かのうせいむきんせいかんせつえん・えそせいのうひしょう・あくねしょうこうぐん

化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群

概要

性無菌性関節炎壊疽性膿皮症・アクネ症候(Pyogenic sterile arthritis, pyoderma gangrenosum and acne syndrome [PAPA症候群])とは、自己炎症性疾患のひとつを指します。

病名から示唆されるように、関節と皮膚に対しての症状が主要となる症状です。関節炎や皮膚症状と関連して、それぞれ関節の変形や皮膚の潰瘍が続発することもあります。 化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群は、PSTPIP1と呼ばれる遺伝子異常を原因として発症することが明らかになっています。

また、難病指定を受けている病気のひとつであり、全世界で40名程度、日本国内に5名ほどの患者さんがいらっしゃると報告されています。

化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群の治療では、ステロイドを始めとした免疫抑制剤の使用がされます。薬剤の使用は長期間に渡るため、副作用の合併に注意しながら使用することで病勢のコントロールを行うことが重要になります。

原因

化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群は、PSTPIP1と呼ばれる遺伝子異常を原因として発症します。 PSTPIP1遺伝子は、炎症に関係する血球系の細胞に多く見られることが知られており、必要に応じて適切に炎症反応が生じるために重要な働きをしていると考えられています。

PSTPIP1遺伝子の情報をもとに産生されるタンパク質は、「パイリン」と呼ばれる別のタンパク質と協調運動をすることで炎症反応の調整に関わっていると考えられています。病気に関連したPSTPIP1遺伝子では、パイリンに対して常時はたらきかけるような状態になり、病気の発症につながると考えられています。

なおタンパク質は、アミノ酸がいくつもつながることで作られています。PSTPIP1遺伝子から産生されるタンパク質も同様にアミノ酸で構成されていますが、特に230番目のアラニンがスレオニンに置き換わったり、250番目のグルタミン酸がグルタミンに置き換わったりする変化が、病気に深く関与していると報告されています。

化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群は、「常染色体優性遺伝」と呼ばれる遺伝形式をとる疾患です。この遺伝形式では、原因となる遺伝子異常を有すると、理論上50%の確率でお子さんに病気が伝わることになります。

症状

化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群は、その病名が示唆する通り、「化性無菌性関節炎」、「壊疽性膿皮症」、「アクネ」が主要な症状になります。これら症状は、それぞれの順に年齢を経て認めるようになります。

3歳頃になると、外傷などをきっかけとして関節炎を生じるようになります。関節の炎症を繰り返すと、徐々に関節が変形を来すことになります。 10歳頃になると壊疽性膿皮症を併発するようになります。

壊疽性膿皮症は下肢を中心にみられることが多く、幅広い皮膚潰瘍(周囲の皮膚と比べると盛り上がって見える傾向が強いです)を形成するようになります。さらにアクネを認めるようになり、無治療だと瘢痕形成を来すこともあります。

そのほかの生じうる合併症としては、各種血液疾患(溶血性貧血や脾腫など)、炎症性疾患(炎症性腸疾患ぶどう膜炎など)、糸球体腎炎糖尿病などを挙げることができます。

検査・診断

化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群では、病名にみられる症状をもとに病気が疑われます。化性無菌性関節炎は、関節に炎症反応は生じているのですが「無菌性」です。

すなわち、関節穿刺にて採取した関節液を詳しく調べると、白血球の成分である好中球は認めますが、炎症を引き起こす細菌を同定することは出来ません。関節炎の評価のために、局所のレントゲン写真やMRIなどの画像検査が併用されることもあります。

臨床症状から病気が疑われる場合には、遺伝子検査が行われることになります。化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群は、PSTPIP1遺伝子に病気を引き起こしうる異常(例えば230番目のアラニンがスレオニンに置き換わる)が存在すると発症しますので、こうした異常がないかどうかを確認することになります。

なお、経過中に溶血性貧血糖尿病、糸球体腎炎などの合併症を見ることも知られています。したがって、病気を早期に発見するためにも、定期的な血液検査や尿検査などを行うことも求められます。

治療

化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群は、自己免疫を主体として発症する病気です。したがって、免疫反応を抑制するための治療がとられることになります。具体的に使用されうる薬剤としては、ステロイド、メソトレキセート、カルシニューリン阻害薬、TNF阻害薬、IL-1阻害薬などを挙げることができます。

薬剤に対しての反応性は人によってさまざまであり、薬用量や薬の種類を調整しながら病勢のコントロールを図ることになります。また皮膚症状に感染症症状が併発した場合には、適宜抗生物質の使用が行われることになります。

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