概要
ガンマナイフ治療とは、ガンマナイフと呼ばれる放射線治療装置を用いた治療です。悪性または良性の脳腫瘍、脳動脈奇形などの血管障害、三叉神経痛などの機能性脳疾患(健康保険適用外)に対して行われます。
ガンマナイフ治療では、頭部を固定して、ガンマ線と呼ばれる放射線を病巣部に集中的に照射します。細いビーム状のガンマ線を病巣部に集中的に当てることで、周囲の正常な組織に対する影響を抑えながら病巣部のみをナイフで切り取られたように破壊することができます。
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目的・効果
ガンマナイフ治療の目的や期待される治療効果は、病気によって異なります。髄膜腫、聴神経腫瘍、下垂体腫瘍、転移性脳腫瘍といった脳腫瘍では、腫瘍を小さくしたり、これ以上大きくならないことを目的とし、脳腫瘍によって現れている症状を改善したり、症状を予防したりする効果があります。脳動脈奇形などの血管障害では、病変部からの出血を予防することができますが、すでに出血して脳に障害が起こった部位に対しては効果がありません。
病気の種類や病変の大きさによってはガンマナイフ治療によって治癒が期待できることもあります。一般的に、病変の大きさが小さいほうが高い効果が得られると考えられています。
リスク
ガンマナイフ治療は放射線照射時の痛みはなく、体力のない高齢の方などでも受けることができます。ただし、治療時には放射線を正確に照射するために、金属製のフレームを頭部にピンで固定する処置が必要になります。固定時には局所麻酔を行うため、麻酔時に痛みを感じることがありますが、ピンを刺すことによる痛みを感じることはありません。
また、ガンマナイフ治療は比較的副作用の少ない治療ですが、病気の種類や放射線を照射する病変の位置や大きさによって何らかの副作用が現れる場合があります。副作用の出方には個人差があるものの、病変が脳幹など特定の部位に近い場合、病変が大きい場合、病変の数が大きい場合、照射する放射線が強い場合、以前に脳の放射線治療を受けたことがある場合などに副作用が現れる傾向があります。
治療後に現れる主な副作用は、脳浮腫(脳のむくみ)、一時的な脱毛、嚢胞形成、脳腫瘍、神経症状などがあります。また、病気に特有の副作用が現れることもあり、たとえば聴神経腫瘍のガンマナイフ治療では、一時的に腫瘍の増大が認められることもあります。副作用が認められても目立った自覚症状がない場合はそのまま経過観察となることもありますが、症状がある場合は薬物治療や外科的処置などの追加治療が必要になることもあります。
治療の経過
一般的な入院期間
ガンマナイフ治療の一般的な入院期間は1泊2日または2泊3日です。このうち治療を行うのは1日だけで、治療に必要な検査を外来で行うか、入院で行うかによって入院期間が変わります。
治療~退院までの流れ
治療~退院までのスケジュールは医療機関によって異なりますが、一般的には以下のような流れです。
- 入院初日に治療に関する説明や検査を受けます。検査は事前に外来で行うこともあります。
- 治療時は、頭部をフレーム固定もしくはマスク固定し、コンピューターで照射位置を正確に合わせたうえで放射線を照射します。照射にかかる時間は治療部位や大きさによって異なります。照射範囲が小さい場合は1回の照射で完了しますが、大きな腫瘍の治療などでは、複数回に分けて分割照射を行います。
- 治療翌日、問題がなければ退院します。
固定について
ガンマナイフ治療では、放射線を病変部位に正確に照射するために頭部を固定する必要があり、フレーム固定、マスク固定と呼ばれる方法があります。
フレーム固定では、頭部に局所麻酔を行い、金属フレームをピンで固定します。麻酔による痛みは感じるものの、ピンが刺さる痛みや治療後の痛みはほとんど感じません。治療後は点状の針の跡が残りますが、数日でなくなり、洗髪などの日常動作も問題なく行うことができます。
マスク固定は、サイズが大きい腫瘍などで分割照射を行う場合に用いられる方法です。
どちらの方法も、髪の毛を剃ったり、短くしたりする必要はありません。
治療後の経過
ガンマナイフ治療後の制限は基本的にはなく、すぐに日常生活に戻ることが可能です。病気の種類や照射範囲、照射部位によっては副作用が現れる場合があるので、医師の説明をよく聞いて体調の変化に注意します。
照射部位によっては治療後2~3週間経って髪の毛が抜けることがありますが、一時的なものでまた生えてきます。
治療後は定期的に検査を行い、治療効果や副作用、再発の有無などを観察します。
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費用の目安
ガンマナイフ治療にかかる費用は入院期間や医療機関によっても異なりますが、約60万円程度で、健康保険の適用でそのうち1~3割が自己負担となります(年齢や収入によって異なります)。
ただし、三叉神経痛やパーキンソン病などの機能的疾患の場合は保険適用外のため自費診療となり、医療機関が設定した費用を支払う必要があります。
月々の自己負担が高額になった場合は高額療養費制度を利用することができ、収入に応じて上限を超えて支払った費用の還付を受けることができます。
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