院長インタビュー

患者様を笑顔にするために――がん診療を提供し、地域のかかりつけ医として活躍する鶴田病院

患者様を笑顔にするために――がん診療を提供し、地域のかかりつけ医として活躍する鶴田病院
鶴田 豊 先生

医療法人社団鶴友会 鶴田病院 院長

鶴田 豊 先生

目次
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医療法人社団 鶴友会 鶴田病院(以下、鶴田病院)は、熊本市東区にある予防から緩和ケアまで一貫したがん診療と地域医療を行っている病院です。2014年から院長を務めている鶴田 豊(つるた ゆたか)先生は、地域包括ケア病床の導入をはじめ、歯科口腔(こうくう)外科や在宅診療科を新たに開設、CART*(腹水濾過濃縮再静注療法)やCVポート**埋設等の診療を展開するなど、地域に対してさまざまな体制づくりを進めてきました。同院のあゆみや特徴、目指す将来像について、院長の鶴田先生にお話を伺いました。

*CART:胸やお腹にたまった水から不要な物質だけを除去した後、再度体内に戻す治療法

**CVポート:薬剤を投与するために皮膚の下に埋め込む中心静脈カテーテルの一種

鶴田病院外観
病院外観(提供:鶴田病院)

当院の歴史は父である鶴田 克明(つるた かつあき)氏が、1973年にプライマリ・ケア(総合診療)と外科手術をメインとした鶴田外科胃腸科医院を開院したことに始まります。1987年には、病院名称を現在の鶴田病院へと改め、その後、1997年には介護老人保健施設メディエイト鶴翔苑を開設、居宅介護支援センターや訪問看護ステーションなど、介護・福祉を担う関連施設を同じ医療法人社団内で開設しました。

2012年7月には新病院へ移転開院し、地域の医療ニーズの変化を受けて化学療法や緩和ケアの導入を進め、患者様が可能な限り社会生活を送りながらがん治療を継続できる体制を拡充しました。また、設備を一新したことで、患者様とご家族に対してより充実した医療と快適な環境を提供でき、職員にとっても働きやすい職場環境を実現できました。

2009年には回復期リハビリテーション病棟*を導入しました。

熊本市では医療機関同士の連携協力体制の構築が進んでいます。そのため、手術を終えた後に継続して入院治療や多職種によるリハビリテーションを必要とする患者様が利用できる病棟が求められていたことが、導入のきっかけです。そして、関連施設と協同して医療・介護・福祉の一貫した提供が可能な体制がすでに整っていたことも後押しとなりました。

また、当院は人工透析センターを設置しています。そのため、透析治療を受けている方が自宅等で脳卒中などを起こした場合、その疾患の治療後速やかに当院の回復期リハ病棟に入っていただき、脳卒中や整形外科疾患の治療やリハビリに努めつつ、透析センターで従来どおり透析を受けることができます。

*回復期リハビリテーション病棟:脳血管疾患や大腿部骨折(だいたいぶこっせつ)などによって入院し、治療は終えたものの、そのまま退院するには不安の残る患者様を対象とした病棟

鶴田病院 リハビリテーション室
広々としたリハビリテーション室(提供:鶴田病院)

熊本市内では、各医療機関において、それぞれの特性を生かした医療提供が進められています。当院は、関連施設やほかの医療機関と協同して患者様に医療を提供しています。

2020年には在宅総合支援センターを設立しました。当院外来を受診されたり入院されたりする患者様だけでなく、病状や体力の衰えなどで病院受診が困難である患者様に対しても、訪問診療・訪問看護・訪問介護・訪問リハ・訪問栄養指導を行い、ご希望の場所で適切な医療介護を提供することで、地域の皆様に笑顔を提供することを目指しております。

がんの治療では、手術は外科、化学療法は腫瘍(しゅよう)内科など、治療内容によって対応する診療科が異なることが多いです。病院の特性に基づく連携が地域内で進んでいることもあり、1人の患者様に対して複数の医療機関が関わることもあります。

