院長インタビュー

地域密着のプライマリ・ケアセンターを目指す東御市民病院

地域密着のプライマリ・ケアセンターを目指す東御市民病院
結城 敬 先生

東御市民病院 外科 院長

結城 敬 先生

目次
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東御市民病院は開院以来、地域の医療を支える病院として歩んできました。現在は、社会の高齢化に合わせ、プライマリ・ケアに軸足を移そうとしています。新たに病院が目指す姿は、どんな患者さんも受け入れる地域医療の担い手です。

同院が掲げる“プライマリ・ケアセンター”の理念と診療体制の特徴、地域貢献のあり方について、院長の結城 敬(ゆうき けい)先生にお話を伺いました。

当院は、1994年に開院した東部町立ひまわり病院を前身とする公立病院です。その後、市町村合併で東御市が発足したことに合わせ、2004年に市民病院となりました。2019年に、町立病院の開設から25年の節目を迎えたことを機に、今後の病院のあり方について院内で話し合う場を設け、本当に地域に必要な病院となるために理念の見直しを行いました。

東御市民病院の外観
東御市民病院の外観

当院は、内科や外科、小児科、整形外科など複数の診療科があり、各種検査機器などの充実にも尽力しています。そうした設備を生かして、地域の医療に貢献していくために“プライマリ・ケア”に特化した病院を目指しています。

プライマリ・ケアとは、患者さんの身近にある幅広い症状に対応する総合的な医療です。全身麻酔を伴うような大手術や専門的な治療は、近隣の急性期病院にお任せし、当院はこのプライマリ・ケアの領域に力を入れています。どんな患者さんも受け入れてお話を聞く。そのうえで可能な限りの治療を行い、必要があれば専門病院に紹介するなど、地域のかかりつけ病院としての役割を担っています。さらに、健康管理や在宅介護の支援など、地域の健康を支える領域にも力をいれています。

地域に密着し、患者さんのよりどころとなることで、地域全体で患者さんを支えていく地域包括ケア体制も支えていきたいと思っています。

病院祭の様子
病院祭の様子
病院祭の様子
病院祭の様子

2017年4月から発達外来を設置しました。発達障害には、アスペルガー症候群や自閉スペクトラム障害、ADHD学習障害などがあります。また、これらの障害により、幼少期から自分に肯定的なイメージを持てず、家庭や学校での生活に適応できなくなってしまう二次障害を引き起こすこともあります。そうした患者さんを減らすために、当院では薬物療法のほか、多角的な評価と診断のもと、適切な対応と支援の方法をご家族や支援者の方と共有しています。

発達障害は、医療だけで完結できるものではありません。日常的なケアを行い、患者さんに寄り添う存在が大切です。患者さんが自分の特性を理解し、安心して社会生活を送れるよう、常にできる限りのサポートをしたいと思っています。

2014年4月よりリハビリテーション科では“ことばの外来”を構えて、吃音(きつおん)の相談に乗り、助言や指導を行っています。医師と言語聴覚士が、患者さんから言葉について困っていることや日々のお悩みなどを伺い、年齢や症状に合わせて、方針の決定を行っています。

さらに、小児患者さんが対象の場合は、指導場面を保育園・幼稚園の先生やご家族にも見ていただき、病院外の環境においても同じ対応をしていただけるようにしています。

また、2019年11月には地域の小学校で吃音に関する研修会を行うなど、吃音についての知識を深め、広げていくための取り組みも積極的に行っています。

カンファレンスの様子
カンファレンスの様子

2011年2月に血液透析室を増築し、個室2床を含む17床の施設にしました。できるだけリラックスして処置が受けられるように、部屋全体の照明の明るさを抑えたり、各ベッドに読書灯とテレビを備えていたりしています。さらに、空調は風が直接当たらないように風が出ない放射整流空調に変えました。また、プライバシーに配慮し、ベッドの両サイドにカーテンを設置したほか、気軽に医師に相談できるよう透析フロア内に診察室を設けました。

病院の敷地内に、市立助産所“とうみ”が建っています。ここでは、自然分娩の妊婦さんの出産を、助産師がサポートしています。

近隣地域でお産ができる診療所や病院が減っている状態を鑑み、安心してお産ができる施設を増やすために、2010年4月に開設しました。当院の小児科医が1か月検診を担当するなど、同じ公立機関として密に連携をとっています。

出産後、退所されたお母さんや地域の方が気軽に集える場所にしようと、離乳食や虫歯予防の講習会やヨガ、エクササイズの教室なども定期的に開いています(2020年2月時点)。

2015年7月に開設した地域包括ケア病床では、急性期前(プレアキュート)と急性期後(ポストアキュート)、両方の医療を担っています。医療は地域に始まり地域に帰るサイクルです。地域に住む患者さんの訴えを最初に受け入れ、軽症者は地域内で食い止め、専門治療の必要な患者さんは急性期病院を紹介する急性期前の役割と、急性期治療が終わり、症状が安定した患者さんに対して在宅復帰に向けたリハビリテーションを行う急性期後の役割です。当院では、この地域包括ケア病床を充実させていくことで、子どもからお年寄りまで誰もが住み慣れた地域で生活し続けられるように地域全体で支援する“地域包括ケアシステム”の構築に尽力しています。

2019年12月より病棟全体を地域包括ケア病床としました。今後も地域の医療機関や各種施設との連携を強化し、地域の皆さんの在宅療養を支援していきます。

結城先生

私はもともと、肝胆膵外科の領域を専門とする医師です。プライマリ・ケアを行う総合医というと、内科系の医師が多いイメージがあると思いますが、外科治療の知識と経験は総合医としても十分に生かせます。外科医であるからこそ、内科医では気づきにくいところに気づけることもあるはずです。

若いうちは、一生懸命に外科医として専門性を高め、患者さんに寄り添い、さまざまな体験をしてください。一つのことに打ち込んだ経験は、今後の医師人生の支えになります。そのうえで、地域医療に興味をもった方は、総合医としての一歩を踏み出してみてください。

地域医療には、患者さんとそのご家族の背景、くらし、いのちそのものについてまで考えを深めていけるという魅力があります。“外科系総合医”として、これからの地域医療に貢献していきたいと思う医師に、ぜひ来ていただけたらと思います。

当院は地域のプライマリ・ケアを担う病院として、一歩を踏み出したばかりです。患者さんのどんな症状にも対応できる病院を目指して、これからも努力を重ねてまいります。

皆さんに信頼いただける病院、何でも相談できる場所になりたいと思っていますので、不安なことがあったら、いつでもお気軽にご相談ください。

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