腟トリコモナス症とは、腟トリコモナス原虫が性器内に侵入することでおきる性感染症です。男性に症状があらわれることは少なく、女性に症状が強くあらわれます。そのため女性にとってはポピュラーな性感染症のひとつとも言えますが、現在では患者数が減少しています。 腟内部の感染症であるので、トリコモナス腟炎だけでなくHIVや子宮頸癌、卵管炎などの重大疾患との関連性にも注目があつまっています。
女性の腟トリコモナス症の患者さんの約60%の方に症状があらわれますが、残りの約40%は症状があらわれない無症状性感染者と言われています。しかしこの40%の無症状性感染者のうち約3分の1の方は、6ヶ月以内に症状があらわれるといわれています。
感染してから10日前後の潜伏期間を経て、外陰や腟の激しいかゆみや熱感、悪臭を伴うおりものの増加などの症状があらわれます。ほかにも性交時に痛みや不快に感じることがあります。 もし腟トリコモナス症の感染に気づかず放置してしまうと、炎症が腟から卵管まで進み細菌性腟症を合併し、最悪の場合不妊症や流産・早産を招く危険性があります。
腟トリコモナス症は、男性よりも女性に症状が現れることが多く、不妊症の原因として、クラミジアとともに有名な性感染症です。
おりものの増加や悪臭などの変化やかゆみなどの症状は「トリコモナス原虫」が原因ですが、このトリコモナス原虫が腟から子宮、卵管へと深部へ侵入して炎症を起こすと侵入部位に炎症を起こします。もし炎症が卵管に生じると、卵管炎を引き起こし卵子の通り道を塞いでしまうため、腟トリコモナスは不妊の原因となってしまうのです。
男性の腟トリコモナス症は女性に比べて症状が乏しいため、進んで検査を受けにくる方は少ないです。パートナーの女性が腟トリコモナス症と診断された場合には、たとえ症状が無かったとしても男性も積極的に治療を受けるようにしましょう。
トリコモナスは、トリコモナス原虫が引き起こす性感染症(STI)です。原虫は0.1mmくらいで乾燥にはとても弱いのですが、水中ではかなり活発になるので長時間にわたって感染力があります。そのため性交経験のない女性や幼児にも家族で共有するタオルや便器、浴槽、などを介して感染する可能性があることが考えられます。
女性がトリコモナスに感染すると、典型的な場合は腟にかゆみがあり、緑色で匂いの強いおりものが確認されます。しかし症状のあらわれ方には個人差があるためトリコモナスに感染していることに気がつかない方もいらっしゃいます。
もし妊娠中の女性が腟トリコモナス症になりトリコモナス原虫が子宮に入りこむと、胎児を包む膜に炎症を起こす原因になります(絨毛膜羊膜炎)。絨毛膜羊膜炎は早産の原因となるので、胎児にとって大きなリスクとなります。早産による極低出生体重児、呼吸窮迫症候群、周産期死亡のほかにも、脳性麻痺、肺炎、髄膜炎、敗血症などの病気を発症するリスクが上昇します。
日本では腟トリコモナスは減少しつつあると言われていますが、その一方で再発を繰り返すケースは増加しています。 再発を繰り返す場合、次のようなケースが考えられます。
投薬などの治療により症状があらわれなくなり完全に治ったと思っても、腟トリコモナス症の原因であるトリコモナス原虫が完全には死滅しておらず、再発することがあります。
トリコモナス原虫を死滅させて完治したとしても、トリコモナスに感染しているパートナーと性交することで再感染、腟トリコモナス症を再発することがあります。 特に男性は症状がほとんど現れないこともあり、また検査を行っても陰性と診断されることがあります。
腟トリコモナス症も他の性感染症同様に、感染が判明したらパートナーの方も検査・治療を行い、再感染を防ぐようにしましょう。
腟トリコモナス症を完治させたとしても、トリコモナス原虫が腟以外の部位に侵入生息していることがあります。子宮頸部や卵管などに認められることが多く、腟に戻ってきて再感染することがあります。
