そとすしょうこうぐん

ソトス症候群

監修:

概要

ソトス症候群とは、遺伝子の異常によって生まれつき頭と体が大きく(過成長)、精神発達の遅れなどがみられる病気です。過成長は小学校に入学後くらいから思春期にかけて落ち着く傾向がありますが、ほかにけいれんや心疾患側弯症(そくわんしょう)(背骨が曲がる)といった病気を伴うこともあります。

現時点では、ソトス症候群を根本的に治す方法は確立されていません。ただし、心疾患やけいれんなどの合併症を伴う場合は、それに対する手術や薬物療法などの治療を行うことがあります。また、早期の段階から療育を行うのが一般的です。

原因

ソトス症候群は、生まれつきNSD1という遺伝子の機能が失われることが原因で発症するとされています。NSD1遺伝子内部の異常の場合とNSD1遺伝子を含んだ染色体の微細な欠失による場合があります。ただし、検査をしても約1割には異常が認められない場合があり、別の原因が関与している可能性も示唆されています。ソトス症候群の子どもは、通常は突然変異によって、ソトス症候群でない両親から生まれています。

症状

ソトス症候群の特徴的な症状は、過成長、発達面の遅れ、特徴的な顔貌(がんぼう)の3つです。

具体的に顔貌の特徴としては、以下のような症状がみられます。

  • 頭囲や体つきが同月齢、同年齢の子に比べて大きい
  • (ひたい)(あご)が突出している
  • 目が離れている
  • 目尻側が下がっている

さらに、個人差はあるものの精神的な発達に遅れがみられるようになり、言葉の発達にも支障をきたすケースがあります。

また、ソトス症候群では全身にもさまざまな症状が現れることがあります。具体的には、先天性心疾患、腎臓や尿路の形質異常、けいれん、側弯症扁平足、耳や目の異常、歯並びの悪さといった症状が挙げられます。

検査・診断

ソトス症候群の診断には、遺伝学的検査*が必要です。検査にあたっては、状況に応じて遺伝子カウンセリング**を行う場合もあります。

また、ほかの病気との鑑別をするための血液検査や画像検査を行うことがあります。そのほか、ソトス症候群は上述したようにさまざまな合併症を引き起こす可能性があるため、合併症の評価をする目的で聴力検査、血液検査、尿検査、画像検査、エコー検査などを適宜行います。

*遺伝学的検査:採血を行い、染色体や遺伝子の異常の有無を調べる検査

**遺伝子カウンセリング:遺伝の専門医や遺伝カウンセラーと直接相談することによって、遺伝に関するさまざまな医学的情報の提供、心理面や社会面などに関する支援を受けることができる診療のこと。

治療

ソトス症候群は生まれつきの遺伝子疾患であり、現時点で根本的な治療法は確立されていません。治療は症状や合併症を改善するための対症療法が中心になります。乳児期の頃は、哺乳障害が問題になることもあります。母乳やミルクが飲めない場合には、鼻から胃にチューブを通して栄養を注入する治療が行われることもあります。

そのほか、各病気や症状に応じて以下のような治療を行う場合があります。

  • 心疾患や腎泌尿器系の異常がある場合:必要に応じて薬物療法や手術を行う。
  • けいれん(幼児期以降に多発):抗けいれん薬を使用する。
  • 歯や骨格、眼に異常がみられる場合:各種診療科と連携のうえ、治療を進める。
  • 発達面の遅れ:理学療法、作業療法、言語指導(リハビリテーション)を取り入れる。
最終更新日:
2025年07月31日
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2025/07/31
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