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未破裂脳動脈瘤とは?破裂の危険因子と治療の選択肢

未破裂脳動脈瘤とは?破裂の危険因子と治療の選択肢
大田 慎三 先生

脳神経センター大田記念病院 脳神経外科部長

大田 慎三 先生

目次
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脳の動脈にできる血管のふくらみを未破裂脳動脈瘤といい、破れると「くも膜下出血」を引き起こして命にかかわることがあります。未破裂脳動脈瘤の破裂を防ぐ治療法としては、「コイル塞栓術」や「クリッピング術」という手術が挙げられます。

今回は、脳動脈瘤の破裂するきっかけや、治療の選択肢について、脳神経センター大田記念病院の大田慎三先生にお話を伺いました。

頭を抱える女性

未破裂脳動脈瘤とは、脳の血管にできたこぶのことで、風船のようにふくらんだ形をしています。こぶの中に流れ込む血流が負荷となってこぶが大きくなると、ほとんど症状は現れないものの、場合によっては破裂して(破裂脳動脈瘤)「くも膜下出血」を引き起こすことがあります。破裂すると命にかかわることがあり、くも膜下出血による退院時死亡率はおよそ20%となっています。

脳動脈瘤は発生しても症状が現れないことが多いため、多くの場合、健康診断や脳ドックなどで偶然発見されます。たとえば、近年では国土交通省が「自動車運送事業者における脳血管疾患対策ガイドライン」を策定して脳健診の活用を呼びかけていることもあり、バスなどの運転従事者が脳ドックを受診した際、未破裂脳動脈瘤に気づくことがあります。

血圧を測る男性患者

脳動脈瘤が破裂する危険因子のひとつとして、高血圧が挙げられます。実際に、口喧嘩をしたり、カラオケで歌ったりしているときに血圧が上がって脳動脈瘤が破裂し、救急搬送される方がいらっしゃいます。

血圧の上昇による脳動脈瘤の破裂を防ぐため、病院では降圧剤を処方することがあります。高血圧の基準は、診察室で測定した血圧が140/90mmHg以上であることとされていますが、未破裂脳動脈瘤の患者さんについては、血圧管理をより厳重に血圧を管理するために降圧剤を処方する場合があります。

親子や兄弟で、遺伝的に脳動脈瘤の発生する方がいらっしゃいます。くも膜下出血を起こした患者さんのご家族には、念のため検査をおすすめしています。

ただし、家族の中にくも膜下出血を起こした人がいなければ、くも膜下出血を発症しないというわけではありません。たとえば、バスや飛行機の運転に従事する方などは、早めに脳MRIなどの検査を受けておくとよいでしょう。

脳動脈瘤の破裂率は、こぶの大きさ、形、部位などで決まります。

どのような脳動脈瘤でも破裂する危険性を持っていますが、たとえば大きさについては、日本人のデータでは3~4mmであれば破裂率は年間1%未満であることが多いといわれています。こぶの大きさが7mmを超えると、脳動脈瘤の部位などによりますが平均して年間1%を超えてきます。

大田記念病院では、こぶが大きい場合や、時間の経過に伴ってこぶが増大している場合、多くの患者さんで予防的な手術を検討します。

患者に説明する医師

日本の成人の約2.7~4.6%は未破裂脳動脈瘤をもっているとされ、その存在に気づかないまま日常生活を送っている方は少なくありません。未破裂脳動脈瘤が発見されてもすぐに手術せず、血圧のコントロールなどを行いながら経過観察する方が多いです。

脳動脈瘤の破裂を未然に防ぐ治療として、コイル塞栓術(血管内治療)とクリッピング術(開頭手術)の2種類があります。

コイル塞栓術は、カテーテルという管を挿入して、金属製のやわらかい「コイル」を脳動脈瘤の中に少しずつ詰めていき、脳動脈瘤への血流を遮断する治療法です。

開頭クリッピング術は、全身麻酔をかけて頭蓋骨の一部を開き、脳動脈瘤の根元をクリップで挟むことで、脳動脈瘤への血流を遮断する治療法です。

未破裂脳動脈瘤 コイル・ステント治療

未破裂脳動脈瘤の治療の際、大田記念病院では患者さんの状態や脳動脈瘤の形状、部位などを勘案して、クリッピング術かコイル塞栓術か、最適な治療方法を検討します。その上で、コイル塞栓術が可能な場合はまずコイル塞栓術を選択しています。また、金属でできた網目状の筒である「ステント」と呼ばれる器具は、なるべく利用しないで行う治療に力を入れています。

入り口の部分が広い(ワイドネックな)未破裂脳動脈瘤は、コイル塞栓術で治療すると、詰めたコイルが血管に飛び出てしまうことがあります。そのため、血管の中にステントを留置してコイルが飛び出ることを防ぐ「ステント併用コイル塞栓術」を実施している病院は多いでしょう。

しかし、ステントはまだ普及してから日が浅く、長期的な成績が明らかになっていないという課題があります。また、ステントを併用すると合併症の発生率が高くなるという論文も発表されています。

当院では、技術を磨き、経験を重ねてきた医師がコイル塞栓術を行うことで、必要以上の器具は使用しない治療を実現しています。コイル塞栓術は、ステントを併用しなければ高い技術を要する治療法ですが、コイルを巻く基本的な技術がしっかりできていれば、多くの症例でステントを使わずに対応できると考えています。

また、コイル塞栓術の実施が難しいと判断した症例については、当院の場合、頭の一部を開いて行うクリッピング術(開頭手術)で対応するように努めています。

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  • 脳神経センター大田記念病院 脳神経外科部長

    大田 慎三 先生

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