じょみゃくひんみゃくしょうこうぐん

徐脈頻脈症候群

最終更新日:
2025年01月09日
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2025/01/09
更新しました
2017/04/25
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概要

徐脈頻脈症候群(じょみゃくひんみゃくしょうこうぐん)とは不整脈の一種で、異常に脈が遅くなる“徐脈”と速くなる“頻脈”を交互に繰り返す病気です。頻脈から徐脈へ切り替わるときに脳血流量が著しく減少し、意識を失う“アダムス・ストークス症候群”を引き起こすこともあります。

個人差はあるものの、正常な心臓は安静時で1分間に60~100回の拍動がみられます。脈拍が1分間に60回以下となる場合を徐脈、100回以上となる場合を頻脈といいます。なお、健康な若者やアスリートなどは脈拍が少なくなる傾向にあり、徐脈に近い状態であっても無症状で特に問題がない場合もあります。

徐脈頻脈症候群は、心臓を動かすための電気信号を発生させる“洞結節(どうけっせつ)”と呼ばれる部位の異常により生じます。心房細動などの頻脈性不整脈が停止した際、洞結節が停止したままだと数秒間の心停止(ポーズ)を起こすことがあります。その結果、めまいや失神などの症状が出現します。

なお、洞結節の異常によって起こる不整脈を総称して“洞不全症候群”といい、徐脈頻脈症候群は“洞不全症候群III型”として分類されています。

原因

加齢に伴う洞結節の機能低下が主な原因となります。特に高齢者に多くみられる心房細動の予防に抗不整脈薬を使用した場合、その薬が洞結節の機能を抑制することで発症することもあります。

症状

徐脈頻脈症候群をはじめとする洞不全症候群の自覚症状としては、全身の倦怠感やめまい、息切れ、失神などが挙げられます。徐脈頻脈症候群では、頻脈になっている場合に動悸を感じることもありますが、自覚症状がみられない場合もあります。気を失い転倒や外傷を生じた場合は、脳神経外科や整形外科に受診することが多く、診断までに時間がかかることがあります。

アダムス・ストークス症候群

アダムス・ストークス症候群とは、不整脈によって心臓から送り出される血液が急激に減少し、脳の血流量も低下することによって、めまいやけいれんのほか、意識を失う失神を引き起こすこともある病態を指します。徐脈頻脈症候群の場合、強い徐脈で脈拍が異常に遅くなった場合や、頻脈から徐脈へと切り替わる場合などにみられることがあります。

検査・診断

徐脈頻脈症候群などの洞不全症候群が疑われる場合には、心電図検査を行います。通常の心電図では頻脈や徐脈を記録できないことも多く、ホルター心電図などの長時間の波形を記録できる検査でみつかるケースが多くあります。また、合併する心臓の病気がないかどうかを調べるために、心臓超音波検査や胸部X線検査などの画像検査が検討されることもあります。

心電図検査

通常はベッドに仰向けに寝て、体に電極を付けた状態で測定することが一般的です。しかし無症状の場合、この検査方法では異常を確認できないことがあるため、1日中胸に電極を貼り付け、24時間分の心電図を記録する“ホルター心電図検査”を検討することもあります。また、失神を繰り返すような重篤な例では、体の中にループレコーダーと呼ばれる装置を植え込んで、さらに長期間にわたって心電図を記録し、診断を行うこともあります。

心臓超音波検査

心電図検査に加えて、心臓超音波検査を行い心臓の状態を調べます。心臓超音波検査とは、心臓に超音波をあて、その反射を画像化することで心臓の形を映し出す検査です。心臓の形や心臓の動きのほか、血流も見ることができるため、虚血性心疾患先天性心疾患などの多くの心疾患の診断に役立ちます。

治療

徐脈頻脈症候群の治療としては、薬物療法やペースメーカー治療が検討されることが一般的です。また近年では、頻脈が停止した際に洞停止が起こる徐脈頻脈症候群において、頻脈を予防する目的でカテーテルアブレーション治療が検討されることもあります。なお、症状がない場合は、治療をせず経過観察となることもあります。

薬物療法

徐脈に対しては心拍数を増加させる薬を使用し、また頻脈に対しては心拍数を低下させる薬を使用することが一般的です。しかし、どちらも発生する徐脈頻脈症候群の場合、たとえば心拍数を低下させる薬を使用すると徐脈が増強する場合もあるため、ペースメーカーの植え込みをして治療を行うことが一般的です。

なお、徐脈頻脈症候群の中には現在服用している治療薬が影響して発症するものもあります。そのため飲んでいる薬を確認し、必要に応じて服用の中止や治療薬の切り替えを検討します。

ペースメーカー治療

ペースメーカーとは、体の中に留置した装置から必要に応じて心臓へ電気信号を送ることで、脈拍を安定させる治療方法です。ペースメーカーを留置する際は、鎮静薬や局所麻酔を使用し、鎖骨の下の皮膚を数cm切開して行います。X線を用いて観察しながら電気信号を伝えるための電線を挿入・固定し、ペースメーカー本体とつなぎます。

徐脈頻脈症候群の場合、生涯にわたってペースメーカーを入れ続けることが一般的です。半年に1回ほど通院し、装置の電池残量や正しく機能しているかどうかの確認などが行われます。

カテーテルアブレーション治療

カテーテルアブレーション治療は、太ももの付け根からカテーテルと呼ばれる細い管を挿入し、心臓の中で不整脈の原因となっている部位を焼き切ることで不整脈の根治を目指す治療方法です。全ての徐脈頻脈症候群に検討されるわけではありませんが、心房細動と呼ばれる頻脈を引き起こす場合には検討されることがあります。

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