腟カンジダ症とは、カンジダと呼ばれる真菌(カビ)が腟に感染を引き起こすことで生じる感染症です。カンジダは消化管や皮膚、粘膜などに生息している真菌(常在菌)で、通常時はほかの微生物とともに均衡を保って生存していますが、免疫の低下やホルモンバランスの乱れなどの理由によって微生物のバランスが崩れると腟で増殖することがあります。また、腟だけでなく外陰部にも感染が広がり、炎症を起こすことを“カンジダ外陰腟炎”“外陰腟カンジダ症”といいます。
では、腟カンジダ症ではどのような症状が現れるのでしょうか。本記事では写真と一緒に症状の特徴を解説します。
腟カンジダ症では、腟に痛がゆいようなかゆみ・ほてり、特徴的なおりものの分泌などが現れます。これらの症状は特に性行為中に強く現れやすく、月経前に悪化しやすいといわれています。
また、外陰部にもかゆみ・ほてりが生じるほか、外陰部や性器の周辺に赤みや腫れが生じることもあります。かゆみを感じかいてしまうと傷が生じてしまうこともあるので注意が必要です。
なお、腟カンジダ症や外陰腟カンジダ症は性感染症の1つといわれることもありますが、性行為によって感染する確率は低く、これらにかかっている人から性行為をする相手方へ感染してしまうことはまれです。
腟カンジダ症におけるおりものは白く粘り気があり、粥状あるいはカッテージチーズ状といわれます。また、おりものの分泌量が多く下着に付着することもあるため、それをきっかけに異変に気づくということもあります。
このような腟カンジダ症が疑われる症状がある場合、まずは産婦人科の受診を検討しましょう。産婦人科では診察で症状を確認したうえで、おりものや子宮頸部の分泌液を採取し、検査によってカンジダの有無を確認して診断を行います。
腟カンジダ症の治療では外用薬や内服薬(飲み薬)として抗真菌薬が処方されます。
外用薬は腟に挿入する腟錠のほか、クリームが処方されます。腟錠を使用している場合は、2~3日程度ピンク色のおりものが分泌されますが、これは薬が溶けることによるもので異常ではありません。クリームを使用する場合は、薬に含まれる油分によってラテックス製のコンドームが破損しやすくなります。そのため、クリーム状の薬を使用している際はコンドームによる避妊効果が薄れることに注意しましょう。
また、治療中は腟や外陰部のカンジダの増殖を防ぐため、外陰部の蒸れを防ぎ清潔に保つことを心がけましょう。
腟や外陰部のかゆみ・ほてりや外陰部の赤み・腫れ、おりものなど、腟カンジダ症を疑うような症状が数日間続いた場合、自己判断で放置するのではなく婦人科・産婦人科を受診することを検討しましょう。
また、治療後に繰り返し再発することはまれですが、再発を何度も繰り返す場合には長期的な治療が必要になることもあります。特に糖尿病にかかっている人や病気の治療でコルチコステロイド・抗菌薬(抗生物質)を飲んでいる人、妊婦などは腟カンジダ症にかかりやすいため、気になる症状があれば病院を受診するようにしましょう。
グローバルヘルスケアクリニック/内科・感染症内科・小児科・アレルギー科・トラベルクリニック 院長
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