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陰茎がんのしこりの特徴や診断のポイントとは? ~初期症状や進行した時の症状について解説~

陰茎がんのしこりの特徴や診断のポイントとは? ~初期症状や進行した時の症状について解説~
高本 大路 先生

横浜市立大学附属市民総合医療センター 泌尿器・腎移植科 助教

高本 大路 先生

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陰茎がんとは男性特有のがんで、陰茎の亀頭や包皮部分に生じることが一般的です。発症頻度は10万人あたり0.4~0.5人といわれており、男性のがんの0.5%未満を占める発生頻度の低いがんです。発症の原因として生殖器の不衛生や包茎喫煙習慣、ヒトパピローマウイルス(HPV)などの関与が指摘されています。

がんになるとしこりができるイメージを持つ人もいますが、陰茎がんではどのような症状が見られるのでしょうか。また、診断の際にはどのような検査が行われるのでしょうか。このページでは、陰茎がんの症状の特徴やそのほかの自覚症状、検査・診断方法などについて解説します。

陰茎がんの初期症状としては、カリフラワーのようなしこりや皮膚のただれ(びらん)、潰瘍(かいよう)などが挙げられます。場合によっては、湿疹のような症状から徐々に変化することもあります。

ただし、これらの病変には、ほとんど痛みがないことが特徴です。そのため、包茎の方など陰茎の全体像が見えにくい方では、しこりなどの病変になかなか気付けないこともあります。

陰茎がんは皮膚から発生する“扁平上皮がん”が95%以上を占めます。しかし、進行すると海綿体や尿道などに浸潤し、排尿困難などの症状が現れることもあります。また、陰茎からの出血や感染によるの発生などがみられることがあったり、病期の進行とともに臭気が強くなったり、浸出液が生じたりすることもあります。

このほか、陰茎がんが進行すると鼠径リンパ節に転移しやすく、鼠径部にしこりが生じることもあります。また血流に乗ってがん細胞が全身へ広がると、体のだるさや体重減少などがみられることもあります。

陰茎がんの半数は亀頭部分に発生するといわれています。また、包皮や冠状溝などに発生することもあります。亀頭から進展して陰茎体部に浸潤(広がること)するケースが大半で、陰茎体部から発生するものは少ないです。

そのため、陰茎にしこりやただれ、潰瘍、湿疹などが生じ、湿疹だと思って薬を塗っても消えない場合には一度医療機関の受診を検討しましょう。受診する診療科は、泌尿器科が推奨されます。

陰茎がんが疑われた場合、視触診や生検、血液検査、画像検査などが行われることが一般的です。検査を通じて、尖圭(せんけい)コンジローマなどの良性腫瘍(りょうせいしゅよう)や性感染症との鑑別を行うことが大切です。

以下では、主な検査方法についてご紹介します。

陰茎がんが疑われる場合、まずは医師による視診・触診が行われます。陰茎がんは特徴的な見た目をしていることが少なくないため、視診だけでおおよその診断がつくこともあります。

触診では、押して痛みがあるかどうかやしこりの硬さなどを確認します。また、鼠径リンパ節に転移するとリンパ節にしこりが生じることもあるため、鼠径部の確認も大切です。ただし、感染を合併していると鼠径部のリンパ節が腫れることもあり、しこりがあっても必ずしも鼠径リンパ節に転移しているわけではありません。

視触診で陰茎がんの疑いが強まった場合、組織を採取して顕微鏡で見る“生検”が行われ、確定診断となります。

陰茎がんと診断された場合、がんの広がりを正確に把握するために、超音波検査・MRI検査・CT検査・PET/CT検査などが行われます。各種検査で腫瘍の深さやリンパ節転移の有無、ほかの臓器への転移の有無を調べます。

陰茎がんの場合は、血液や尿などを使って成分を調べ診断につなげる “腫瘍マーカー”はありません。特異的ではありませんがSCCやCYFRAといった腫瘍マーカーが上昇することもあります。

陰茎はデリケートな箇所であるため、何らかの症状があっても医療機関の受診をためらってしまう方が少なくありません。しかし、陰茎がんをはじめとするさまざまな病気を早期発見・早期治療するためにも、気になる症状があれば速やかに医療機関を受診しましょう。

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