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高齢化社会でさらに必要となる看護師のちから

高齢化社会でさらに必要となる看護師のちから
古谷 茂美 さん

平成横浜病院 看護部長

古谷 茂美 さん

目次
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高齢者人口がピークを迎えるといわれている2025年に向けて、医療を支える看護師の育成を目的に、特定看護師制度は作られました。医師が診察し治療する時代から、医療スタッフ全体で高齢者を診ていく時代がすでに始まっています。実際に特定行為研修に参加した認定看護師のいる平成横浜病院の看護部長 古谷 茂美(ふるたに しげみ)さんに、同院で活躍する認定看護師さんや、高齢化社会において需要の高まる同院の緩和ケアについてお話を伺いました。

当院では看護師特定行為研修に積極的に取り組み、研修を修了した3名の看護師が院内で活躍しています(2019年12月時点)。在宅医療などに興味がある看護師や、看護師以上の仕事をしたい、と希望していたスタッフが手をあげたことがきっかけとなり、研修への参加が決まりました。

看護師特定行為研修を修了した認定看護師は、患者さんのカテーテルが抜けたときも、医師と同じように処置を行うことができます。以前は医師に頼んでいた作業を看護師が担うことで、業務の効率化にもつながりました。

また、食事が取れない患者さんに行う末梢(まっしょう)静脈栄養を施す際にも、初期の段階から認定看護師が対応することが可能となり、褥瘡(じょくそう)などの傷にも初期の段階から介入するようになりました。診療の補助を行える看護師が増えたことで、今後はさらに患者さんの早期治療に貢献できると考えています。

厚生労働省では2025年までに特定看護師を約10万人育成することを目標に掲げており、当院でも引き続き積極的な研修への参加に取り組んでいく予定です。2019年10月からも1名の男性の看護師が研修に参加しています。高度かつ専門的な特定行為を修得するために、研修はレポートの量が多く難しいですが、過去に参加した看護師たちと同じように、彼も業務と両立しながら一生懸命取り組んでいます。

当院はグループ病院のため、グループ全体の研修会が定期的に開かれます。また、当院でも月に1回CPR(心肺蘇生法)訓練をするなど、全員が参加できる取り組みを行っています。グループ自体が医療スタッフへの教育に熱心なので、働いていくことで自分自身の成長を感じることができる環境だといえるでしょう。最近では看護師と介護士向けにeラーニングの受講も始まりました。eラーニングを通じて学ぶことのできるプログラムは以下のとおりです。

  • 基礎習得コース
  • 中堅コース
  • 看護管理コース
  • リーダー育成コース
  • 看護補助者研修コース
  • 看護研究コース
  • 重症度、医療、看護必要度コース
  • 認知症コース
  • 院内全体研修コース
  • グローバルコース
  • 新人介護スタッフコース
  • 介護スタッフ研修コース

当院では、緩和ケアが必要となった患者さんについて、それぞれの診療科から緩和ケア認定看護師宛てに連絡が入る仕組みが作られています。そのため、相談がきたら瞬時に介入する体制ができています。緩和ケアは、患者さんの状態によって初期の段階から介入させていただくこともあれば、要望に応じて途中からご相談に乗ることもあります。

緩和ケアを行ううえで大切にしているのは、ご本人とご家族の意思決定を支援することです。

患者さんのその人らしさを大切にし、苦痛に感じるあらゆるつらさを和らげるケアを積極的に行っています。そうすることで、患者さんとご家族の療養生活の質がよりよいものになっていくと思うからです。

また、緩和ケアはがんなどの特定の病気に関係なく、全ての病気に関わってくるケアです。高齢化に伴い、今後も当院における緩和ケアの需要は増えていくと考えています。

読者の方へメッセージ

当院は看護師をはじめとする医療スタッフ一同、患者さんを大切にするという気持ちで日々取り組んでいます。病院が行うイベント活動などを通して地域の皆さんと交流し、患者さんやご家族の皆さんから安心して任せていただけるような病院作りをこれからも目指していきます。