当院では、内視鏡を用いた消化器の検査と治療、抗がん剤を使用した外来化学療法、リハビリテーション、緩和ケアを実施可能です。

がん患者様に対して心身の状態を考慮した治療を実施し、また必要に応じて適した対応が可能な医療機関へと取次ぐことで、地域におけるがん診療のコーディネーター役を果たしています。

鶴田病院 待合室
明るく開放的な待合スペース(提供:鶴田病院)

内視鏡センターでは、内視鏡を用いて胃内視鏡検査と大腸内視鏡検査を実施しています。内視鏡は、消化管内部の異常の有無や状態を調べることに使うほか、消化管や胆管・膵管などを内側から広げるステントの留置、良性腫瘍・初期の消化器がん切除といった治療も行っております。

当院で実施している胃や大腸の内視鏡検査では、通常の内視鏡検査に比べてより精密かつ診断精度の高い、光学内視鏡や拡大内視鏡検査を受けていただくことができます。

がんリハビリテーションとは、がんの進行や治療の影響による機能低下の予防と、すでに低下してしまった諸機能の回復を目指して行うリハビリテーションです。実施内容は、がんそのものが患者様の体に影響を与えている度合、治療の副作用の程度、患者様の心身の状態などを考慮して決定します。予防的リハビリテーション、回復期リハビリテーション、維持的リハビリテーション、緩和的リハビリテーションなどの種類があります。

当院では、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、薬剤師、管理栄養士、医療ソーシャルワーカーによるチーム医療で、患者様それぞれに適したリハビリテーションをご提案しています。

清潔感のある病棟(提供:鶴田病院)
清潔感のある病棟(提供:鶴田病院)

緩和ケアとは、生命を脅かす病気によって患者様とご家族に対して生じた心身の苦痛や不安を和らげ、QOL(生活の質)を改善することを目指すアプローチです。当院は、通院可能な患者様を受け入れる緩和ケア外来と、入院が必要と判断された患者様を受け入れる緩和ケア病棟で、さらに在宅におられ通院不能な患者様に対しては訪問診療で、それぞれ緩和ケアを行っております。

また、当院では、がん性腹膜炎により難治性腹水症を合併している患者様に対して、腹水濾過濃縮再静注療法(CART)を実施して、腹部の張りや食欲減退などの改善に努めています。

緩和ケアを受ける患者様が自分らしく尊厳を持って人生を全うできるよう、そして、患者様とご家族の双方が大切な時間や思い出を共有できるよう、適切な医療とケアの提供に努めています。

当院は2019年に多職種によるせん妄対策“DELTAプログラム”を導入しました。せん妄とは、薬剤や入院の影響を受けて発生する一時的な意識障害です。高齢者の増加に伴い、医療現場では、せん妄に対する理解と対応がいっそう必要になるといわれています。

せん妄対策は、「いかにせん妄による行動に対応するか」から「いかにせん妄を起こさないようにするか」へと変化しつつあります。当院では、患者様と接する機会のある全ての職員がDELTAプログラムを受講することで、せん妄に対する理解を深め、せん妄を起こしている患者様を見落とさずサポートできるよう努めています。

鶴田病院で働くスタッフ(提供:鶴田病院)
鶴田病院で働くスタッフ(提供:鶴田病院)

当院では、がん診療体制を大切にしながら、地域の皆様にかかりつけ医として親しんでいただけるよう、地域に必要とされる医療・介護・福祉のあり方を考え、実践し続けてきました。最近になってようやく、それぞれの取り組みが有機的なつながりを形成できるようになってきたと感じています。

当院は、患者様を中心に考える医療の提供に努めています。地域の皆様の健康を守り、皆様が病気にかかった場合には、地域の医療機関と連携しながらしっかりサポートできる体制が整っています。また、訪問診療・訪問看護・訪問介護・居宅支援等の在宅部門も強化し、在宅総合支援センターとして連動して稼働しております。地域の皆様が、過ごしたい場所で適切な医療・介護・福祉を受けていただけるようサポートできる、身近な法人でありたいと願っております。健康や病気のことで不安なことがありましたら、当院にご相談ください。

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  • 医療法人社団鶴友会 鶴田病院 院長

    鶴田 豊 先生

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