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眼精疲労の治療法の種類とは? ~目薬や環境改善のほか、手術を行うことも~

眼精疲労の治療法の種類とは? ~目薬や環境改善のほか、手術を行うことも~
永原 幸 先生

国立国際医療研究センター病院 眼科診療科長

永原 幸 先生

目次
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眼精疲労とは、目を酷使することで目の痛みやかすみ、まぶしさ、充血などの症状のほか、頭痛や肩こり、吐き気などの症状を伴うこともある状態を指します。眼精疲労の原因は多岐にわたり、目の不具合や目を使う環境、ストレスなどのほか、病気が原因となることもあります。それぞれ治療法も異なるため、原因に合わせた適切な治療を行う必要があります。本記事では眼精疲労の治療について詳しく解説します。

眼精疲労とは目を使うことで生じる症状で、一般的に目の痛み、かすみ、まぶしさ、充血などが見られます。酷くなると休憩や睡眠をとっても症状が改善されず、頭痛や肩こり、吐き気などが生じることもあります。

眼精疲労の原因は多岐にわたり、不適切な眼鏡の使用、老眼斜視などの目の不具合のほか、ドライアイ緑内障白内障といった病気が原因になることもあるとされています。

症状が重い、長期間続いているといった場合、まずは眼科の受診を検討するとよいでしょう。また、眼精疲労の原因は多岐にわたるため、医療機関での治療においてもまずは原因を突き止めることから始まります。ドライアイ緑内障白内障など目の病気が原因であれば適切な治療を行い、別の病気が原因と判明すれば、該当の診療科で必要な治療を行うことになります。

原因がドライアイや緑内障、白内障などの目の病気の場合は、以下のような治療が行われます。

ドライアイ

涙液は胚細胞、涙腺、マイボーム腺のそれぞれから分泌されるムチン、水、油を含み、目の表面が乾かないように層状に覆っています。どの成分が不足しても涙液の層が崩れやすくなりドライアイの原因になります。

多くのドライアイの原因はマイボーム腺の機能異常で油分の減少であることが報告されており、瞼を温める温罨法(おんあんぽう)が推奨されています。ムチンの減少が疑われる場合は、産生が正常に機能していない胚細胞に直接はたらきかける目薬が処方されます。

また、病的な涙腺機能低下があり目薬で改善されない場合は、鼻腔とつながり涙が出ていく涙道の入り口の涙点にシリコンなどを挿入したり、縫い合わせたりして涙をためられるようにする“涙点閉鎖”が行われることもあります。

緑内障

緑内障は眼圧上昇と進行性の視野障害(欠損)を伴う疾患ですが、眼圧が正常範囲でも近視が強いと進行しやすいことが知られています。視野欠損が中心視野に及ぶと霞む症状が強くなり、眼精疲労の原因になることがあります。

基本的な治療方針は、目薬によって眼内を流れる房水の産生を抑えたり、房水の流出を促したりして、視野が悪化しないレベルに眼圧を下げることです。また、目薬で改善されない場合は、房水の流出を促すレーザー療法や、房水を流出しやすくする手術が行われることもあります。

白内障

水晶体が混濁すると眼鏡を調整しても見えづらく、眼精疲労の原因になることがあります。濁った水晶体を砕き、代わりのレンズを入れる手術が治療の基本です。

近視、遠視乱視老眼などで合わないメガネやコンタクトが眼精疲労の原因となっていることがあり、度の調節で改善されることもあります。そのほか、左右の目の視点が外れている、または外れやすい場合は光が屈折するプリズムメガネに替えることで改善できる場合があります。内・外斜視(斜位)は外眼筋の位置を変える斜視手術を行うことがあります。

近年では、パソコンやスマートフォンなどによるVDT(Visual Display Terminal)作業で長時間ディスプレイを見ることによる眼精疲労が増えているといわれています。

対策としては、蛍光灯を2本以上点灯させ(1本だとチラつきやすいため)、暗すぎず明るすぎない照明を心がけます。さらに、ブラインドやカーテンを閉め、窓からの光がディスプレイに映り込まないようにします。ディスプレイは見下ろす角度に設置して画面の明るさに注意し、ディスプレイ用のフィルターで余計な光を遮りましょう。

また、エアコンの風による目の乾燥なども原因となることがあるため、風向・風量・湿度を調整して、作業中はこまめに休憩を取り、軽いストレッチをすることも有効とされています。

さらに、目薬による治療としては、前述したドライアイ治療以外にビタミンBを含む目薬などで症状が改善できる場合もあります。

目を酷使していれば、かすみや充血が現れることはよくありますが、目の症状がいくつも現れている、頭痛や吐き気などの症状も見られる、休憩しても症状が改善されない、症状が長期間続いているといった場合は注意が必要です。

適切な対処をすればすぐに改善されることもあるため、気になる症状がある場合は早めに眼科の受診を検討するとよいでしょう。

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