院長インタビュー

地域医療の拠点として、患者ファーストの理念を追求する近畿大学病院

地域医療の拠点として、患者ファーストの理念を追求する近畿大学病院
東田 有智 先生

近畿大学病院 病院長

東田 有智 先生

目次
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近畿大学病院は、大阪府大阪狭山市にある、南大阪エリアを包括する大学病院です。患者本位の開かれた病院として、医療を受ける方々の権利と利益を尊重した医療を提供しています。

今回は、先進医療の提供体制を強化し、地域の医療に貢献する同院の取り組みについて、院長の東田有智先生にお話を伺いました。

近畿大学病院 外観

近畿大学病院 外観

当院では、先進医療の提供を軸に、大学病院ならではの医療を行っています。

1982年には救命救急センターを設立しました。1994年に特定機能病院、1996年には災害拠点病院の指定を受けています。2013年にER棟を開設して二次救急へ対応できる体制も整備し、常によりよい医療の提供に尽力することで、大学病院として地域の基幹病院の責務を全うしています。

設備面でも、手術支援ロボットダヴィンチやハイブリッド手術室、PET/CTなどのさまざまな医療機器・設備を導入し、地域医療のニーズに応える体制を日々強化してまいりました。

ダヴィンチ手術を実施
ダヴィンチ手術を実施
ハイブリット手術室を設備
ハイブリット手術室を設備

特に、2005年に新設された高度先端総合医療センター(PET分子イメージング部)は、南大阪エリアをカバーするPET施設となるために設立され、がんの早期発見などに尽力しています。

PET/CTを導入
PET/CTを導入
がんセンター内にがん相談支援センターを設立
がんセンター内にがん相談支援センターを設立

当院では、がんの診療および研究を専門的に行うがんセンターを有し、がん患者さんの治療はもちろん、セカンドオピニオンなどのご相談への対応から、緩和ケアまで包括的な診療を行っています。治療法については多岐にわたる先進医療を実施し、スタッフが一丸となって治療効果の向上を目指しています。また、がんセンターは院内だけでなく、地域におけるがん診療の中心的・指導的役割を果たしており、2015年には地域がん診療連携拠点病院に指定されています。

苦しいイメージのあるがん治療ですが、当院では音楽を流したり、読書をしながら治療を受けられたりと、そのイメージを刷新し、患者さんがリラックスして治療に臨める環境作りを行っています。

さらに、「がんサロン茶話会なごみ」や、患者さん・ご家族向けの公開講座「ともに生きる会」などを実施し、患者さん同士の交流を促すとともに、がん治療にあたる医師による情報提供を積極的に行っています。各分野のスタッフが協働してチーム医療を展開し、身体面だけでなく精神面からも患者さんをサポートしています。

救命救急センター内に心臓血管センターを設立
救命救急センター内に心臓血管センターを設立

心血管疾患については、急性冠症候群(急性心筋梗塞、不安定狭心症など)による緊急搬送など、一刻も早い対応を要求される場面が多々あります。当院では心臓血管センターを設立し、診療科の垣根を越えたスタッフがチームで治療に当たる体制を構築しました。

循環器内科・外科(心臓血管外科)が一体となり、24時間体制であらゆる現場からの要請に応えています。また、当院の救急災害棟内には、CCU(冠疾患集中治療室)が設置されていて、患者さんの搬送直後から容体が落ち着くまで集中的にケアすることが可能です。

アレルギー公開講座の様子
アレルギー公開講座の様子

当院は、2018年に大阪府アレルギー疾患医療拠点病院に指定されました。さらに、アレルギーセンターを開設し、世界で認められるアレルギー医療の提供を目指して、研究や情報共有を行っています。アレルギーセンターの開設により、これまで呼吸器・アレルギー内科で行っていた治療が、より専門的に提供できる体制を強化しました。

アレルギーセンターでは、患者さんやご家族向けのアレルギーに関する公開講座に加え、医療従事者向けにも研修会を開催しています。そうした活動を通して、アレルギーの克服に向けた治療やケアについての知識の共有と向上を図っています。地域の全ての医療従事者がアレルギー疾患について正確な知識を有し、的確な治療を行えるようになることが、当院が目指すアレルギー医療の在り方です。

当院では、がんアレルギー疾患について市民向け講座を定期的に開催しています。

がん患者さんに向けた講座では、薬や治療の詳しい説明や、メリットについて紹介したり、患者さん同士の体験共有の場を設けたりしています。

アレルギー疾患の講座では、気管支喘息アトピー性皮膚炎などの身近な病気についての基礎知識や日常生活を送るうえでの注意点を伝えています。大阪府におけるアレルギー疾患医療の拠点病院として、地域住民の皆さんのアレルギー疾患に対する知識の向上に尽力していきたいと思っています。

患者さんにとって、病院が快適に過ごせる場所となるように、医療とアートを融合させた「HARTプロジェクト」を実施しています。たとえば、小児病棟処置室では、壁にイラストを描いていたり、天井の照明にビー玉が入っていたりと、子どもが病院を楽しい場所と思えるさまざまな工夫をしています。

さらに、2019年8月には近畿大学文芸学部の学生と一緒に、うちわを作るワークショップを開催しました。こうしたプロジェクトを通して、入院中の患者さんに心がほぐれる時間を提供しています。

当院では、地域の病院や診療所との密な連携体制の構築に尽力しています。たとえば、当院の電子カルテの情報は、各医療機関に提供しています。これにより、地域の皆さんがご自宅近くの診療所に訪れたときも、すぐにその場で詳細なデータを確認することが可能となり、診療所における迅速な対処につながります。

患者さんが、地域のどこにいても、安心して、適切な医療を受けることができる体制の整備をこれからも徹底してまいります。

当院は臨床研修病院に指定され、初期臨床研修医を受け入れています。基本に忠実に、「教育病院として、人に愛され、信頼され、尊敬される医療人を育成します」という、基本理念の達成を目指しています。さらに、治験や臨床研究のサポート体制が整っていることも、大学病院である当院の特徴です。

在籍するスタッフの労働環境についても、常により快適な職場作りに努めています。働き方改革の意識を取り入れ、休日の確保や業務負担軽減を行い、職員がやりがいを持って臨める環境を整えています。

海外に留学し、国際基準の医療を自分の目で見ることは大きな価値があると考えています。近畿大学医学部では「国際交流・海外研修プログラム」を実施しており、充実した助成制度があります。グローバルな視点で、世界に通用する医療を学びたい方は、ぜひお越しください。

東田先生

常に患者ファーストで、基本に忠実な医療を目指してほしいです。また、研究にも熱心に取り組んでもらいたいと思います。研究テーマは、基礎研究でも臨床研究でも構いません。仮説を立て、結果を導くプロセスは、必ず臨床の現場にも活かされます。

何よりも患者さんが安心できる地域社会を目指して、当院からは積極的にデータを共有し、連携に努めてまいりたいと思います。診療所や開業医の皆さんは、ぜひ当院をご活用ください。

当院は地域医療の拠点となる病院として、いつでも扉を開けて待っています。どんな些細なことでも、お気軽にご相談ください。

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