一口にレーザー治療といっても、治療で使われるレーザーにはさまざまな種類があり、効果も異なります。中でも本記事では、ピコ秒レーザーという、レーザー照射時間が非常に短いレーザーについて解説していきます。これはさまざまなお肌の悩みに効果が期待できるといわれ、主に小じわ改善を目的として行われています。
ピコ秒レーザーは、照射時間がピコ秒単位(1兆分の1秒)と非常に短いレーザーです。主に入れ墨やしみの治療に用いられますが、ほかにもフラクショナルレーザー(基本的に、皮膚表面から真皮に点状に熱を加え、真皮のコラーゲンを増やす治療法)という機能があります。これは新しい治療の1つですが(2020年8月時点)、従来のフラクショナル治療*が光熱作用による熱損傷からコラーゲンを増加させるものである一方、ピコ秒レーザーは、熱を発生させず衝撃波によって小じわの改善を目指すものです。
*フラクショナル治療:皮膚表面から熱を加え、皮膚の内側にあるコラーゲンを増やす治療のこと
ピコ秒レーザーによるフラクショナル治療は、主に小じわ改善を目的に行われます。ただし、光熱作用ではなく衝撃波によって治療を行うため、小じわの改善には効果が期待できるものの、引き締め効果は乏しく、大きな効果はあまり期待できません。しかし、ダウンタイムが少ないため、体への負担が軽い治療を選択したい方にとってはメリットといえます。また、繰り返し治療を行ったり、A型ボツリヌス毒素による治療、手術療法などとの併用もできたりするため、幅広い治療が可能です。
なお、ピコ秒レーザーの治療が初めて報告されたのは最近のことで、もっとも効果が期待できる出力や波長などの設定がまだはっきりと分かっていません。現時点では、高出力と低出力を組み合わせた複数パス治療が有効と考えられていますが、今後の研究によってより高い効果が得られる方法が発見されることも考えられます。
ピコ秒レーザーはほかのフラクショナル治療と同様、即効性が期待できるものではありません。1か月程度は治療による腫れでしわが改善しているように見えますが、きちんと効果が出るまでには数か月程度かかると考えられています。
また、前述したように始まったばかりの治療法であるため、効果の持続期間は明らかになっていません。
ピコレーザーを照射した場合、当日や翌日に赤みが発生することがあります。また、点状出血(点状の赤み)が現れることもあるため、わずかではありますがダウンタイムが存在します。しかし、光熱作用による照射ではかさぶたが生じるのに対して、ピコ秒レーザーによるフラクショナル治療では、かさぶたができることはないとされています。
時に生じることがある点状出血は、2日前後で改善することが一般的で、その間も化粧は可能です。ただし、化粧で点状出血をカバーしきれないこともあるため、注意が必要です。
照射時間の非常に短いピコ秒レーザーによるフラクショナル治療は、小じわ改善などを目的に行います。しかし、まだ効果などがはっきりと分からない部分があるほか、引き締め効果は期待できず、従来のフラクショナル治療を超える効果はあまり期待できないとされています。ただし、ダウンタイムが短く体への負担が少ないことはメリットといえるでしょう。しわ治療の際はメリット・デメリットを踏まえ、医師とよく相談したうえで、ピコ秒レーザーを使用するか決めるとよいでしょう。
みやた形成外科・皮ふクリニック 形成外科・皮膚科 院長
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