
乾燥肌は肌が角化したりひび割れたりするだけではなく、ときにかゆみを伴うことがあります。そのため、無意識にかいてしまうこともありますが、かいてしまうと症状が悪化する場合があります。では、かゆみが生じた場合はどのような対策を行えばよいのでしょうか。本記事では乾燥肌のかゆみの原因やメカニズム、かゆみや乾燥肌に対する対策などについて詳しくご紹介します。
かゆみを感じる原因には、主に皮膚の中に存在するかゆみを脳に伝える“C-線維”という神経が関係しているといいます。C-線維は、外からの刺激や体内でのアレルギー反応によってかゆみを引き起こす物質(主にヒスタミン)が放出されると、刺激の情報を脳に伝えます。すると脳がかゆみを認識するため、かゆみを感じるのです。
乾燥肌はC-線維が通常よりも皮膚の表面近くまで伸びてくるため、外からの刺激に敏感になります。したがって、乾燥肌になるとかゆみを感じやすくなるとされています。また、乾燥肌の主な原因には、空気の乾燥や加齢による皮膚表面の角質に含まれる脂質不足、入浴時の熱いお湯や、洗浄力の強い石鹸の使用などが挙げられます。
乾燥によってかゆみがある部分をかくことは避けましょう。
かくことで痛みの神経回路がかゆみの神経回路を抑制し一時的にかゆみが治まりますが、かいてしまうと皮膚のバリア機能(外からの刺激から守る機能)が低下し、皮膚からも水分が失われることでより乾燥が進みます。また、バリア機能の低下によってアレルギーの原因となるアレルゲンなどが体に侵入しやすくなり、ますますかゆくなることがあります。さらにこの状態からかいてしまうと皮膚の細胞から炎症を促したり、かゆみに関連する神経にはたらきかける物質が放出されたりするため、よりかゆくなることもあります。
以上のことから、かゆいからといってかいてしまうとかゆみの悪循環が起こるため注意が必要です。
かゆみがある部分を冷やすとかゆみが治まることがあります。これは冷やすことで冷たいという感覚がかゆみに関連する神経回路を抑えるためです。したがって、かゆい部分を冷やしたおしぼりや保冷剤などで冷やしてあげるとよいでしょう。
一度かいてしまうとそこに意識が集中してしまい、必要以上にかいてしまうことがあります。そのため、別のことに集中してかゆみから意識をそらすとよいでしょう。たとえば、手を使う遊びなどがかゆみ対策によいとされています。
かゆみを予防するためには、そもそも乾燥肌を予防する必要があります。ここからは乾燥肌の予防と対策を紹介します。
乾燥肌は空気の乾燥によって乾燥肌が引き起こされることがあるため、エアコンやファンヒーターの温度設定には注意しましょう。特に冬季は温度が高いと室内が乾燥しやすくなるとほか、夏季でも設定温度によっては室内の乾燥につながるため乾燥肌を招きやすいとされています。ただし、夏季に暑いのを我慢すると熱中症を招く恐れがあるため、エアコンは28℃を目安に設定したうえで扇風機を併用すると、熱中症や乾燥肌への対策ができると考えられます。このように、室内の温度設定を工夫して乾燥肌を防ぎましょう。
また、室内の乾燥を防ぐためには加湿器を用いて加湿することを心がけましょう。加湿器がない場合は、室内に洗濯物を干したり、水を入れたコップを置いたりしても湿度を上げることができます。
洗浄力が高い石鹸を使ったり洗う際に強くこすったりすると、皮膚のバリア機能が低下して乾燥肌の原因になることがあります。そのため、顔や体を洗う際は洗い方に注意しましょう。
まず、石鹸はしっかりと泡立てた泡で皮膚を包むようにそっと洗うと刺激になりづらいです。拭くときもタオルでこすってしまうと刺激になるため、優しく当てるようにして水分を吸い取ります。また、頭を先に洗い体を最後に洗うことでシャンプーなどのすすぎ残しの防止につながり、乾燥や肌トラブルを防ぐことができます。
熱いお湯に長く浸かると乾燥肌の原因となることがあります。そのため、40℃程度のぬるめのお湯に浸かることを心がけましょう。また、保湿効果が期待できる入浴剤も使用するとよいでしょう。
乾燥肌対策には保湿剤の使用も効果的とされています。尿素やセラミド、コラーゲンなどが含まれたクリームやワセリンなどを使うとよいでしょう。また、お風呂から出て15分以内に使用すると、さらに効果が高いと考えられています。
前述のような予防策や、市販の保湿剤などを使用しても改善しない場合には皮膚科などの医療機関での治療が必要になることもあります。
治療の基本は薬を使って保湿をすることです。薬は市販薬以外にヘパリン類似物質などの成分が含まれた医薬品を使うこともあります。また、かゆみや湿疹がある場合は、それらに効果が期待できる塗り薬や飲み薬を用いることもあります。また、冒頭で述べたとおりかゆみを引き起こすのは主に体の中にあるヒスタミンという物質が作用することが考えられています。その場合にはヒスタミンの作用を抑える抗アレルギー剤という内服薬(飲み薬)を用いることでかゆみが収まることがあります。なお、難治の乾燥肌の一部では医療用の紫外線療法を行ってかゆみが改善することもあります。
乾燥肌の場合、かゆみを脳に伝える神経が通常よりも皮膚の表面近くまで伸びて外からの刺激に敏感になることでかゆみを感じやすくなるとされています。しかし、かゆいからといってかいてしまうとかゆみの悪循環に陥るため、冷やしたり別のことに集中したりしてかかないように心がけましょう。また、乾燥肌そのものの対策として、加湿や体の洗い方、湯温などにも気をつけることも重要です。
蒲郡市民病院 皮膚科 部長
久保 良二 先生の所属医療機関
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