現代、「依存」という言葉はさまざまなシーンで使われます。しかし、「依存症」となると、これは精神医学における病気です。
この依存症の考え方は技術の進歩や文化の変化とともに、変化していきます。依存症の広がりについて、日本の精神医学におけるオピニオンリーダーである京都大学精神医学教室教授の村井俊哉先生にお話をお聞きしました。
依存症の対象として問題となる状態は、技術の進歩や文化の変化とともに急速に変化していきます。物質依存症の場合には、いわゆる「危険ドラッグ」のことが話題となっています。法律で規制を加えても、さらに新しいドラッグが開発されるために、法律が追いついていかない、と言う問題がここでは生じています。
さらに行為・過程への依存症の場合は、物質依存症以上に法律が追いつきません。
たとえば、近い将来インターネットゲーム依存症が病名に登録され、そしてその規制が始まったとします。では、その場合オンライン株の取引はどうなるのでしょうか。一般市民が自由に株を売買できることは資本主義社会を成立させる根幹です。しかし、これもカジノやインターネットゲームと同様にギャンブルでないかと言う意見も、それほど荒唐無稽なものではありません。
結局、「技術や文化の進歩に対しては何にでも規制をすればいい」あるいは「規制をかけなければいい」という話では済まなくなります。つまり、ひとつひとつのことに関して規制が必要か不要かという議論だけでは終わらないのです。もっともっと先があることを考えなくてはいけません。
依存症と技術の進歩、文化の変化は深く関係しています。それでは、これらをどう捉えていくのでしょうか。私たちは新しい技術や文化を放棄していくわけにはいきません。とはいえ、なんでもかんでも肯定するわけにもいきません。リスクの高いものは規制をしていき、リスクとベネフィット(利益)とのバランスをとらなくてはいけません。
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