ちゅうすうせいめまいしょう

中枢性めまい症

最終更新日:
2018年07月17日
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2018/07/17
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概要

中枢性めまい症とは、脳梗塞や脳内出血、脳腫瘍など脳の病気によって引き起こされるめまいのことです。めまいとは、目が回るような感覚(回転性めまい)やふわふわと浮いたような状態(浮動性めまい)になる症状のことですが、症状の現れ方は人によって異なり、病状の表現も多様です。

めまいには、耳の内部にある内耳の異常による末梢性めまいと脳が原因の中枢性めまいがあります。どちらも体の平衡を保つ働きをする部位に異常が生じたときにめまいが引き起こされます。

中枢性めまいは通常、めまい以外の神経所見が生じるのが特徴で、めまいの程度は末梢性めまいよりも軽度であることがほとんどです。しかし、中枢性のめまいは脳の中に病変があることの証拠でもあり、軽度な場合でも看過することはできません。

原因

人は直立二足歩行を行うため、常に体のバランスを保つ必要があります。これを平衡感覚といいますが、主に脳と内耳の働きによって保たれています。

脳の中で平衡感覚を司るのは、小脳と脳幹と呼ばれる部位です。一方、内耳にある三半規管は体の傾きや加速度を敏感に感知する働きを持ちます。

三半規管で感知された体のバランスに関する情報は、脳幹を通って小脳へと伝えられ、バランスを保つような運動の指令を大脳の運動野に伝えることで、体のバランスが成り立っています。つまり、脳幹は体のバランスに関する情報を三半規管から受け取って小脳へ送り、小脳ではその情報を基にどのような体勢や運動を行えば体のバランスを維持できるかを瞬時に計算して、大脳運動野に運動の仕方を命令するのです。

このため、脳幹と小脳に異常が生じると、体のバランスを保つことができず、めまいが生じます。主な原因は、脳梗塞脳出血などの脳血管障害によって脳幹や小脳にダメージが加わることで、その他には脳幹や小脳の腫瘍、脊髄小脳変性症などの変性疾患などが挙げられます。

また、低血圧不整脈などによる一時的なめまいは、脳への血流が減少して脳が酸欠状態になることで生じるめまいであり、立ちくらみなどと表現されることもありますが、これらも中枢性めまい症の一種であるとの考え方もあります。

症状

中枢性のめまいは、ふわふわと浮いたようなめまいと回転性めまいのどちらもおこることがあります。

めまいの程度は末梢性よりも軽度であると感じられることもありますが、長く継続するために船酔いのように感じることもあります。脳の病変が大きくなると、めまいによって立位や歩行が困難になることも少なくありません。

また、脳幹は平衡感覚を司るだけでなく、呼吸や眼球運動、言葉を発したり、物を飲み込むなどの動作を司る部位でもあるため、脳幹の障害部位によっては呼吸障害やさまざまな神経症状が現れます。小脳に大きな腫瘍や出血があるようなケースでは、小脳扁桃ヘルニアを生じて死に至ることも少なくありません。

ダメージを受ける部位が脳幹か小脳かで同時に発症する神経症状などは大きく異なりますが、中枢性めまい症で生じる眼振の所見はどちらも共通しているのが特徴であり、しばしば末梢性か中枢性のめまいかを判断する指標にもなります。中枢性のめまいでは、注視誘発眼振が生じますが、これは注視した方向に眼振が現れるものです。

検査・診断

めまいを生じて病院を受診すると、まずは身体所見から神経症状の評価が行われます。

特に注視誘発眼振は中枢性めまい症に特徴的な所見であり、これらの結果に加え、他の脳神経症状の有無や運動失調の有無、聴力の異常の有無などよって中枢性か末梢性かの大まかな判断が下されます。眼振がはっきりとわからない場合には、Frenzel眼鏡と呼ばれる眼振を観察するための特殊な器具を用いて眼球運動の観察が行われます。

中枢性が疑われるケースでは、CTやMRIによる画像検査が行われ、脳内の病変を確認します。特に発症早期の脳梗塞が疑われる場合には、CTではなくMRI検査が行われ、拡散強調画像による早期梗塞巣の確認がなされます。

そのほか、全身状態に合わせて炎症所見などを評価するために採血検査を行うこともあります。

治療

中枢性めまい症の治療は基本的には原因となる脳幹や小脳の病変に対するものが主体となります。具体的には手術で出血や腫瘍を取り除いたり、詰まった血管を通過させるためのカテーテル治療、脳血流改善効果のある薬の点滴などが行われます。

めまいの発症直後は吐き気や嘔吐などの症状が引き起こされることがあるため、制吐剤などを対症療法的に使用することもあります。

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