ひふしんきんしょう

皮膚真菌症

最終更新日:
2024年10月23日
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2024/10/23
更新しました
2018/07/18
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概要

皮膚真菌症とは、真菌(カビ)によって引き起こされる皮膚の感染症です。原因となる真菌には白癬菌(皮膚糸状菌)やカンジダ属真菌、マラセチア属真菌などが挙げられ、もっとも発症頻度の高い病気は足白癬(足の水虫)です。日本医真菌学会の調査(2007年)によると、皮膚科の新患患者のうち真菌症患者は13.8%であることからも、よくみられる病気であるといえます。

皮膚真菌症には表在性真菌症と深在性皮膚真菌症の2種類があります。表在性真菌症は皮膚や粘膜の表面に真菌が感染したもので、皮膚真菌症のほとんどを表在性真菌症が占めます。一方、深在性皮膚真菌症はほかの臓器に侵入した真菌が血流に乗って、真皮や皮下組織に到達したもの、あるいは外界から皮膚の深部に真菌が到達し感染が波及したものを指します。いずれの場合も、原因となる真菌や症状に応じて抗真菌薬などを用いた薬物療法が行われます。

原因

癬菌やカンジダ属真菌などの真菌が皮膚に感染し、増殖することで発症します。

真菌は通常、皮膚の表面を覆う角質層に感染し、それより深い部位に侵入することはまれです。しかし、外傷や免疫不全、骨髄(こつずい)・臓器移植などをきっかけに真菌が皮膚の深部で増殖して発症する場合もあります。

症状

原因となる真菌や感染部位によってさまざまな症状が現れます。代表的な皮膚真菌症である足白癬と皮膚・粘膜カンジダ症の症状は以下のとおりです。

足白癬の症状

足白癬では、足の裏や足指の間に“鱗屑(りんせつ)”と呼ばれるカサカサとした落屑が生じたり、小さい水疱(すいほう)や紅斑(あかみ)、びらん(ただれ)ができたりします。また乾いて固くなることもあります。かゆみはないことも多く、足がかゆいから足白癬、というわけではありません。

足白癬は、出現する症状によって“趾間型・小水疱型”、“趾間型”、“小水疱型”、“角質増殖型”の4種類に分けられます。

  • 趾間型・小水疱型……悪化するタイミングで強い痒みを伴うことがあります。
  • 趾間型……足の指の間の皮が剥けて赤くなり、ときに白くふやけます。
  • 小水疱型……足の縁や足の裏に赤い丘疹(ぽつぽつ)や小さい水疱ができた後、角質が薄くむけてきます。
  • 角質増殖型……手のひらや足の裏の広い範囲で角質が厚くなるものでかゆみはありません。特に踵では冬に固く乾いたところがひび割れてあかぎれになり、痛みが生じます。

皮膚・粘膜カンジダ症の症状

カンジダ属真菌が脇の下、下腹部やへそなど皮膚の擦れ合う部分、手指の股、陰部など湿りやすい部分で増殖した場合には、赤い丘疹や紅斑が生じたり、皮膚が損傷し、ただれてびらんになったりすることがあります。さらに、紅斑の辺縁には小さな膿疱をもった水疱)が点々と発生し、かゆみや違和感、さらには痛みを伴います。

検査・診断

皮膚真菌症ができやすい部分に赤い発疹や鱗屑、膿疱などを認める場合には皮膚真菌症が疑われます。診断には感染部位から原因となる真菌を検出する必要があり、“KOH直接検鏡検査”や“真菌培養検査”などが行われます。

KOH直接検鏡検査は、感染が疑われる部位から採取したサンプル(はがれかけた角質や小さな水疱の上部など)と検査液をスライドグラス上で馴染ませ、顕微鏡で観察する検査です。真菌の存在を直接観察でき、速やかに結果が確認できます。KOH直接検鏡検査で真菌が確認できなかった場合や、真菌の種類の確定が必要な場合は培養検査などが行われます。

治療

皮膚真菌症には抗真菌薬を用いた薬物療法が行われます。抗真菌薬には外用薬と内服薬があり、症状や感染部位、原因となる真菌の種類によって選択されます。

皮膚真菌症の中でも、特に発症頻度の高い足白癬や皮膚・粘膜カンジダ症では以下のような治療が行われます。

足白癬の治療

足白癬では、患部に外用抗真菌薬を塗布する治療が行われます。

足白癬は、自覚症状に乏しいことがあるほか家族間で感染を引き起こすことがあります。そのため、症状の程度にかかわらず少なくとも1か月間程度、できれば3か月は抗真菌薬の外用薬を使用する必要があります。

角質増殖型や白癬が爪にまで波及した場合(爪白癬の合併)は、抗真菌薬の内服が考慮されます。

なお、靴下・足マットなどは、通常の掃除や洗濯で十分除菌できます。

皮膚・粘膜カンジダ症の治療

カンジダ症では、外用抗真菌薬を使用した治療が行われますが、患部を乾燥させることが重要です。広範囲、あるいは再発を繰り返す場合は、イトラコナゾールなどの抗真菌薬の内服、外陰部では抗真菌薬の膣剤が必要なこともあります。手指や爪に症状がある場合には湿潤になることで再発を繰り返すため、水仕事などの家事の方法を見直すなど患部を乾燥させる工夫が必要になります。

患部を保護するために傷用テープや絆創膏を貼ると悪化することがあるため、使用は控えましょう。

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