原因
くる病は、骨を硬くするリンや食事から摂取したリンが腸で体内に吸収されるのを促すビタミンDが不足することによって引き起こされます。
リンやビタミンDの多くは食事から体内に取り入れられるため、特にビタミンDが含まれている食品の摂取量が少ない状態が続くとくる病を発症しやすくなります。これを“ビタミンD欠乏症性くる病”と呼びます。
一方、私たちの皮膚は紫外線の刺激を受けるとビタミンDを生成するはたらきがあります。つまり、体内で利用されるビタミンDは食事から摂取するものと体内で生成されるものがあり、紫外線を極端に避けるような生活を送っているとビタミンDが不足し、くる病を発症するケースも少なくありません。
また、母乳にはカルシウムやリンが多く含まれるもののビタミンDの含有量は少ないため、特に母親がビタミンD不足の状態になると母乳に含まれるビタミンD量もさらに減少し、くる病を発症しやすくなります。
そして、遺伝子の異常で体内のビタミンDがうまく利用できなくなる病気によってくる病を引き起こすものも知られています。
ビタミンDの体内での活性化を行う酵素や、活性化したビタミンDが結合して作用するはずの受容体を作るのに必要な遺伝子に異常があり、ビタミンDの正常なはたらきが起こらない病気を“ビタミンD依存性くる病”と呼びます。また血液中のリンの濃度を一定に保つために必要なFGF23という骨で作られるホルモンが遺伝子の異常によって必要以上に多く作られるために、血液中のリン濃度が低下し、同時にビタミンDのはたらきも抑えられてしまう病気を“ビタミンD抵抗性くる病”と呼びます。日本ではこの“ビタミンD抵抗性くる病”がくる病の原因としてもっとも多いことが知られています。“ビタミンD依存性くる病”、“ビタミンD抵抗性くる病”共に小児慢性特定疾患および指定難病です。そのほかに、さまざまな原因による腎臓の障害によって血液中のリンが低下するファンコーニ症候群などがくる病の原因となります。
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