札幌中央病院は1978年の開設以来、救急医療を中心に道央圏の医療を担い続けている病院です。診療科間の連携を重視し“断らない医療”を目指す一方で、心臓ドックや肺ドックなど予防医療にも注力しています。地域に寄り添い、頼られる病院を目指して歩み続ける同院の特徴や取り組みについて理事長・院長の村木 里誌先生に伺いました。
当院は、1978年に北海道初の民間救急病院として誕生しました。開設に関わったのは札幌医科大学出身の先生方で、当時はまだ行政による救急体制が十分に整っていなかった時代です。そのようななかで、“困ったときに駆け込める病院”として救急医療を提供したのが始まりでした。
当院は現在も、道央圏の救急医療を担う病院として患者さんを積極的に受け入れ、地域急性期医療の一翼を担っています。
長年にわたり急性期医療に貢献してきた当院ですが、建物の老朽化が進み、建て替えの必要に迫られました。病院は一日たりとも休むわけにはいきませんし、札幌市の中心部においては広大な建設用地もありません。そこで、私たちは隣接地を活用し、“一部を建て、一部を壊す”という大規模な建て替えプロジェクトを計画しました。この工事は着工から完成まで約4年を要しましたが、結果的に建物が新しくなったのは、新型コロナウイルス感染症の流行拡大直前のタイミングでした。
新築の病院は、建築経過中に発生した北海道胆振東部地震による停電や、新型コロナウイルスの流行にも対応できる構造でした。特に、空調設備や建物の構造が感染対策に適していたため、古い建物であればより大変なことになっていたであろうコロナ禍を、比較的影響少なく乗り越えることができました。
新しい病院の建設にあたり、心臓血管外科の治療に欠かせないハイブリッド手術室を導入しました。
これは、透視装置と手術室が一体となった設備で、TAVI(経カテーテル大動脈弁置換術)のような新しい治療にも対応できます。次世代の医療には不可欠であるという考えのもと導入に踏み切ったのです。
“断らない医療”を目指す多科連携
当院の最大の強みは、診療科同士のコミュニケーションが活発で、密に連携している点です。高齢化が進む現代では、複数の持病を抱える患者さんが多くいらっしゃいます。そのため、1つの診療科だけで完結するのではなく、複数の診療科が連携し合う体制が欠かせません。当院では各科の医師が協力し合うことで、複雑な病状の患者さんにも医療を提供できる体制を整えています。
また、受け入れの可否を内部で迅速に判断していることも特徴です。可能な限り多くの患者さんを受け入れたいという思いで、日々対応にあたっています 。特に透析合併症を有する患者様の受入れ体制に強みを有し、多くの依頼を頂いています。
当院は、単に病気を治すだけでなく、病気を未然に防ぐ“予防医療”にも力を入れています。病気になってから初めて病院に来られる方も少なくないですが、中には積極的な治療が難しいような状態になってから受診される方もいらっしゃいます。
そうした経験から、病気を早期に発見し適切な治療につなげられるきっかけとなるよう、検診や人間ドックの重要性を常々感じていました。
当院では特に、命の要ともいえる心臓の病気を早期に見つけられるよう、心臓ドック*に力を入れています。できるだけ多くの方に気軽に受けていただけるよう、『心臓血管まるごとクイックチェック 90分』として、冠動脈造影CT検査、心臓超音波検査、血圧脈波検査、血液検査を、所要時間90分で受けられるコースをご用意しています。また、ドックというと自費診療であることから“費用が高い”というイメージをお持ちの方も少なくないと思いますが、当院では所要時間だけでなく費用設定にも配慮しています。御興味のある方は是非、当院ホームページにお越し下さい。おそらくビックリされるはずです。このコースはすでに10年以上提供しており、さらに、同様の所要時間と費用でできる“肺ドック**”や消化器ドック、骨の健康チェックもご用意しています。
*心臓ドック(自費診療)
・金額:9,000円(※別途消費税)
・検査内容:冠動脈造影CT検査、心臓超音波検査、血圧脈波検査、血液検査
※造影CTは、既往症や血液検査結果により施行できない方がおり、副作用や危険性に関する同意をいただいたうえで行います。来院後に造影剤が使用できないと判断された方は単純CTのみによる検査となります。
・所要時間:90分
**肺ドック(自費診療)
・金額:9,000円(※別途消費税)
・検査内容:問診、呼吸機能検査、胸部レントゲン、マルチスライスCT、診察
※ペースメーカーを装着されている方も検査は可能です。
・オプション検査:喀痰細胞診検査 2,000円、血液検査腫瘍(しゅよう)マーカー 2,000円(※いずれも別途消費税がかかります)
・所要時間:90分
当院が目指すのは、患者さんや他の医療機関から“頼られ、愛される病院”です。国の医療制度が変わり、病院の集約化や淘汰が進むなかでも、私たちは不可欠な存在であり続けたいと願っています。これからも安全で質の高い急性期医療を目指すことで、患者さんの期待に応えてまいります。
また、病気になってからではなく、少しでも体の不安を感じたら、まずは検診を受けてみてください。当院の心臓ドックや肺ドックは、費用も時間も負担が少なく、皆さんが健康と向き合うよいきっかけになるはずです。
様々な学会と連携し、日々の診療・研究に役立つ医師向けウェビナーを定期配信しています。
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