院長インタビュー

地域の皆さんが安心して暮らすためのひとつの力になりたい——松本協立病院の取り組み

地域の皆さんが安心して暮らすためのひとつの力になりたい——松本協立病院の取り組み
佐野 達夫 先生

松本協立病院 病院長

佐野 達夫 先生

目次
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社会医療法人 中信勤労者医療協会 松本協立病院(以下、松本協立病院)は、長野県松本市に位置しています。同院は、“いつでも どこでも 誰もが安心してかかれる医療”を理念に掲げ、急性期病院としての役割も担っています。さらに、地域で暮らす方々の健康づくりをサポートするため、地域医療や地域の行事などにも積極的に取り組んでいます。2018年にはリニューアルグランドオープン。気持ちを新たに、日々診療にあたられているそうです。

同院の診療体制の特徴や、地域医療に対する取り組みなどについて、院長である佐野 (さの) 達夫( たつお)先生にお話を伺いました。

松本協立病院の外観
松本協立病院の外観

当院は、開設した当時から、緊急時の患者さんに対応できる病院としての機能を担ってきました。現在も近隣の医療機関と連携を取り、地域の救急医療を支えられるように尽力しています。

松本市内の救急時の体制においては、近隣の医療機関と協力して、輪番体制を維持。また当院では、その日の担当となっている医療機関が受け入れられなかった場合も想定して、輪番の日以外の要請にも可能な限り対応できる体制の構築に努めています。他院と協力のもと、救急車の受け入れが断られることのないように、地域を含めた仕組みづくりを徹底しています。

当院では、消化器内科とは別に肛門外科を開設し、肛門に対する専門的な診療を行っています。受診しやすい環境を整えることは、病気の早期発見、さらには早期治療につながると考えているため、当診療科では女性の医師を配置し、女性の患者さんが受診の際に感じる恥ずかしさを可能な限り和らげるための体制づくりに努めています(2020年2月現在)。

また検査をした際に、肛門の病気だけにとどまらず、ほかの消化器系の病気が見つかってしまうことも。そのような場合には、消化器内科と協力して患者さんに適した治療を提供できるように尽力しています。

総合診療科は、“専門的な診療科に分類できない病気も診られる診療科が必要なのではないか”という内科医の考えのもと、2004年に開設されました。当院では、循環器内科・消化器内科・呼吸器内科などの内科系の病気に対応できる診療科を強みとしているほか、総合診療科を設置することで、どの診療科を受診してよいかを悩む患者さんの受け皿としての機能も強みとしています。

診察の結果、いくつかの病気が見つかったり適切な診療科が判明したりする場合には、患者さんに適した診療科への紹介を行っています。当院では、このように総合的に診療を行える環境を整えています。

虚血性心疾患*不整脈などの循環器系の病気を抱える患者さんの受け入れを行っています。当院では、可能な限り緊急時の手術や処置に対応できる診療体制を整え、スムーズに治療が進むよう日々取り組んでいます。

また、医師の数が増えてきていることから、循環器医師の外来対応派遣を実施。院内だけでなく、地域の医療機関とも協力して地域医療の発展に向けた活動にも取り組んでいます。

*虚血性心疾患:狭心症や急性心筋梗塞などの心臓の病気

当院が位置する松本市は、高齢化が進んできている一方で、子育て世代が多く暮らしている地域でもあるのです。そのため、当院の小児科には、急性期から慢性期までさまざまな病気を持つ患者さんがいらっしゃいますから、かかりつけの小児科としての役割にとどまらず、入院に対応する役割も担っています。

小児科においては、地域の中でネットワークが確立されており、重症の患者さんは近隣のこども病院へ紹介することもあります。また、発達障害や不登校についての治療も行っており、お子さんが健やかに成長できるよう日々努力をしています。

経済的な理由から病院を受診することが困難な方でも、安心して診察を受けることができるよう、2つの制度を導入しています。

1つ目は、室料差額(差額ベッド代)を徴収しないこと。2つ目は医療費が減免・免除になる“無料低額診療制度”です。“無料低額診療制度”の利用には審査が必要ですが、もし審査が通らない場合も相談に応じ、なるべく負担が軽くなるよう患者さんと一緒に考えていきます。

当院は2017年11月に日本HPHネットワークに加盟し、地域の方々や自治体と協力して健康づくりに取り組んでいます。日本HPHネットワークとは、“患者、職員、地域住民の健康水準の向上をめざし、住民や地域社会・企業・NPO・自治体等とともに健康なまちづくり、幸福・公平・公正な社会の実現に貢献する”ことを目的とした団体で、日本以外でも世界で広く活動が行われています。

また、1974年には“健康友の会”を発足し、安心して住み続けられるようなまちづくりにも尽力してきました。地域の方々が小グループでさまざまな活動を行っており、医師、リハビリテーション科のスタッフ、栄養科のスタッフなども参加して勉強会を開いています。

また、時には町内会行事へお誘いいただくこともあり、公民館などで出前講座を行うことも。当院では、日頃から健康な状態にある地域の方々と関わることで、地域の方々が安心して暮らせるまちづくりに励んでいます。

佐野先生

地域の中には、経済的な理由から医療を受けられない方や少子高齢化との関係で生活のスタイルを維持することが難しい方など、さまざまな側面から医療を受けることが難しい方がいらっしゃいます。当院では、地域に求められる必要な医療やサービスを、可能な限り提供できるように努めたいと考えています。そのために取り入れた仕組みのひとつが、“無料低額診療制度”です。当院では、これからも地域の皆さんが安心して暮らせるためのひとつの力になれるように尽力していきます。

当院で働くスタッフの皆さんには、ぜひ仲間意識を持って働くことを大切にしてほしいと思います。今も、診療科同士の協力体制やスタッフ同士の仲のよさは十分に感じていますが、スタッフの働きやすい環境の構築については、これからもますます注力していきたい部分です。

また、松本市は大変住みやすい街であると思います。当院でも育児と両立して働く方を支援したいという思いから働く時間を考慮したり、育児をしているか否かに関わらず、スタッフの誰もが必要な休みを取得できるように休みやすい体制を整えたりしています。

これからも、スタッフの皆さんが働きやすい環境を整えられるように尽力していきますので、全員で力を合わせて、松本市に住まう地域の皆さんが安心して暮らせるようにサポートを行っていきましょう。

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