ないじきけい

内耳奇形

耳・鼻

目次

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概要

内耳奇形とは、先天的に生じる蝸牛や三半規管などの内耳の奇形のことを指します。子どもの難聴の主要原因のひとつに挙げられ、早期診断と早期治療介入が必要な疾患です。

難聴によって言葉の発達に支障を来すこともあります。また、平衡感覚に異常を来すこともあります。高度の難聴を伴う場合は状況に応じて、人工内耳を埋め込む手術が必要となります。

原因

胎児期に内耳が正常に形成されない原因の一つが遺伝子異常です。

たとえば、CHARGE症候群やトリソミー18、トリソミー13など、遺伝子・染色体異常による疾患の一症状として生じることがあります。

また、胎児感染が原因となることもあります。妊娠中に母体が風疹に感染すると、子どもに先天性風疹症候群を生じることがありますが、先天性風疹症候群の一症状として内耳奇形が発症することがあります。

その他、放射線や薬剤なども内耳奇形の発症に関与していると推定されています。

症状

難聴

内耳は、空気の振動として伝わってきた音を、脳が音として理解できる電気信号に変換する役割を担う器官です。内耳奇形では、さまざまな程度の難聴が生じます。

発語障害

発語が正常に発達するためには、音が聴こえることが必要不可欠です。そのため、難聴の程度によっては発語障害を来すこともあります。

平衡障害

内耳は平衡感覚にも重要な役割を担っているため、内耳奇形によって、めまいや平衡障害を呈することがあります。

髄膜炎

内耳奇形では髄液の漏出を伴うことがあり、髄膜炎を繰り返すことがあります。髄膜炎では、発熱や不機嫌、頭痛、首の硬直、吐き気や嘔吐、けいれんなどが出現することがあります。

その他

内耳奇形が他の疾患の一症状としてみられている場合には、上記以外の症状を伴うことがあります。たとえばCHARGE症候群であれば、心奇形や目の異常、成長障害、性器の発達異常などを伴うことがあります。

検査・診断

内耳奇形による難聴は、新生児期に行われる新生児聴覚スクリーニング検査で要精査となったお子さんで、その後の他覚的な難聴検査とCTやMRIなどの画像診断で診断されることが多いです。

内耳奇形では、聴力以外に平衡機能が障害されるため、歩き始めが遅いことや運動発達も年齢に比べて遅いため、必要に応じて平衡機能の検査が行われます。先天性難聴の遺伝子検査は保険適応になっているので、遺伝子検査なども適宜行われます。

治療

難聴の程度に応じて、中・高度難聴では積極的に補聴器を装用します。重度の難聴であれば人工内耳の適応が考慮されます。

内耳の異常や合併する神経の異常などの情報をもとにして、人工内耳を埋め込む手術が行われますが、蝸牛の状態が完全に形成されていない場合や蝸牛の神経が欠損している場合は人工内耳の効果が少ない場合もあります。

手術後には、言語聴覚士を交えて、言葉を聞き取るためのリハビリテーションが行われます。社会生活に適応するためには、家族や学校の先生など、周囲の方々の協力が大切です。