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インタビュー

写真でみる陰茎がん─初期症状や性感染症との違いとは?

写真でみる陰茎がん─初期症状や性感染症との違いとは?
高本 大路 先生

横浜市立大学附属市民総合医療センター  泌尿器・腎移植科

高本 大路 先生

湯村  寧 先生

横浜市立大学附属市民総合医療センター 生殖医療センター 部長 田園都市レディースクリニック

湯村 寧 先生

陰茎がんは、数ある悪性腫瘍のなかでも希少疾患とされるがんのひとつです。日本での発症率は非常に低く、大腸がん胃がんと比べて認知度も低いため、発症要因や発症年齢などのデータが不足しているのが現状です。また、発生部位が陰茎であるために、患者さんは誰にも相談できずに放置してしまい、進行した状態で受診される方がほとんどです。陰茎がんとはどのような疾患なのでしょうか。性感染症との症状の違いを含め、横浜市立大学附属市民総合医療センターの高本大路先生にお伺いしました。

陰茎がんとはその名の通り陰茎に発生するがんです。日本での罹患率は10万人に0.5~1人程度で、希少がんともいわれています。日本での罹患率は低い一方で、南米や一部のアジアの国での罹患率は10万人に10~20人と比較的高いことが特徴です。

陰茎がんの発生部位の半数は亀頭に、残りの半数が陰茎の本体部分にがんができるといわれています。

陰茎がん

陰茎がん発生部位

また、陰茎がんは陰茎に発生するがんですが、皮膚がんの一種であり、重層扁平上皮(じゅうそうへんぺいじょうひ:陰茎では亀頭表面の表皮)から発生することが圧倒的に多いとされています。

陰茎がんの発生要因には主に包茎(ほうけい:陰茎の先が皮で包まれたままになっている状態)が挙げられます。陰茎自体を清潔にしていないことが陰茎がんの発生要因だと考えられており、真性包茎の場合、陰茎や亀頭を清潔に保つことが難しいために陰茎がんの発生リスクが高くなります。また、包茎や性器の不衛生以外にもウイルス感染や喫煙が陰茎がんのリスク要因とされていますが、明らかな原因はまだ不明です。

包茎以外にも人種間によって異なる発生要因があると考えられていますが、2017年現在、詳しいことはわかっていません。

ただし、一部アジアの国や南米での罹患率が高い原因には、衛生環境が関係しているといわれています。

またHPV(ヒトパピローマウイルス:良性の場合は性感染症の原因となり、悪性の場合は子宮頸がんの発症原因のひとつと考えられているウイルス)感染も陰茎がんの発生要因といわれていますが、こちらも研究段階のため、確実に陰茎がんの発生要因とはいえません。しかし発生要因のひとつではないかと推測されます。

陰茎での腫瘤の形成や、浅いびらん(ただれること)の発生のほかに、隆起した深い潰瘍がみられます。基本的に陰茎がんの初期では痛みなどはありません。

しかし、陰茎や下半身には常在菌や大腸菌が多く存在しているために腫瘍が細菌に感染しやすく、感染をした場合に痛みや出血といった症状がみられます。また、感染がみられると、陰茎の腫瘍から悪臭を放つようになります。

陰茎がんのステージについては後ほど述べますが、がんが進行してから感染を起こす方もいれば、初期の頃から感染を起こし、痛みや出血が現れる方もいます。繰り返しますが、陰茎がんでは痛みや出血が初期症状ではないことに注意が必要です。

尖圭コンジローマ(せんけいコンジローマ:良性のHPVウイルスによる性感染症)とは、性器の周りや肛門に、イボのようなものができる性感染症です。男性の場合には亀頭や包皮に腫瘍が発生します。

尖圭コンジローマは発生場所や腫瘍の形成などが陰茎がんと似ているため、患者さんは尖圭コンジローマと勘違いをしてしまうこともあります。また、尖圭コンジローマでできる腫瘍は初期の段階であれば陰茎がんに似ているため、鑑別が困難な場合があります。

陰茎がんの検査方法については記事2『陰茎がんの検査や治療方法は?日常生活への影響もある?』で詳しく説明しますが、病変部の一部を採取し、組織生検(疾患が疑われた病変部を顕微鏡などで調べ、どういった疾患なのか診断する)を行います。

尖圭コンジローマではカリフラワー状の腫瘍が発生します。この腫瘍は有茎性(ゆうけいせい:茎があるもの)で、ひとつひとつの腫瘍が独立しています。尖圭コンジローマは性感染症ですが、陰茎がんのように悪臭を伴う感染は少ないといわれています。

しかし陰茎がんの場合は、カリフラワー状の腫瘍だけではなく、色や形のさまざまな広く間延びした腫瘍が発生する場合が多くあります。

陰茎がん

陰茎がん腫瘍 湯村寧先生よりご提供

院頸がん亀頭に発生した腫瘍 湯村寧先生よりご提供

先ほどHPV感染が陰茎がんの発症に関係していると述べましたが、陰茎がんとHPVの感染の関係は研究段階であり、子宮頸がんのように関連がはっきりしていません。(※子宮頸がんの場合はHPVに感染している可能性が90%程度)

日本での罹患率が低いこともありますが、今後も陰茎がんの予防ワクチンが開発される可能性は低いのではないかと考えます。

陰茎がんの1期は、がんが亀頭または陰茎の皮膚のみに発生している場合です。1期であれば、浸潤や転移はみられません。

2期は、がんが陰茎海綿体(いんけいかいめんたい:陰茎、陰核の主体をなす組織)に浸潤している状態です。海綿体とは神経の影響をもとに内部に血流を満たし、勃起する組織です。2期の場合にも転移はみられません。

3期は、鼠径部(そけいぶ:左右の太腿の付け根部分)のリンパ節に転移がある状態です。リンパ節への転移はありますが、遠隔転移はないとされています。

鼠径部のリンパ節への転移のほかに骨盤内のリンパ節にも転移がみられます。また、ほかの臓器などに遠隔転移している場合に陰茎がんの4期と診断されます。4期では根治が難しくなります。

陰茎がんの患者数は60~80代に多いといわれています。しかし、陰茎がんは発生部位が陰茎であるために、違和感を覚えても羞恥心から誰にも相談できず放置してしまい、がんが進行してからようやく受診するケースが多く患者さんによっては年単位で放置してしまうこともあります。つまり、発症してから病院に受診するまでの期間が長いので、正確な好発年齢はさらに若い可能性があります。

記事2『陰茎がんの検査や治療方法は?日常生活への影響もある?』では陰茎がんの検査方法や治療についてお話します。

 

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    高本 大路 先生

  • 横浜市立大学附属市民総合医療センター 生殖医療センター 泌尿器科部長・准教授、田園都市レディースクリニック 臨時職員

    湯村 寧 先生

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