治療
小児アトピー性皮膚炎の治療は、炎症を抑える薬物療法、バリア機能を補うスキンケア、症状を悪化させる要因の回避の3つが基本です。症状が出ないか軽微な状態を維持して、日常生活が快適に送れることを目指した治療が行われます。
薬物療法
炎症をしっかりと抑えるために、主に塗り薬(外用薬)を使用します。日本で主に使用される炎症を抑える外用薬はステロイド外用薬、カルシニューリン阻害外用薬(タクロリムス軟膏)、JAK阻害外用薬(デルゴシチニブ軟膏)、PDE4阻害外用薬(ジファミラスト軟膏)、AhR調整外用薬(タピナロフクリーム)の5種類です。
ステロイド外用薬
治療の基本となる薬で、炎症を抑えるはたらきがあります。薬の効果の強さによってランク分けされており、症状に合わせて適切な強さのものを選択します。医師の指示どおり正しく使えば、全身への副作用などの心配はほとんどありません。
カルシニューリン阻害外用薬(タクロリムス軟膏)
皮膚で生じている免疫反応を抑えることで炎症を鎮める薬です。塗るときに刺激を感じることがあります。2歳以上から使用可能です。
JAK阻害外用薬(デルゴシチニブ軟膏)
細胞の中にある炎症の伝達経路(JAK)を遮断し、炎症を抑え込む薬です。生後6か月以上で使用可能となります。
PDE4阻害外用薬(ジファミラスト軟膏)
免疫細胞などにある“PDE4”という酵素のはたらきをブロックすることで、炎症を抑える薬です。生後3か月以上で使用可能となります。
AhR調整外用薬(タピナロフクリーム)
皮膚の細胞に存在する“AhR(芳香族炭化水素受容体)”のはたらきを活性化することで、炎症を抑える薬です。
プロアクティブ療法
湿疹が改善して見た目がよくなっても、皮膚の奥には目に見えない炎症が残っている可能性があります。炎症が残った状態で治療をやめると、湿疹が再発してしまいます。プロアクティブ療法とは、再発を繰り返す患者に行われる治療です。見た目がきれいになった後も、頻度を減らしながらも定期的に炎症を抑える薬を塗り続けます。結果的に、長期的な薬の使用量を減らしつつ、よい状態を保つことができるようになります。
スキンケア
皮膚を清潔に保つことは、バリア機能の改善にもつながります。体を洗うときに石けんを使うならば、よく泡立てて、ゴシゴシこすらず、手でやさしくなでるようにします。首や関節などは汚れを残さないように、シワの部分を伸ばして丁寧に洗いましょう。石けんが残らないようにしっかりすすぎ、入浴後は水気を拭き取ったらすぐに、適量の保湿剤を塗ります。
悪化要因の回避(生活環境の整備)
ダニやハウスダストを減らすため、部屋の掃除や換気を定期的に行いましょう。肌に直接触れるシーツや枕カバーもこまめに洗濯します。防ダニ仕様のカバーを使うのも効果的です。また、室内は適度な温度と湿度を保ち、皮膚が乾燥しすぎたり、汗をかきすぎたりしない環境を整えます。花粉の飛ぶ時期は、マスクや花粉用眼鏡を着用し、帰宅時は玄関前で衣類などについた花粉を室内に持ち込まないようにします。
また、無意識に掻いた際に皮膚を傷つけないよう、爪は常に短くしておきましょう。汗をかいたらそのままにせず拭き取るか、シャワーで洗い流してください。肌着や衣服は、チクチク・ゴワゴワするものを避けるようにしましょう。
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