男性が腟トリコモナス原虫に感染すると、尿道からの微量な分泌物が確認されるほか、排尿時にしみるなどの軽い尿道炎症状を起こすことがあります。しかし多くの場合、こうした症状がありません。トリコモナス原虫の感染が尿道のみの場合は尿で排出されることもあります。
トリコモナス原虫は前立腺や精囊などに生息しており、前立腺炎を引き起こすこともあります。また、比較的まれですが、トリコモナス原虫が尿道に出てくると尿道炎を生じます。
プライベートケアクリニック東京 院長
尾上 泰彦 先生の所属医療機関
関連の医療相談が6件あります
トリコモナス症の治療後いつから性行為をしていいか
トリコモナス症と診断され、膣錠で治療中です。10日分貰い、薬が無くなった時点でででもう症状がなかった場合、性行為をして問題ないでしょうか。 一コンドームをつけることや再検査することなどが適切なことはわかりますが、治療を終えた時点で生で性行為を行った場合感染させてしまう確率は大いにあるのでしょうか。
おりものの量が多いのとかゆみ
5月の初めからおりもの多いのとかゆみがひどく、婦人科を受診。 その時は、カンジタと診断され、性病検査(淋病、トリコモナス、)をしたんですが、市販で売っている膣剤を使用してた んですが、医者にもそれを話し、ちゃんと正確な判断ができないかも知れないけど、と言われながらも、検査をし、陰性。 ただ、子宮頚がんの検査に再検査になり、最近になり検査を何回かして、子宮頚がんも、異形成の前の段階でした。 でも、まだ、おりものの量が多いのとかゆみが消えないので、医者に相談して性病の検査を依頼しました。 自分なりに調べていくと、トリコモナスか、腟炎ではないか?と思います。 特にトリコモナスの症状が、おりものの量が多いと(サラサラしたおりもの)臭いが少し魚臭い。外部のかゆみです。 もし、トリコモナスとして、 私の中では、性行為をしたのは、一年前から付き合ってる彼氏、そのほかに4月上旬に、 お酒の過ちで、一回限りの人しか浮かびません。 4月の上旬に関係を持ち、5月上旬に発症するということは、ありますか? それか、一年お付き合いしてる彼氏だとしたら、彼は無症状のまま病原菌を持ち、私がたまたま、調子が悪かったために発症したのか? それとも、彼が最近他の人‥と思うと不安で。(自分がお酒で過ちをおこしながらこんなことを言う身分ではないですが。。) 病院では、恥ずかしくって相談できませんので、よろしくお願い申し上げます。
トリコモナスが治りません。
約10年前、当時付き合っていたパートナーがトリコモナスになりました。 私も病院に行き診察の結果、トリコモナスの診断で薬を飲み完治しました。 ところが数年後、また別のパートナーがトリコノナスにかかりました。 考えられる相手は私しかいないというのでまた診察へ、、、 その時はトリコモナスは検出されませんでした。 それから数年の間、数人のパートナーがトリコモナスにかかりました。 その都度、検査は受けましたが検出されず。 そして数ヶ月前にまたパートナーがトリコモナスに。 それを受けてまた検査へ、、、 今回は陽性でした。 また薬を投薬し再検査の結果、陰性でした。 ところが陰性の翌日に初めて性交渉を持った相手が数日後にトリコモナスの診断を受けました。 私の場合、まだトリコモナスを持ったままのでしょうか? ネット等で調べましたら抗体トリコモナスかも?と考えてしまいます。 検査で陽性だったり陰性だったり、、、 体質的に薬が効かないのでしょうか? 一番最近の検査ではトリコモナスは陰性でしたが、ウレアプラズマが陽性でした。 これはセックスでしか移らないのでしょうか?
織物の匂い
織物が最近匂います。これは何かしらの病気でしょうか?織物の量は変わらないのですが匂いだけが気になります。
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