ししゅんきちはつしょう

思春期遅発症

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

思春期遅発症とは、男子では14歳頃、女子では13歳頃までに二次性徴が見られない病気のことです。

二次性徴とは、思春期に精巣や卵巣が発達して性ホルモンを盛んに分泌するようになることで、男子では声変わりや筋肉の発達、外性器の発育が生じ、女子では初潮や乳房の発達、皮下脂肪の蓄積などが生じます。

これらの二次性徴は、初めに脳の視床下部から性腺刺激ホルモン放出ホルモンが分泌され、これの刺激を受けてさらに脳の下垂体から性腺刺激ホルモンが分泌されます。性腺刺激ホルモンは、精巣や卵巣に作用し、それぞれの性ホルモン分泌を促す作用を持ちます。

体質や遺伝的に二次性徴の発現が遅れることもありますが、二次性徴の発現を司る3種のホルモン分泌が低下していることが原因のこともあります。

原因

思春期遅発症の原因には性差があります。それぞれの原因は以下の通りです。

男子

多くは体質や遺伝によって二次性徴の発現が遅いことが原因であり、病的なものではないとされています。一方で、以下のような原因も挙げられます。

女子

半数近くは卵巣の機能異常により、女性ホルモンが正常に分泌されないことが原因であり、多くはターナー症候群(45X)によるものです。女子の場合には過度な運動や食事制限によるダイエットによってエネルギーが不足して二次性徴の発現が遅れることもまれではありません。

その他にも糖尿病や甲状腺機能低下症などの内分泌疾患や腎不全などが原因となって性腺刺激ホルモンの分泌が減少するものが挙げられます。

他にも男子と同様に脳の腫瘍や外傷によって女性ホルモンの分泌を促すホルモンが減少することが原因のこともあります。

症状

思春期遅発症の症状は、二次性徴の発現が標準よりも遅れることです。二次性徴は、生殖能力が発達し、それぞれの性別に合わせた身体的な成長が生じますが、男子では14歳頃、女子では13歳頃までにそれらが発現しない場合に遅発とされます。

男子の場合

二次性徴によって睾丸や陰茎、陰毛が著しく発達し、射精が起こり始めます。また、声変わりが生じ、筋肉や骨格が発達して男性らしい体格になりますが、思春期遅発症では14歳頃までにどの発達も生じません。

特に14歳までに精巣の大きさが2.5cm以上にならないもの、陰毛は15歳までに生じないもの、16歳以上でひげや声変わりが生じないものが思春期遅発症と定義されています。

女子の場合

二次性徴が始まると初潮を迎え、乳房の発達や腋毛、陰毛などが生え始めます。また、皮下脂肪がつきやすくなり、丸みを帯びた女性らしい体つきになりますが、乳房の発達が14歳までないものや16歳までに初潮を迎えないものが思春期遅発症とされています。

共通する症状としては、骨年齢の遅れや低身長などの体格の異常が生じます。これらの症状は、社会生活上、心理的なストレスとなりやすいため、適切な治療が必要となります。

検査・診断

思春期遅発症には、体質や遺伝などによる病的でないものとホルモンの異常や精巣・卵巣の異常によるものがあり、適切に鑑別する必要があります。このため、必要に応じて以下のような検査が行われます。

ホルモン検査

性腺刺激ホルモン分泌ホルモン、性腺刺激ホルモン、性ホルモンの3段階におよぶホルモン分泌に異常がないかを評価する検査です。

視床下部に異常がある場合にはすべてのホルモンの分泌が低下し、下垂体に異常があるときには視床下部からの性腺刺激ホルモン分泌ホルモンが増加して、性ホルモンは減少します。

また、精巣・卵巣に異常がある場合には性腺刺激ホルモン分泌ホルモンと性腺刺激ホルモンの双方が増加します。このように、3種のホルモン値を調べることで、原因がどこにあるのかを推測することが可能です。

画像検査

視床下部や下垂体に腫瘍などの病変がないか調べるためにCT検査やMRI検査が行われます。また、女子の場合には卵巣の状態をチェックするために経膣超音波検査が行われることもあります。

遺伝子検査

女子の思春期遅発症の原因として多いターナー症候群や、男子のクラインフェルター症候群染色体異常が原因の病気であり、これらの確定診断をするうえで遺伝子検査が必要となります。

血液検査

糖尿病腎不全甲状腺機能低下症などを評価するために血液検査が行われることがあります。また、栄養状態や筋肉疲労の程度も調べることができ、多くの場合で一般的に行われる検査です。

治療

思春期遅発症は、体質や遺伝が原因であることが多く、このような場合には特に治療をせずに経過観察を行うことが一般的です。しかし、明らかな低身長がある場合には、ホルモン療法が行われることもあります。

一方、何らかの病気によって思春期遅発症が生じている場合には、その病気の根本的な治療が行われます。脳腫瘍が原因の場合には手術によって取り除く治療が行われ、低栄養状態によるものでは適切な食事や運動指導の他に認知行動療法などの精神的カウンセリングを行う場合もあります。

また、治療によっても性腺刺激ホルモン放出ホルモンや性腺刺激ホルモンの分泌が増加しない場合や精巣・卵巣の異常によるものではホルモン補充療法が行われます。

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