脊椎脊髄分野に特化して一貫した治療を提供する総合せき損センター

受診してよかったと思ってもらえる病院に−脊椎脊髄分野に特化して一貫した治療を提供する総合せき損センター
前田 健 先生

独立行政法人 労働者健康福祉機構 総合せき損センター 院長

前田 健 先生

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独立行政法人 労働者健康安全機構 総合せき損センター(以下、総合せき損センター)は、1979年に福岡県飯塚市に開設されました。

総合せき損センターでは、脊髄損傷をはじめとする脊椎脊髄疾患の診療を専門として、診療からはじまり急性期あるいは慢性期のリハビリテーション、さらには患者さんが社会復帰にいたるまで、一貫した治療を提供しています。また、地域からのニーズに応えられるように努めることで、受診してよかったと思ってもらえる病院の構築に励んでいます。

脊椎脊髄分野に特化して診療を行う総合せき損センターの院長である前田健先生にお話を伺いました。

総合せき損センターの外観
総合せき損センターの外観

当院は、1979年に脊椎脊髄疾患の急性期医療から社会復帰まで一貫した治療を提供するモデル病院として開院しました。1970年代の日本では、先進的な医療を提供するヨーロッパやアメリカと比べて、脊髄損傷に対する医療や社会支援に未熟な部分がありました。そのことに格差を感じた、九州大学整形外科第3代教授の故天児民和先生の考えにより開院へ至った歴史があります。病院名から、脊髄損傷の専門病院だと思われてしまうことが多いですが、椎間板ヘルニア脊柱管狭窄症などの変性疾患、側弯症などの脊柱変形、脊椎脊髄腫瘍などの脊椎脊髄分野の病気にも積極的に対応しています。

当院では、外傷による脊髄損傷と外傷以外の脊椎脊髄疾患の2つを軸として診療を行っています。総合せき損センターという病院名から、脊髄損傷を中心に対応しているイメージがあるかもしれませんが、椎間板ヘルニア脊柱管狭窄症などの変性疾患、側弯症などの脊柱変形、脊椎脊髄腫瘍などの脊椎脊髄疾患にも幅広く対応しています。

当院は、救急患者さんの受け入れを積極的に行っています。特に、交通事故や落下物などによる脊髄損傷は、可能な限り早く専門的な治療を行うことが重要です。当院では、そのような緊急事態にもスムーズに対応するため、ヘリポートを併設しています。また、より専門性に特化した医療を提供するために、日本整形外科学会が認定する脊椎脊髄病医や日本脊椎脊髄病学会が認定する指導医が在籍し、あらゆる脊椎脊髄疾患に対して積極的に治療を行っています。

当院は脊髄損傷と脊椎脊髄疾患に対して、急性期から回復期あるいは慢性期のリハビリテーション、さらには自宅や社会復帰したあとのサポートまで一貫した医療の提供に努めています。さらに、脊髄損傷や脊椎脊髄疾患における神経障害によっておこる排尿障害にも対応しているため、脊椎脊髄が原因とされる痛みやしびれがある場合には受診していただければと思います。

ヘリポートの様子
ヘリポートの様子

当科では2017年4月1日より、泌尿器科の疾患である前立腺肥大や過活動膀胱尿失禁などに対しての治療を開始しました。また同年には、女性の医師が在籍する女性泌尿器科外来を設置しています。女性の患者さんのなかには、恥ずかしさから受診することに抵抗を感じている方も多くいらっしゃいます。そのような思いを抱える女性の患者さんが、少しでも泌尿器科を受診しやすくなるように取り組んでいます。

また、脊髄損傷や脊椎脊髄疾患の神経障害から発生する排尿・排便機能や性機能の障害などに対する治療も実施しています。ほかの病気を防ぐためにも、排尿・排便コントロールは非常に重要です。患者さんが少しでも安心して生活することができるように努めています。

当院では、医師が在籍するリハビリテーション科を設けています。また、理学療法士や作業療法士が在籍する中央リハビリテーション部も設け、医師とリハビリテーションスタッフが連携しながら、患者さんに適したリハビリテーションを提供しています。さらに、リハビリテーション科は、初期の治療から社会復帰に至るまで一貫したリハビリテーションを提供しています。これからも、患者さんの目線に立ったリハビリテーションの提供を心がけていきます。

当院では、脊髄損傷や脊椎脊髄疾患によって身体機能の喪失や低下が見られる患者さんのサポートを行うため、医用工学研究室を設けています。医用工学研究室では、患者さんが日常で不便に感じていることを、環境の整備や道具を用いて軽減させることを目的として活動しています。当院は、道具や環境の整備を行うことで、患者さんがより充実した日常生活を送ることができるように努めています。

総合せき損センターに勤めるスタッフ

総合せき損センターに勤めるスタッフ

当院は、「受診してよかったと思われる病院でありたい」という基本理念のもと、あらゆる脊椎脊髄疾患に対して、より専門的で、かつ患者さんに寄り添ったあたたかい医療を提供しています。もし、当院が専門としている分野で不安なことがある際には気軽に相談していただければと思います。これからも、地域の皆さんや患者さんに、当院を受診してよかったと思っていただける病院を目指していきます。

当院で働く医師やスタッフには、患者さんに対して真摯に向き合って常にベストを尽くしてほしいと思います。長い間、勤務をしているとさまざまな場面で気の緩みが出てしまうことがあります。しかし、地域の皆さんや患者さんに「受診してよかった」と思ってもらうためには、患者さん一人ひとりと全ての局面において真剣に向き合うことが大切だと思います。患者さんに真摯に向き合い、ベストを尽くすことができる医療スタッフを目指してください。

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  • 独立行政法人 労働者健康福祉機構 総合せき損センター 院長

    前田 健 先生

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