特定医療法人 札幌循環器クリニック 札幌循環器病院(以下、札幌循環器病院)は、北海道札幌市中央区にある循環器疾患を中心に診療を行う病院です。また、二次救急医療機関として医療設備を整えながら、急性期から回復期、慢性期までの患者さんに対応し、地域のかかりつけ病院としての役割を担っています。
同院の診療内容や独自の取り組みなどについて、院長である善岡 信博先生にお話を伺いました。
当院は、1973年3月に札幌循環器クリニックとして開院しました。2004年8月に現在の場所に新築移転し、施設名を札幌循環器病院と改称し、循環器内科の診療を主軸に地域の皆さんに貢献してきました。
当院は、二次救急医療機関として、医療機器や人員をそろえ、すぐに対応しなければ命にかかわる循環器疾患の治療を行っています。しかし、外科がないため、緊急の手術を要する患者さんに関しては、地域の医療機関と連携し、初期治療後に適切な病院に引き継ぐことで対応しています。当院では、急性期治療のみならず、急性期を脱した患者さんの心臓リハビリテーションも担っています。このように、急性期病院と地域のかかりつけ病院という、2面性を有しているのが当院の特徴といえます。
当院では、心臓カテーテル検査や心臓エコー検査などの各種検査などを実施し、緊急性の高い循環器疾患にも対応できるような体制を整えています。加えて、2009年4月に画像診断システムを導入し、遠隔でも画像診断を行えるシステムを構築いたしました。2019年8月には、電子カルテを導入しております。このように医療機器やシステムを導入することによって、可能な限り早く診断し、適切な治療を提供することに役立てています。
当院では、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を積極的に実施しています。
PCIとは、狭心症や心筋梗塞によって血管が閉塞や狭窄している箇所に、カテーテルを挿入して血管を広げる治療です。PCIは、局所麻酔を使用し手首や足の付け根からカテーテルを挿入する治療であるため、開胸することなく治療ができます。そのため、患者さんの体への負担が少ないだけでなく、入院期間も短く済む場合が多いといわれています。
PCIを行うことによって、救急搬送されてきた狭心症や心筋梗塞の患者さんにも可能な限り対応してまいります。
2018年8月に札幌医科大学の協力のもと、当院はカテーテルアブレーション治療を開始し、軌道に乗り始めています。カテーテルアブレーション治療とは、心臓の内部にカテーテルを挿入して、高周波電流を用いて不整脈の原因になっている箇所を焼灼する治療法です。
カテーテルアブレーションでは、カテーテルを足の付け根から挿入するため、開胸することなく治療することができ、患者さんへの負担が少ないことが特徴です。今後、さらにカテーテルアブレーション治療の実績を重ね、不整脈の患者さんの治療に生かしたいと考えています。
当院では、心筋梗塞や狭心症などの手術をした方や慢性心不全の方などを対象に、心臓リハビリテーションを実施しています。心臓リハビリテーションとは、それら心疾患のある方が運動療法・生活指導などを通して、社会復帰や再発予防を行うリハビリテーションのことです。医師や理学療法士、管理栄養士などがチームで患者さんに応じたリハビリテーションの提供に尽力しています。
特に心筋梗塞や狭心症などの手術後の患者さんは、日常生活に不安を抱えています。そこで、手術後なるべく早期に心臓リハビリテーションを開始しています。加えて、地域包括ケア病床を活用しながら回復期や慢性期の患者さんが不安なく在宅復帰できるようなリハビリテーションも実施しています。また、退院後に外来でも心臓リハビリテーションを行っています。
当院の近隣には、市立札幌病院や札幌医科大学附属病院といった総合病院があります。そこで、当院では対応することが難しい外科手術を要する救急患者さんを紹介する連携体制を強化しています。一方、急性期治療を終えた後も入院での治療が必要な患者さんは、当院に紹介いただき、引き続き治療を行うことが可能となっています。特に当院は、心臓リハビリテーションを得意としているので、循環器疾患の患者さんの症状に即したリハビリテーションで、スムーズに自宅復帰や社会復帰できるように支援しています。
また、地域の開業医の先生たちと連携しながら、複数の病気を抱える患者さんの診療を丁寧に行っています。これからも、地域の医療機関が一体となって、地域の皆さんに切れ目なく医療を提供していきます。
当院では、病院内で健康教室(講演会)を開催しています。加えて、病院外の施設で健康づくり教室や、65歳以上の方を対象にした“すこやか倶楽部”で体操や血圧測定を行うなど、地域の皆さんの健康増進に寄与するための活動を精力的に行っています。このような活動を通して、地域の皆さんの健康への意識を高めるだけでなく、交流の場をつくれたらと考えています。
当院の特徴である専門的な医療を提供するという側面と、かかりつけ医であるという側面の2面性を理解して、一人ひとりの患者さんに寄り添える医師になってほしいと願っています。そのためには、患者さんから学ぶという姿勢で医療に臨まなければなりません。
病態に限らず、医療に向き合う姿勢や治療に対する思いなど、患者さんからさまざまなことを学ぶ意志のある若手医師の方は、ぜひ当院で共に働きましょう。
急性期治療はとても重要ですが、それと同様に急性期を脱した後の治療も大切となります。当院は、急性期治療のみならず、回復期・慢性期治療を行っています。回復期・慢性期治療によって機能回復と病気の予防を行い、地域の皆さんの安心に結び付けたいと考えています。
当院は、“循環器疾患を専門にしている病院”でありながら“かかりつけ病院”という2つの役割を担っていると自負しています。心配な症状があったときに、「このような症状で病院にかかってもよいのだろうか」と悩んでしまう方もいらっしゃるでしょう。そんなときに、設備や医療体制を整えている当院を気兼ねなく受診いただき、病気の早期発見・早期治療につなげてほしいと思います。
札幌循環器病院 院長
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。