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インタビュー

腟トリコモナス症の特徴「臭い」について

腟トリコモナス症の特徴「臭い」について
尾上 泰彦 先生

プライベートケアクリニック東京 院長

尾上 泰彦 先生

腟トリコモナス症のうち特に特徴的なものは臭いです。よく「魚の腐ったような臭い」などと例えられるこの独特な臭いは、一体何が原因なのでしょうか。長年にわたり性感染症の治療にあたってこられた尾上康彦先生に教えていただきました。

腟トリコモナス症の悪臭を伴う泡状のおりものは、トリコモナス腟炎が原因となります。トリコモナス腟炎とは、トリコモナス原虫がアレルゲンとなって免疫反応がおこり腟に炎症が起こるという説と、トリコモナス原虫が常在菌で腟をきれいに保っている「デーデルライン乳酸菌」と対立して起こるという説があり、後者の説の方が有力とされています。

腟内の常在菌で最も多いデーデルライン乳酸菌は、グリコーゲンを養分にして乳酸を作り、他の雑菌の侵入を防ぎ、腟をきれいに保っているとされています。しかし、腟トリコモナス症に感染すると、トリコモナス原虫がデーデルライン乳酸菌のエサのグリコーゲンを横取りし、結果としてデーデルライン乳酸菌が少なくなり乳酸が減少、他の雑菌が腟内に侵入してしまいます。こうして悪臭を伴うおりものが出てしまうと考えられています。

このとき繁殖した雑菌が子宮頸管に侵入すると子宮内膜炎、さらに進行すると卵管炎・骨盤腹膜炎などを発症する原因にもなります。

腟トリコモナス症の治療でトリコモナス原虫が減少・消失すると、デーデルライン乳酸菌が再び優位になります。すると他の雑菌の発育するのを抑制して減少させ腟内をきれいな状態に戻すので、臭いは治癒に向かうと考えられています。

性成熟期の女性では、第二次性徴を促進するホルモンが卵巣から十分に分泌されるので、腟粘膜のグリコーゲンが豊富にあります。そのため、腟トリコモナス症の治療でデーデルライン乳酸菌が優位となり、悪臭を伴うおりものやかゆみなどの腟炎症状の治癒を期待できます。 一方で卵巣の機能が低下した中高年の方では、腟トリコモナス症の他に「細菌性腟症」の治療が必要となることも少なくありません。

腟トリコモナス症の治療薬として一般的に使用されるメトロニダゾール(フラジール錠®250mgなど)は、トリコモナスなどの原虫だけでなく嫌気性菌にも非常に有効であるので、症状の改善を期待することができます。しかし病態によってどの薬剤を使用するかは異なりますので、医師の指示のもと正しく薬剤を使用しましょう。

妊娠中に腟トリコモナス症に感染すると早産の原因となるほかにも、新生児の肺炎髄膜炎、菌血症などを引き起こすことがあります。 妊娠中に悪臭を伴う腟炎症状があらわれたら速やかに検査を受けるようにしましょう。

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