みはれつのうどうみゃくりゅう

未破裂脳動脈瘤

最終更新日:
2024年08月09日
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2024/08/09
更新しました
2018/08/08
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治療

未破裂脳動脈瘤は、破裂することでくも膜下出血をきたし、生命を脅かすことがあります。しかし、未破裂のまま経過し、そのまま重大な問題を引き起こさないこともあります。そのため、病気が指摘された際に積極的に脳動脈瘤の破裂を予防するための治療を行うか、治療をせずに経過をみていくか慎重に判断する必要があります。

具体的には、脳動脈瘤の大きさが5~7mm以上で、形がいびつで、脳動脈瘤自体に小さな瘤がある場合などに破裂するリスクが高くなります。また、喫煙や過度な飲酒などの生活習慣がある場合や、くも膜下出血を発症した家族がいる場合なども破裂するリスクが高まるとされています。そのため、各検査による脳動脈瘤の詳細な観察を行ったうえで、生活歴や家族歴などを総合的に加味して治療を行うかどうか決定されます。

未破裂脳動脈瘤の治療は、手術によって脳動脈瘤の根本を医療用のクリップという小さく細い留め具で挟み込む“開頭クリッピング手術”と、血管内にカテーテルを挿入して医療用のコイルを脳動脈瘤内に詰めて塞ぐ“血管内治療”の2つに大きく分けられます。いずれの治療方法にもメリット・デメリットが存在し、大きさや形状によって適した治療法が異なります。

開頭手術(開頭クリッピング術)

開頭クリッピング術は、全身麻酔下で行われる手術です。まず皮膚を切開し、頭蓋骨(ずがいこつ)の一部に窓を開けます。脳動脈瘤の根元を“クリップ”という小さく細い留め具で挟み込み、脳動脈瘤への血流を遮断します。クリップは主にチタン製で、人体に無害のものを使用し、永久的に頭の中に置いておきます。最後は頭蓋骨を元の位置に戻し、皮膚を縫合します。

現代の手術では、髪の毛をほとんど剃る必要がないため、退院時には外見上手術の跡はほとんど分からなくなります。動脈瘤の状況によっては、頭皮などほかの部位の血管を使用してバイパスをする手技を組み合わせることもあります。

開頭手術は、皮膚や頭蓋骨を切開する必要がありますが、手術した直後から効果が得られます。また、永続的な根治性が高いという利点があります。

血管内治療

血管内治療も通常は全身麻酔で行われます。多くの場合、鼠径部*の血管から細いカテーテルを脳動脈瘤まで通し、脳動脈瘤の内部にコイルを詰めることで、脳動脈瘤への血流を遮断します。そのほか、動脈瘤ができた血管部分にステントという網状の金網を留置し、コイルと組み合わせて行う治療もあります。動脈瘤の部位と大きさによっては、ステントだけで動脈瘤を消失させる特殊な方法もあります。血管内に人工物を留置するため、治療後の一定期間は抗血栓薬の服用が必要となります。

血管内治療の最大の利点は、頭蓋骨を開く必要がないため、身体的な負担が比較的少ないことです。しかし、脳動脈瘤の形状や、正常な分枝血管**との位置関係などによっては、この治療法が適さない場合もあります。

また、血管内治療では、脳動脈瘤への血流が完全に遮断できなかったり、再発したりすることがあるため、治療後も定期的な経過観察が必要となります。

経過観察

治療をしない場合でも、未破裂脳動脈瘤が発見された場合は破裂を予防するために高血圧症などの病気の治療を徹底し、喫煙や過度な飲酒といった乱れた生活習慣を改善していくことが大切です。

*鼠径部:脚の付け根の部分。
**分枝血管:血管の枝分かれ部位

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