ようけつせいにょうどくしょうしょうこうぐん

溶血性尿毒症症候群

血液

目次

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概要

溶血性尿毒症症候群(ようけつせいにょうどくしょうしょうこうぐん)とは、溶血性貧血、血小板減少、急性腎障害の三つの特徴を有する病気を指します。腸管出血性大腸菌に感染した後に発症することが多く、小児における急性腎障害の原因として、もっとも頻度が高いです。

原因となる腸管出血性大腸菌には代表的なものとして「O157」が有名です。腸管出血性大腸菌に関連した溶血性尿毒症症候群は集団発生することもあります。症状が非常に重くなる場合や、死亡者を出す場合もあるため、その社会的な影響力はとても大きいです。

成人領域における溶血性尿毒症症候群の原因は、より多岐に渡る傾向にあります。薬剤、妊娠、自己免疫疾患、悪性腫瘍などによって発症することもあります。溶血性尿毒症症候群では、輸液や輸血、ときに透析などの治療が必要となることもあります。集学的な治療を行うことで、予後の改善を図ることが大切な病気です。また、血栓性血小板減少性紫斑病(けっせんせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょう)と呼ばれる病気は、溶血性尿毒症症候群の症状と類似する部分も多く、一括して「血栓性微小血管」と呼ばれることもあります。

原因

溶血性尿毒症症候群とは、溶血性貧血、血小板減少、急性腎障害の三つの特徴とする病気ですが、その病態をきたす原因には、さまざまなものがあることが知られています。代表的な原因としては、腸管出血性大腸菌に感染した後に発症するものです。

腸管出血性大腸菌は、人の腸管に感染し下痢を引き起こす大腸菌で、本症はその中でもベロ毒素(志賀毒素)を産生する細菌により発症します。腸管出血性大腸菌が産生するベロ毒素は、人の細胞の中に取り込まれることでその毒性を発揮します。毒素を取り込んだ細胞は、細胞活動に必要なタンパク質を合成できなくなり、細胞が生命活動を送れなくなります。その結果、各種の細胞障害が引き起こされます。

原因となる腸管出血性大腸菌には、さまざまなものが知られていますが、日本においてはO157と呼ばれるタイプのものがもっとも多いです。また、O157以外のタイプによっても引き起こされます。小児分野における溶血性尿毒症症候群の原因は、その多くが腸管出血性大腸菌に関連したものです。

一方、成人領域においては、免疫抑制剤(シクロスポリンなど)や抗がん剤、抗血小板薬に関連して溶血性尿毒症症候群が発症することが多くあります。また、HIVや、インフルエンザ、肺炎球菌などの感染症が原因となることもありますし、自己免疫疾患が原因となることもあります。

症状

溶血性尿毒症症候群は、多くの場合腸管出血性大腸菌感染症に続発して発症します。腸管出血性大腸菌に感染してから3〜7日程度の潜伏期間を経たのちに腹痛、下痢が生じます。細胞障害が進行すると、血便を発症することになります。

下痢が出現した後、溶血性貧血(ようけつせいひんけつ)血小板減少(けっしょうばんげんしょう)急性腎障害(きゅうせいじんしょうがい)の三つを特徴した溶血性尿毒症症候群が発症することになります。また、腸管出血性大腸菌以外のものが原因となった場合も、この三つの病態が主体となります。

貧血症状としては、めまいやだるさ、顔色不良、頻脈などの症状が出現します。血小板が減少すると血液が固まりにくくなり、粘膜出血や消化管出血をきたすことがあります。急性腎障害を発症すると排尿が少なくなり、まったく尿を見ないこともあります。血圧が上昇することとも相まって、けいれんや意識障害などの脳症を発症することもあります。そのほか、心筋障害による心不全(呼吸困難など)、膵炎(腹痛)、播種性血管内凝固症候群、膵炎などを発症することもあります。

検査・診断

 

溶血性尿毒症症候群では、血液検査にて溶血性貧血、血小板減少、急性腎障害を検索します。溶血性尿毒症症候群では、小さな血管に血栓が形成されており、狭い血管を通る際に赤血球が破壊されます。このことから、顕微鏡検査にて変形した赤血球を認めます。また、溶血現象を反映した所見も血液検査で確認されます。腎臓や腸管に生じている変化を確認するために、超音波検査が行われることもあります。

溶血性尿毒症症候群では、病気の誘因となった原因検索も行われます。代表的な原因である腸管出血性大腸菌ではベロ毒素が産生されていることから、ベロ毒素を検出する検査が行われます。

溶血性尿毒症症候群では、随伴症状を発症することもありますので、それらを検索するための検査が行われることもあります。脳症を発症したときには頭部MRIや脳波などが、心筋障害に対しては心エコーや心電図などがそれぞれ行われます。

治療

溶血性尿毒症症候群の治療の基本は、基礎疾患に対する治療に加えて、各種症状に対応した支持療法になります。貧血の進行が強い場合には輸血が行われ、血圧が高い場合には利尿剤や降圧剤(カルシウム拮抗薬が代表的)を用いて血圧を下げることになります。

溶血性尿毒症症候群では急性腎障害が進行し、排尿を認めなくなることもあり、透析を行うこともあります。また、原因によっては血漿交換と呼ばれる治療が選択されることもあります。

溶血性尿毒症症候群では脳症を発症することもあり、抗けいれん薬によるけいれんの対応、脳圧効果のための高浸透圧療法が行われます。経過や原因によってはステロイドパルス療法を行うこともあります。