編集部記事

デリケートゾーンのかゆみの原因は?〜考えられる病気と対処法〜

デリケートゾーンのかゆみの原因は?〜考えられる病気と対処法〜
佐藤 佐由里 先生

山王病院 皮膚科部長

佐藤 佐由里 先生

目次
項目をクリックすると該当箇所へジャンプします。

デリケートゾーンのかゆみは女性が悩まされやすい症状のひとつです。デリケートゾーンは皮膚が薄く下着やナプキンなどで蒸れやすいためかぶれが起こりやすい部位であり、デリケートゾーンのかゆみの大きな原因となっています。しかし、このようなかぶれ以外にもデリケートゾーンのかゆみが現れる病気があり、セルフケアを続けていても症状がなかなか改善しないこともあります。それでは、デリケートゾーンにかゆみなどの異常を感じた場合はどのような原因が考えられるのでしょうか。

デリケートゾーンのかゆみは、強い症状が突然現れたのか、弱い症状が長く続いているのかによって考えられる原因が異なります。

強い症状が突然現れた場合は感染症が原因であることが多く、具体的には腟カンジダ、ときに性感染症の腟トリコモナス症などが挙げられます。一方、弱い症状が長く続いている場合は感染症以外の病気が原因になっていることがあり、接触皮膚炎かぶれ)や、外陰部萎縮などが挙げられます。そのほか、まれに外陰部腫瘍の場合もあります。

これらの病気は合併していることや短期間で病気が入れ替わることもあり、頑固なかゆみの診断と治療は難しいケースもあります。

デリケートゾーンにかゆみを引き起こす代表的な病気と、その症状には以下があります。

腟カンジダ症

カビの一種であるカンジダ菌による感染症です。カッテージチーズや酒粕(さけかす)のようなおりものと、デリケートゾーンの強いかゆみを主な症状とします。カンジダ菌は常在菌の1つで、一般的には疲れや服薬などで免疫力が低下したときに症状が現れるといわれています。

腟トリコモナス症

腟トリコモナス原虫と呼ばれる原虫による感染症です。泡立った黄白色のおりものやデリケートゾーンの強いかゆみが現れます。性交渉によって感染するため性感染症の1つともいわれますが、性交渉の経験がない女性や幼児でも見られることがあります。

細菌性腟炎

腟内にはさまざまな種類の常在細菌が存在しています。細菌性腟炎は腟の自浄作用(腟内を清潔に保つはたらき)が低下し、常在細菌のバランスが崩れることで起こります。おりものの増加、下腹部痛、不正出血が主な症状ですが、デリケートゾーンのかゆみや悪臭が現れることもあります。                                               

ケジラミ症

陰毛にケジラミが寄生することで、かゆみを引き起こす感染症です。主な感染経路は性交渉によるものですが、親子間の接触や毛布、タオルなどを介して感染することもあります。

接触皮膚炎(かぶれ)

特定の物質との接触が原因で湿疹ができ、皮膚や粘膜にかゆみやヒリヒリ感といった炎症症状を引き起こす病気です。接触皮膚炎の原因となる物質は大きく“化学的刺激”、“物理的刺激”、“アレルゲン”に分けられ、原因となる物質を取り除くと症状が改善します。

  • 化学的刺激……汗、腟分泌物、尿、せっけん、入浴剤など
  • 物理的刺激……衛生パッド、タンポンの紐、きつい衣服、合成繊維下着など
  • アレルゲン……抗生物質、避妊具、衣服の染料、化粧品、衛生用品(ナプキン)など

外陰部萎縮

エストロゲンの減少によってデリケートゾーンの皮膚が萎縮する病気です。皮膚が乾燥してちょっとした刺激で炎症を起こし、かゆみやヒリヒリ感を引き起こすことがあります。これは、エストロゲンが減少する閉経後の女性に起こりやすい病気です。まれに皮膚がんが一部に生じることもあるので、長期間違和感がある場合には注意が必要です。

おりものの異常などがなく、かぶれが疑われる場合は原因となりそうな物質を取り除くようにしましょう。また、汗やおりもの、経血がかぶれの原因となることもあるので、デリケートゾーンを清潔に保つことも大切です。

薬局やドラッグストアでは、デリケートゾーンのかゆみに対する市販薬が販売されています。刺激を抑え、かゆみを素早く止めてくれる成分が含まれているので、薬剤師に相談のうえ市販薬を使用してみるとよいでしょう。

ただし、かゆみの原因によっては効果がみられなかったり症状を悪化させたりすることもあるため、短期間ですっきりと症状が改善しない場合や違和感がひどい場合、皮膚が赤くなったりただれている場合は病院を受診するようにしましょう。

さまざまな工夫をしてもなかなか症状が改善されない場合は病院を受診しましょう。おりものの異常がある場合は産婦人科を、皮膚に痛みやかゆみ・発赤がある場合は皮膚科を、排尿時の痛みや尿道口に症状がある場合は泌尿器科を受診するようにしましょう。

特に感染症の場合はほかの人にうつしてしまうこともあるため、検査をしたうえで適切な服薬治療などを行う必要があります。

デリケートゾーンのかゆみかぶれ、もしくは感染症が原因で生じます。ただし、いずれもかゆみの原因を自己判断で見分けることは困難です。そのため、デリケートゾーンのかゆみや違和感以外に皮膚やおりものに異常があるときは、自分の体調に気を配ったうえで病院を受診するようにしましょう。

受診について相談する
「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。
  • 受診予約の代行は含まれません。
  • 希望される医師の受診及び記事どおりの治療を保証するものではありません。

    関連記事

  • もっと見る

    関連の医療相談が10件あります

    ※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。

    「腟カンジダ」を登録すると、新着の情報をお知らせします

    処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

    「受診について相談する」とは?

    まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
    現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

    • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
    • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。
    実績のある医師をチェック

    Icon unfold more