乾癬とは、主に皮膚にカサカサとした皮疹が現れる病気であり、複数の種類が存在します。今回は、横須賀共済病院皮膚科部長、神奈川乾癖患者会相談医などを歴任し、うちだ皮膚科クリニック 院長を務められる内田敬久先生に、乾癬の概要についてお話をうかがいました。
乾癬とは、慢性的に皮膚の表面がカサカサとし(鱗屑:りんせつ)、通常の皮膚と境界が明瞭な赤い皮疹(紅斑:こうはん)が現れる病気です。皮疹は痒みを伴います。また、関節痛や爪の変形が現れることもあります。
日本皮膚科学会によると、2018年時点での日本の発症頻度は、約1,000人に1人、0.1%ほどといわれています。男女比は2:1と男性に多くなっています。男性に多い理由は、女性よりも男性に多いメタボリックシンドロームや喫煙が、乾癬の発症に関係しているからとも考えられます。発症しやすい年齢は、30代から40代です。しかし、女性の場合は10代の方にも比較的多くみられます。
乾癬の患者さんは、鱗屑が落ちることや、赤く盛り上がった皮疹によって、人目を気にしてしまいます。公衆浴場に行けない、電車のシートに鱗屑が落ちることが気になる、感染症と間違われて会社や学校から疎外される、というケースもあります。そのため、乾癬の重症度を測るスコアには、患者さんのQOL(生活の質)を評価するDLQIスコアがあり、そのスコアが高いほど重症と判断されます。それほど、乾癬は患者さんのQOLにも深く関わり、精神的にも苦痛が大きい病気です。
尋常性乾癬は、乾癬のなかでもっとも患者数が多い型であり、乾癬患者さんの約90%を占めています。通常の皮膚との境目が明瞭で、赤く盛り上がった皮疹が発生します。皮疹の表面はカサカサとしています。
乾癬性関節炎とは、皮疹と共に関節炎を伴う乾癬です。皮疹が先行して現れた後、関節炎が現れるケースが多いといわれています。まれに、関節炎が先行するケースもあります。関節炎は手足の指の関節に生じることが多く、肘や膝の関節、肩関節、脊椎などにも現れます。発症初期は、発赤、腫脹、疼痛、圧痛ですが、進行すると関節の変形が現れます。また、爪に病変を伴うケースもあります。乾癬性関節炎の患者数は、乾癬患者全体の約10%を占めます。
滴状乾癬とは、数mmの小さなカサカサとした皮疹が発生する乾癬です。若年者に多いといわれています。溶連菌感染症(溶連菌の感染により発症する疾患)との関連が強く、風邪をひくと症状が悪化し、改善すると乾癬も落ち着く患者さんも少なくありません。
乾癬性紅皮症とは、乾癬に皮疹が皮膚全体の80%以上を占める場合をいいます。尋常性乾癬の適切な治療を行わなかった場合などに発症するため、乾癬が進行したものと考えられています。命にかかわる可能性があり、入院による治療が必要です。近年は乾癬治療の進歩により、乾癬性紅皮症まで進行する患者さんは減ってきています。
汎発性膿疱性乾癬とは、発熱や関節痛を伴う乾癬です。拡大した紅斑の上に小嚢胞が多発します。汎発性膿疱性乾癬は、尋常性乾癬が進行して発症する場合と、突然発症する場合があります。乾癬性紅皮症と同じく生命を脅かす可能性があるため、通常は入院による治療が必要です。
薬の影響により発症・増悪する乾癬を、薬剤性乾癬といいます。
記事2『乾癬の原因は免疫の異常』では、これらの乾癬を発症する原因について、詳しく解説します。
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