ばーじゃーびょう

バージャー病

血管

目次

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概要

バージャー病とは、手足に栄養を供給するさまざまな動脈が、炎症により狭くなり、血液の流れが悪くなる病気です。別名、「閉塞性血栓性血管炎(Thromboangiitis obliterans:TAO)」とも呼ばれています。

発症すると、手足の血管が狭くなり血液の流れが悪くなるため、手足にしびれや痛みが生じます。重症例では、手足の壊死により手の指や足の指の切断を余儀なくされることもあります。

喫煙との関連性も深く、禁煙を含めた治療が重要になります。バージャー病の患者さんの大半は男性であり、30歳代以降に発症することが多いです。

原因

バージャー病の発症者は、ほぼ喫煙者といわれています。そのため病気の発症に喫煙の影響が深く関与していると考えられています。

また、口腔内に生息する細菌由来のDNAが、バージャー病の病変部位(狭くなった血管)にもみられるという報告があり、口腔内の衛生環境も発症に関わっているのでは、と示唆する研究報告もあります。しかし、喫煙や口腔内の細菌状況によりどのように病気が発症するのか、詳しいメカニズムはわかっていません。

血液型にA型、B型、O型、AB型があるように、赤血球以外の各細胞にも同様の型が存在しており、「HLA:Human Leukocyte Antigen」と呼ばれます。HLAは個々によって異なっており、血液型以上の複雑さを示しています。HLA-A9やHLA-B5といったタイプのHLAを持つ方の場合、よりバージャー病を発症しやすいことが知られています。HLAは免疫機能に重要な役割を担っていることから、バージャー病の発症には免疫機能が深く関与していることが疑われます。

さまざまな因子が複雑に関与することで、手足に分布する動脈がところどころ狭くなります。その結果、動脈閉塞にともない手足に対する血液供給が悪くなります。血液供給が悪くなると、虚血にともなう症状が現れるようになります。また、一部の患者さんでは、皮膚に近い静脈が影響を受けることもあります。

症状

バージャー病の症状には、血管が狭くなることと、それに伴う虚血による症状があります。症状はゆっくりと現れ、手足の末端部位(指先など)が初発部位であることが多いです。

血管が狭くなると血流の供給が悪くなり、皮膚の色が白くなり、皮膚を触ったときに冷たさを感じます。また、ちくちくした痛みやしびれ、やけどの後のような感覚などを覚えることもあります。寒い環境に手足がさらされると、上記のような症状が出現する「レイノー現象」を認めることも多いです。

病状が進行すると、歩くと足に痛みが生じるようになりますが、安静にすると痛みが改善してまた運動することができるようになる間欠性跛行(かんけつせいはこう)が現れるようになります。

さらに重症になると、安静時にも痛みを感じるようになります。痛みが出現しているときには、交感神経系が過剰に活性化していることを反映して、病変部位に汗やチアノーゼ(皮膚が青紫色になること)などが現れるようになります。血液供給が改善しないと、手足の病変部位が潰瘍を生じたり腐ってしまったりします。

検査・診断

バージャー病の診断では、ドプラー血流計を使った足関節の血圧測定と「足関節/上腕血圧比(ABI:Ankle Brachial Pressure Index)」を用いて虚血の程度の把握を行います。この検査は、上肢と下肢の血圧の比をみる検査です。

バージャー病が進行すると特に下肢の血液供給が強く影響を受ける関係から、ABIは低下するようになります。

また、確定診断には、動脈の閉塞部位や閉塞の程度などを確認するための「血管造影」と呼ばれるカテーテル検査が必要です。

治療

バージャー病の治療では、病院における治療介入はもちろん大切ですが、日常生活について留意することも大切です。

日常生活の注意点

バージャー病の発症と進行には喫煙が深く関与しているため、禁煙をすることは、とても大切です。また、バージャー病では、手足に怪我をすると傷の治りが悪くなり、手足の感覚が鈍くなることもあります。そのため、手足を清潔に保ち傷つけないようにしたり、湯たんぽなどが直接当たらないようにして低温やけどを防ぐなどの心がけも必要です。

手足の血流が少しでもよくなるよう、保温に努めることも有効です。さらに、適度な運動をすることで血流の改善を図ることも必要です。

病院における治療介入

病院で行われる治療としては抗血小板薬や血流改善薬、抗凝固薬などを用いた薬物療法があります。病状が進行した場合には、高圧酸素療法、交感神経節ブロック・交感神経節切除手術がおこなわれることもあります。高圧酸素療法では、高濃度の酸素投与により病変部位に酸素を供給することを目的とします。また、交感神経節ブロック・交感神経節切除手術では、病変部位への血管を広げ血液供給が改善することを目的とします。

さらに重症の場合には、バイパス術などで血行再建手術を行う方法がとられることもあります。その他の血流改善の方法として遺伝子治療、細胞移植療法なども始まっています。手足の壊死により、上記のような治療では改善が見込めない場合には、病変部位を切断せざるを得ないこともあります。