原因
嗅覚障害は異常が生じる場所によって気導性嗅覚障害・中枢性嗅覚障害・嗅神経性嗅覚障害の3つの病態に分類され、それぞれ原因が異なります。
気導性嗅覚障害
鼻腔が塞がるなどし、におい成分が嗅神経まで到達できないことで嗅覚に異常が生じるタイプです。
鼻腔内に鼻茸と呼ばれるポリープを伴う慢性鼻副鼻腔炎に伴って多くみられるほか、アレルギー性鼻炎などが原因になります。
中枢性嗅覚障害
においを嗅ぐと、におい成分が鼻の奥にある嗅細胞を経て脳の嗅球へと刺激が伝わり、処理された情報が大脳に伝わることでにおいを感じ取ることができます。中枢性嗅覚障害は嗅球から大脳までの回路(嗅覚中枢)に異常が生じて発症するタイプです。
頭部外傷による脳挫傷が原因となることが多く、脳梗塞、脳出血、脳腫瘍などでも脳の嗅覚中枢の回路が損傷して発症します。このほか、アルツハイマー型認知症やパーキンソン病などの神経変性疾患でも嗅覚障害を伴うことがあります。
嗅神経性嗅覚障害
嗅神経細胞が障害されてにおいを感じなくなるタイプです。
ウイルス感染によって嗅神経細胞がダメージを受けるものと、顔面や頭部の外傷によって嗅いだにおいを鼻の奥にある嗅細胞から脳の嗅球へと伝える嗅神経軸索が損傷されて生じるものがあります。
参考文献
- 一般社団法人 日本鼻科学会.嗅覚障害診療ガイドライン.日本鼻科学会会誌.2017,vol.56,No.4,p.487-556.
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