ぼーえんびょう

ボーエン病

同義語
Bowen病
最終更新日:
2023年06月20日
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2023/06/20
更新しました
2018/09/06
掲載しました。
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概要

ボーエン病は、早期の皮膚がんです。皮膚は外側が表皮で、その下に真皮があります。ボーエン病では表皮細胞は悪性化(がん化)しており、病変は表皮内にとどまっています。

ボーエン病によく似た早期の皮膚がんに日光角化症があります。ボーエン病、日光角化症のどちらも主に高齢者にみられますが、ボーエン病の原因にはヒ素やヒトパピローマウイルス(HPV)が知られ、体幹部や四肢、陰部などに好発します。一方で、日光角化症は紫外線が関与していると考えられ、顔や頭部、手などの露出部に多くみられます。

ボーエン病は、手術で病変を全て切除することができればほとんどは完治し、5年生存率はほぼ100%と考えられています。しかし、進行すると表皮の下にある真皮に(しん)(じゅん)し、(ゆう)(きょく)細胞(さいぼう)がんもしくはボーエンがんと呼ばれるようになります。さらに進行するとリンパ節や内臓に転移して生命に関わるようになります。

原因

発症の原因はまだ不明な点が多いですが、体幹などの非露出部ではヒ素が関与し、指先や陰部などにおいてはヒトパピローマウイルス感染が関与していると考えられています。

ヒトパピローマウイルスは性的接触のある女性の50%以上が一生で一度は感染するといわれる身近なウイルスで、ボーエン病だけでなく、子宮頸(しきゅうけい)がん腟がん肛門(こうもん)がんなど多くのがんの発生や、男性の性感染症にも深く関わっています。

また、ヒ素は井戸水や農薬などに含まれ、長い期間摂取することでボーエン病を発症することがあります。

症状

ボーエン病は、円形から楕円形の斑がみられ、斑は赤色や茶色をしているなど見た目が湿疹に似ています。大きさはさまざまですが、多くは数cm程度です。斑はやや盛り上がっていたり、表面に細かいふけのようなものが付着してざらざらしていたりします。

ボーエン病は体のあらゆる部位に発生しますが、特に体幹部や四肢、陰部に多く発生します。

ステロイドなどの湿疹の薬を塗ると、一時的には改善するものの治るわけではなく、病変は徐々に広がっていきます。痛みやかゆみがあまりないため放置してしまうケースも多いですが、がんが真皮に浸潤するとリンパ節転移や遠隔転移の可能性が生じます。そのため、市販薬で治らない場合には放置せず、早めに病院を受診して検査を受けることが大切です。

検査・診断

ボーエン病はその特徴的な見た目から視診で診断がつくことも多いですが、湿疹乾癬(かんせん)脂漏性角化症などの病気と似ていることもあり、区別が難しい場合もあります。

この場合には皮膚生検が行われます。皮膚生検では病変の一部を切り取り、採取したサンプルから標本を作成し顕微鏡で調べます。

また、ボーエン病が進行し、2cmを超える有棘細胞がんやボーエンがんがある場合はリンパ節転移を考慮して、もっとも転移しやすいリンパ節のみを摘出する“センチネルリンパ節生検”を行うこともあります。

治療

ボーエン病の治療は病変を切り取る手術が中心です。手術では病変部の周囲から数mmほど離して拡大切除します。こうすることでがん細胞を残さずに切り取ることができるため、初期の段階では、この治療でほとんど完治するとされています。腫瘍(しゅよう)を切除した後は、欠損した皮膚を縫合したり、欠損が大きい場合には皮膚を移植したりします。

年齢や腫瘍の大きさなどによって切除が難しい場合には、液体窒素を用いた凍結療法、外用薬のイミキモドで治療を行うこともあります。

表皮より深く浸潤した有棘細胞がんやボーエンがんも、手術による切除が基本です。手術前の検査でリンパ節への転移が考えられる場合は、リンパ節郭清術を同時に行うこともあります。

また、状況に応じて放射線療法、レーザー焼灼、冷凍凝固療法、抗がん剤の外用などが行われる場合もあります。

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